1.発達検査で子どもをサポートするための手がかりを知ろう!
子どもの発達が気になった時や学校などで助言をされた時、発達検査を受けることがあると思います。
「発達検査って何がわかるの?」「なんとなく受けるのこわいな…」そんな風に感じてしまうかもしれませんね。
発達検査はいくつか種類がありますが、教育機関や医療機関でよく用いられているのがWISC-Ⅳです。
WISC-Ⅳはウェクスラー式知能検査のことで、全検査IQ(全体的な知的の水準)の他、下記の4つの指標を数値化するものです。
●言語理解…言葉による理解や、意味を把握する力
●知覚推理…目に見える情報から理解・推理する力
●ワーキングメモリ…聴いたことを一時的に記憶して、頭の中で操作して結果に出す力
●処理速度…単純な視覚情報を速く・正確に処理する力(手先の器用さや作業スピード)
この検査のみで発達障害かどうかを判断することはできませんが、子どもの得意と苦手を把握し、どのように支援をしていけば良いのかの手がかりを知ることができます。
せっかく受けた発達検査、お子さんの成長に活かしていけたら良いですよね。
わが子のサポートを考えていく上で、検査結果をどのような視点で受けとれば良いのでしょうか。
今回は、実際にわが家の息子がWISC-Ⅳを受けたときの体験をお話します!
2.発達の凸凹を知ることができるWISC-Ⅳ
息子は小学校3年生で、書字や運動が苦手だったり、自分の気持ちを伝えるのが不得意なところがあります。
今年度から通級指導教室に通うにあたって、学校で発達検査(WISC-Ⅳ)を受けました。
通級指導教室に通うことになった経緯はこちらの記事で↓
通常学級で過ごしているけど大丈夫?「通級指導教室」とサポートを受けることを考える時に大切なポイントはコレ‼
検査結果については、検査を担当した先生から説明して頂くことができました。
WISC-Ⅳでは4つの指標を測るので、各能力の凸凹を知ることができます。この凸凹が大きいと環境に適応するのが難しくなったり生きづらさの原因になります。
できる部分(凸の部分)があることで、苦手なところ(凹の部分)をカバーできてしまって、本人の困り感に周りが気づかないこともあります。
また特性による苦手を「ふざけている」「やる気がない」と怒られることで、自信を失ってしまうこともあるのです。
息子の場合4つの指標の中で、他のものに比べてガクッと低かった指標があり、それが「処理速度」でした。
3.検査を受けて「良かった」と実感したこと
WISC-Ⅳを受けてみて「これから息子のサポートを考える上で役立ったな」と感じたことがいくつかありました。
◆子どもの気持ちを知ることができた
WISC-Ⅳでは、不器用さがあったり、課題をこなすのに時間がかかる子は、「処理速度」の指標が低く出る傾向があります。
息子の場合は、4つの指標の中で「処理速度」が低く、それ以外の3つの指標は部分的に得意と苦手があるものの、すべて平均以上でした。
この事から、何が推測されるかと言うと…
「物事について、頭の中で理解はできているのだけれど、アウトプットするのに時間がかかってしまっている」状態。
理解はできている、答えもわかっている、でも、思うように課題をこなせない…、周りのペースについていけなくて「できない子」と思われてしまう…。
もし自分がその立場だったら「つらいだろうな…」と、息子の気持ちに気づくことができました。
◆サポートをお願いしやすくなった
息子の場合は、協調運動や字を書くことに苦手さがあります。
検査を受けてその傾向が客観的にもわかったことで、先生に協力をお願いしやすくなりました。
息子は、今は漢字の宿題に苦戦しています。
通級の先生と担任の先生と話し合いをした結果「漢字の宿題は、漢字を覚えるのが目的で、何回も書く事が目的でない」とおっしゃって頂けて、習った漢字をくり返し書く回数を減らしてもらうことができました。
※WISC-Ⅳのみでは、書字障害かどうかを判断することはできません
◆わが子の強みを知ることができた
息子の場合は、4つの指標の中でワーキングメモリの数値が1番高く「非常に高い」という結果が出て、聞いたことを記憶に留めておく力が高いという傾向がわかりました。
この指標が高く、処理速度以外の指標も平均より上だったので、授業中に先生から説明された内容は頭の中で理解・整理はできていると考えられます。
漢字は何回も書くことは嫌いだけど、覚えるのは得意です。
YouTubeの動画で見たことがある漢字など、難しいものでも覚えていて意味も理解しているので、「そんな難しい漢字知ったの!?」と驚くこともよくありました。
せっかく覚える力や意味を理解する力があっても、苦手な書くことだけをやらせていては、漢字の勉強自体が嫌いになってしまいます。
そこで、漢字嫌いになるのを防ぐために考えたことは、ただ漢字をくり返し書かせるのではなく息子の興味のあることと関連づけた文章を書かせることです。
苦手なことは、興味のある事と結びつけて、モチベーションを高め子どもの脳にインプット!
この方法を試してみました。
たとえば、息子は乗り物好きで、どのぐらいのスピードで乗り物が走るのかに興味があります。
“速”という漢字を習ったときは「高速道路の最高時速は120キロメートルです」など、興味があることを盛り込んだり、印象に残るようなおもしろい例文を一緒に考えるようにしました。
自分にとって楽しい文章を書くことは、ただ同じ漢字を何度も書くよりも、記憶に残りやすいのです。
こうすることで、習った知識がその場限りにならずに、応用して使うことができるようにもなります。
4.発達検査の結果を活かすために持っておいて欲しい視点
発達検査では、子どもの苦手な部分が客観的にわかります。
苦手な部分が見つかると、その部分を鍛えてどうにか平均に追いつかせようと考えてしまいがちです。
しかし、発達検査は苦手だけでなく、子どもの得意についても知ることができるものです。
“得意を活かすために”苦手な部分をどうフォローしてあげれば良いのかという視点を持ってください。
苦手をなくすことに一生懸命になり過ぎて自信がなくなり、得意なことへのやる気や関心も失われてしまったら、もったいないですよね。
またWISC-Ⅳなどの発達検査は、検査を受ける環境や子どものその時の状態によっても左右されます。
普段、子どもの様子を一番観察しているのはお母さんです。
結果だけを見るのではなく、その数値からどのような事がわかるのか、普段の子どもの行動もあわせて考えてみてください。
数値のみを見て絶望的な気持ちになる必要はないし、逆に数値に問題がないからといって子どもが困っていないとも限りません。
普段のお子さんの様子をしっかり見てあげることが一番大切です。
検査結果は子どもの成長によって変わってきます。また結果は自分だけで自己判断せずに、専門家からの意見を必ずもらうようにしてくださいね。
発達に凸凹があったとしても、自分の得意・不得意を把握していることで、自信を失うのを防ぐことにつながり、生きやすくなります。
子どもに特性を伝える時も、苦手だけではなく「あなたには、こんな力があるんだよ」と強みも教えてあげられると良いですね。
子どもをどう支援していくのか、先生や専門家だけに任せるのではなく、お母さん自身も考えられる視点を持っておきましょう!
執筆者:滝麻里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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