1.「休み時間がつらい…」発達障害・思春期の女の子
毎年やってくる新年度。そのたびにお子さんが「友達できるかな?」とビクビクしている、なんてことありませんか?
思春期の女の子は、いつもグループで行動したがります。
そんな中、発達障害の女の子はちょっとズレた発言をしてしまったり、女子トークの暗黙のルールについていけず、友達づきあいに悩んでしまう子が多いです。
・いじめられてはいないけれど、グループがたくさんある中ひとりぼっちの子
・「ひとりでいる自分はどう思われているんだろう」
そんなことを気にして、よくわからない女子トークになんとなく合わせている子
このようなお子さんは学校生活で「休み時間」がつらいのです。そのつらさが続くと「学校に居場所がない」と感じてしまいます。
そして登校しぶりが始まるケースが多いのです。
2.発達障害の子は○人以上の会話が難しい
女の子っておしゃべり大好きで、そして得意ですよね。
女子トークは、「共感」しあえることが大切です。
「あ~それそれ!わかる~!!」という反応でどんどん話が膨らむ、この会話スタイル、実は発達障害のあるお子さんは苦手な場合が多いのです。
・先の見えない会話でどんな反応をすればいいかわからない不安
・「あれ」「それ」など指示語が多く、わかりづらい。
・みんなが「かわいい!」と言う中で「え?どこが?」などズバリ言う
など。
難しい言葉も知っていて、言葉の遅れが気にならないようなお子さんでも上のような女子トークはすごく難しいのです。
また発達障害の女の子は、実は「?人以上」の会話が苦手なのです。
何人だと思いますか?
・・・
答えは「3人!」
これ、「自分を含めて」なので、結局は「1対1」以外は難しいと感じているのです!
なぜ、難しいと感じるかというと、自分が話すタイミングをつかめないからなのです。
人数が多くなればなるほど、会話にすき間がなくなります。そうすると会話のスピードについていけないのです。
友達が言った一言をじっくり考えるタイプの子だと、考えているうちにどんどん話題が進んでしまいさっぱりついていけなくなるのです。
本当はお友達と話したい。
みんなの輪に入りたい。
でも入れない。
そんなツライ想いをしている思春期女子がいるのです。
3.思春期特有のものではなかった娘の「パパ嫌い」
実は、発達障害の自閉症スペクトラムタイプの娘も、「3人以上は無理」とはっきり言っていました。
わが家は、私と主人と娘の3人家族ですが、家族内で私と一対一で話すときは問題なくたくさん話せていました。
ですが、夫を含め3人で話すときは、なかなか入れなかったのです。
そのことに私が気づいていなかったとき、娘は次第に「パパ嫌い」と言うようになりました。
「思春期女子あるあるかな」と私もしばらく気にしていませんでしたが、3人での会話が苦手ということに気付いてからは私が、1対1での会話でもあることに気をつけるようにしました。
私が対応に気をつけたら、家族3人での会話で娘がファシリテーターの役目をしてくれることが多くなりました。
会話を回してくれるようになったのです!
本当は「パパが嫌い」なわけではなく、「パパが入った3人での会話が難しい」ということだったのです。
(パパ、一安心!)
私が、気をつけて対応したことを次にご紹介します。
4.毎日話す家族だからこそ「会話のキャッチボール」を楽しもう!
私がしたこと、それは「質問して答える」という形での会話を成り立たせること。
子どもに質問を投げかけると返事に時間がかかることがあります。
発達障害の特性があると頭ではたくさん考えていることがあるのに、それを言葉にして口にするまでに時間が必要なのです。
それでもじーっと待つ。
答えるスピードは子どもに合わせます。
返ってきた答えに対して「お母さんはこう思うよ」と言う。
これを何度も繰り返していくと、今度は「聴いてみよう」と子どもから私に質問してくるようになるのです。
そんなふうにコミュニケーションを積み重ねた結果、娘の口ぐせ第一位は「お母さんは(どう思う)?」
になりました。
こうして3人での会話で、「質問する」ことと、「で、あなたは?」というキーワードを身につけたらみんなでする会話が楽しいと感じられるようになったのです。
時間がかかるように思いますが、これを外でなくおウチでやるから効果が早く出るのです。
なぜなら、家族となら毎日しゃべるチャンスがあるから。
だから思春期でも、おうちでの会話を楽しい時間にしてほしいのです。
おうちで3人がOKになったら、外で3人、4人・・・・とだんだんそれ以上でも話ができるようになります。
少しずつでいいです。
お子さんが答えたくなるような簡単な質問をして、会話のキャッチボールを楽しんでくださいね。
執筆者:青島明日香
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
ご家庭でのコミュニケーションを楽しくして、子どもの力をのばしていきましょう!