1.頭では「空気が読める」子どもたち
勉強も大事ですが、同じくらいコミュ力を伸ばしておきたい理由があります。
苦手を感じる子が多い「空気を読むチカラ」ですが、 このチカラをあなどってはいけません!!
発達障害・グレーゾーンの子どもたちは、自分の感情を整理して伝えるのが苦手だったり、相手の気持ちを察するのが苦手だったりします。
知識としては理解しているけれど、実際のコミュニケーションではうまく使えない、なんてことがよくあります。
例えば 「人が話をしている時は、割り込んで話していいのかな?」と聞けば「ダメ!」「待たないといけない。」 とだいたいの子どもたちは、空気が読めるのです。
それなのに、人が喋っていてもバンバン割り込んで喋ってしまう、なんていう場面よくありませんか?
今回は、思春期の子どもにどうやって空気が読めるようにするのかについて解説します!
2.理解する脳と実践する脳は別です
先ほどの話のように、高学年や思春期の子どもたちは、頭ではわかっているのに行動が伴わないということがよくあります。
なぜそうなるのか? それは、体験していないから。
知識として理解する脳と実践する脳はベツモノなのです。
実践する脳をどうやって動かしてあげるか、ここがポイントです!
例えば。 相手の感情を理解するトレーニングでこんな方法があります。
<この写真の女の子を見てどう感じているか言葉にしてみましょう!>
「転んで、痛くて、泣いている」
こんなふうにきっと答えるでしょう。
では、このトレーニングをたくさんやったらコミュニケーション力ってのびそうな気がしますか?空気が読めるようになるでしょうか?
「…」
実は、これは知識として理解した状態なのです。
だからこれだけでは少々ものたりない。
そして何よりも大切なのは、このトレーニングを高学年や思春期を迎えたお子さんたちが喜んでやるイメージを持てますか?ということ。
おそらく、No、ですよね。
楽しさそうな感じもないし、やらされ感がでちゃうし、そのための時間をとるのも大変です。
では!子どもが体験できてかつ子どもにとって面倒じゃない方法ってなんだろう?
それが、親子のコミュニケーションなのです。
3.空気を読む体験をお母さんの○○で積んでいくこと
我が家では、空気を読まずに息子が話に割って入ると、おもむろに驚いた表情をしてみせたり、困った表情をしてみせたり、アクションでお知らせするという対話をしました。
必要があれば、「あと10分待ってね」と伝えて、後から必ず話を聞くようにしました。(待ってから話せばきいてもらえる、という体験)
そしてもちろんナイスタイミングで話しかけてくれた時は、笑顔で応じる。
こんな繰り返しで、体験を積むから子どもたちは正解を習得していくのです。
イラストや写真が相手では、体験を積むことはできません。
何が正解で、何がNGだったのかを教えてくれることもありません。
コミュニケーションで、うまくいく体験、うまくいかない体験、これを一番安心できる身近な存在のお母さんと、なんどもなんども繰り返すからコミュニケーション力が伸びてくるのです。
昔は、全く空気を読まない息子でしたが、今、どうなっているかというと…
私が忙しそうにシゴトをしているとそーっと覗きこんで「何分後なら話せる?」確認してきたり、私が風邪でしんどそうにしているとお茶を持ってきてくれたり、気配り男子に成長しています。
こんなやりとりがお家でできるようになると、学校での友達とのトラブルもグーンと減ってきます。
今まではお友達のことを、一方的に「あいつが悪い」とののしっていた子が 「きっとあいつも今日は疲れていたんだと思う」と言えるようになって、無駄な衝突が減ったり。
困っているお友達に気づいて手伝ってあげたり。
相手の気持ちや様子に、気を配れる「空気が読める」子に成長していくのです。
ぜひ、お子さんとの対話をたのしんでください!
そしてその第一歩はお母さんの表情を豊かにすることです。
できれば、ポジティブな感情をたくさん表現して伝えてあげてください。
子どもたちの脳は、お母さんの「非言語情報」をキャッチするチカラに優れています。
お母さんが表情のバリエーションをたくさん持っていれば、お子さんもそれだけ たくさんの感情に出会えるわけです。
ぜひたくさんの表情で発達障害・グレーゾーンの子どもたちを「空気が読める」大人にしてあげましょう!
執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
お母さんも子どももラクになる科学的な対応方法をお伝えしています!