1.発達障害グレーゾーンの息子が勉強を苦手としていた理由
「うちの子、全然勉強しないんです」子育てママの永遠のテーマと言ってもいい、この困りごと。
耳にタコができるほど「やれ!」と言ってもやらない。塾に通わせてもサボる、成績が上がらない。通信教材をやってみたけど自分で計画を立ててやるなんて無理!…なかなか思う通りにはいきませんよね。
ちなみに、私は勉強には徹底的にこだわりを持っていた母親でした。
幸か不幸か私自身は中学生くらいまでは、そこそそこ勉強ができる子どもでした。できる、というか授業を聞いているだけでテストはいつも80点以上くらいのレベルの「できる」でした。
時々苦手なこともあったけど、そこは復習でなんとか追いついてノープロブレム!
だから、努力と根性で勉強って何とかなると思っていたのです。
当然、勉強嫌いな発達障害・グレーゾーンの息子に対しても「勉強はやればやるだけいい!」と思ってやらせていました。
ところが…やらせればやらせるほど子どもは勉強嫌いに。
「勉強」という言葉を発するだけで険悪なムードが漂うまでになりました。
勉強しないなんてお先真っ暗…と私は思っていましたが、思い返してみると叱りすぎで親子関係もかなり悪化していたんだなと思います。
でも、発達科学コミュニケーションをしっかりマスターしたことで「勉強」ひとつとっても、息子の特性が手に取るようにわかるようになりました!
例えば…
・集中力は、最大でも30分しか続かない
・言語系科目と数学の文章題は苦手だけど、ルールが決まっている計算問題は好き
・好きな計算問題でも不注意全開になると「+」「−」が途中で入れ替わってしまい、ケアレスミスをする
・アルファベットは絶望的に苦手
・理科は、日本語で記憶するものはそこそこできるけど、カタカナ・アルファベットで覚えるのはダメ
などなど。
息子が勉強を苦手とする理由に、どんな特性が関係しているかが分かってきたのです。
2.叱りすぎるのは逆効果!「苦手を克服させない」具体策とは?
勉強をすることは「進学のため」「将来のため」という最終的な目的があると思います。
だから発達科学コミュニケーションでは「将来」にフォーカスして子どものやる気を育んでいきます。
そのためにやってほしいのは「今、苦手を克服させない」ということです!
これは“常識”を覆す考え方かもしれません。でも、我が家では「苦手を克服させない」これを徹底しました。
具体的にどのような方法をとったのかというと、家庭教師の先生と相談してとった対策は、
①テストは数学の計算問題に注力!
②宿題・勉強は1日15分!
以上です。
…はい?以上ですか?という感じですが。以上です。
小学校1年生ではありません、中学2年生のときの我が家の対策です。
もちろん、数学以外は壮絶な点数のテストを持ち帰ります。最初は、叱らないためにお母さんの免疫が必要かもしれません。
数学の計算問題だけで配点がどれくらいあるかというと、100点満点のテストのうち30〜40点しかありません。しかも不注意でうっかりミスをするので得点はもっと低いこともあります。
それを見ながら 「ここはできたね」 「ここができるなら、こっちもできるよ」 と、できたところだけ褒める!これをやり続けます。
「できそうなことを頑張らせる」これがポイントなのです!
苦手を克服させ続けたら「勉強なんて大嫌い!」が、ずーっと続くだけです。
特に発達障害・グレーゾーンの子どもの場合、発達の特性が影響している「苦手」であればなおさらです。
勉強しないというよりも、やろうと思ってもできないのです。それをやれと言われ続けるのですから無理もありません。
だから 「あなた!よく頑張った!」「計算問題がんばってるね」「今回は30点分できたね」 …と、「できた!」体験をお母さんの声かけでしっかり子どもの脳にインプットしていくのです。
テスト勉強だって中学生なら1日何時間もやってほしいと思うところではありましたが、我が家の場合はせいぜい30分、すごく頑張って1時間…。それでヨシとしていました。
「やった」という事実をいかに肯定できるか、それが子どものモチベーションになります。
発達科学コミュニケーションを知る前は「こら!30分勉強したくらいで勉強したつもりになるなよ!」とよく言っていました。
息子:「俺のガンバリをどうして認めないんだ!」
私:「あんなの、ガンバリのうちに入らない!」
なんていうバトルは日常茶飯事。
これでは子どもが勉強をやる気になるわけがありません。
今まで叱りすぎていた自分を反省して、ガミガミ言いたい気持ちをぐっとこらえました。
そして、10分だろうが15分だろうが、本人のやった事実をそのまま言葉にして伝える。勉強嫌いから卒業させるには、そこからスタートだったのです。
3.「未来」を見て得意を伸ばす作戦で、勉強しない子どもはどうなった?
では中学時代、叱りすぎに気をつけて「できること」を伸ばすようにした結果、我が家の息子がどうなったかというと…
社会を頑張るようになりました!なぜ社会?それはわかりませんが、定期テストの点数が伸び始めました!
あと、好きではないけれど「できる」ところから着手したのが国語の漢字。文章題はちょっと苦手ですが漢字だけなら集中してできる。それで定期テストの点数を稼いでいました。
もともと「数学の計算問題」からスタートした我が子の勉強が、他の教科にまで広がったのです!
今は高校受験にも無事合格し、高校生活をエンジョイしています。
発達障害・グレーゾーンの子どもたちの勉強の苦手意識は、こうやって「できることから」「自信をつけて」「やってもいいかな、と思わせて」伸ばしていくのがオススメです。
もちろん、それだと苦手は残っている状態です。でも、「今」はそれでもいいのです。
この先“やろう!”と思えるだけのエネルギーを子どもに与えておく、その方がよっぽど大事だからです。
やりたいことが見つかったときに 「どうせ僕なんてできないし…」 「やっても無理かもしれないし…」と言ってチャレンジしない子に育てるか 、「おれ、頑張っちゃうぜ!」 と言ってチャレンジできる子に育てるか。 私なら後者を選びます。
「今」ではなく「未来」を見ているというのはそういうことです。
発達障害やグレーゾーンの子どもたちは、脳に得意と苦手の凸凹があります。苦手な部分は成長がゆっくりです。でも、ゆっくりだけど成長していないわけではない。
成長させるには脳が働きやすい「得意」をたくさんインプットして脳の活動量を上げることが必要です。
「苦手」なことをやれと言われたら、考えるのも行動を起こすのも嫌になります。それでは脳は成長しない。だから、お子さんの得意からアプローチしてほしいのです!
得意が伸びてくると、他の苦手なことも引っ張られてチャレンジしたり取り組んだりするようになります。
「勉強」と言うだけで親子喧嘩が勃発するご家庭では、もしかしたら勉強に関して叱りすぎも関係しているかもしれません。
ついガミガミ言いたくなる気持ちをぐっとこらえて、ぜひお子さんの「得意」からアプローチしてみてくださいね!
執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
子どもを伸ばす常識を覆すアイディア、まだまだあります!