1.不登校の子どものきょうだいが「学校行かなくてズルい!」と言ったら?
我が家には、通信制高校に通う1年生の息子がいます。息子は、小学4年生のときに不登校になりました。息子の下には、中学1年生の妹がいます。娘も一時登校しぶりがありましたが現在は学校に通えています。
2人の仲はもともとはとても仲良しでした。けれども兄が不登校になってからは、時々険悪になってしまう場面がありました。
それは、妹の方が兄に対して、
「学校行かなくてズルい!」
「勉強しなくてズルい!」
「遊んでばかりでズルい!」
と言い出すときです。
兄も何度もそう言われると「うるさいなー!」と面倒くさそうな顔をするので、妹は余計にイライラするようでした。そうなってくると、時には、叩き合い、掴み合いのケンカに発展することも…
お兄ちゃんが不登校になったばかりの頃は、私は妹に対して、
「そんなこと言わないの。お兄ちゃん余計に元気なくなっちゃうよ!」
とたしなめていましたが効果なく、ますます「ズルい」発言はエスカレートするばかりでした。
手が出るようなケンカになってしまうと、母の私も気が動転して、「お兄ちゃんがどんどん気持ちが落ち込んでしまったらどうしよう」と思ってしまいました。
このように、不登校の子どものきょうだいが「学校休んでズルい!」と言うとき、私達親はどんな対応をするのが正解なのでしょうか?
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2.不登校の子ども以上に深刻?きょうだいの本音は?
不登校の子どものきょうだいが、「ズルい」と学校に行かないきょうだいをねたんでいる場合、その子自身も大なり小なり学校生活に問題を抱えているはずです。
きょうだいと同じような理由があるかもしれないし、全く別の課題を抱えているのかもしれません。
発達の特性があるのかもしれない
お友達関係がうまくいってないかもしれない
何かしらの理由を抱えていたら、「自分は我慢して学校へ行っているのに、なんで、きょうだいは休んでいいんだ?」と思っています。
そりゃあ、思いますよね!
私も学校が好きじゃなかったのでとてもよくわかります。
不登校の子どもがいない家庭であれば、「学校は具合が悪いとき以外は通うもの」という風に親も子どもも思っていることがほとんどなので、多少辛いことがあっても通うか…となるわけです。
しかし、不登校のきょうだいがいる子にとっては、「学校に行かない」というスペシャルレアな選択肢を知ってしまった状態です。
この選択肢を自分も使うかどうかは、その子の性格によっても違ってくると思います。
「自分も学校じゃないところで成長したい」と思うかもしれませんし、「不登校にはなりたくないから自分は学校へ行くんだ。」と思うかもしれません。
3.「きょうだいで不登校」はダメ?まずは親側の心を整理しよう
きょうだいが「学校行かなくてずるい!」と言い出したとき、お母さんの気持ちはどうでしょうか?
「あなたまで不登校にならないで〜」
「できればこの子には学校へ言って欲しい」
「2人とも不登校になったらお金がもたないわ…」
と焦りを感じていたり、
「あの子が不登校だったらこの子も行けなくなっても仕方ない!腹をくくろう!」
と潔く心の準備を整えていたりする場合もあるでしょう。
私が伝えたい大事なポイントは2つです。
「学校は発達のタイプによって合う合わないがある」
「それぞれの子どもの気持ち、子どもの力に合わせて学べる方法がある」
ということです。
きょうだいどちらかが不登校になったから一緒にみんな不登校でいいやとか、
きょうだいのうち一人くらいは学校へ行かせないととか、
人数で考えることではありませんよね。
大事なのは、兄弟(姉妹)それぞれの子どもが、どんな場所でどんな方法で教育を受けることが合っているのかを考えることです。
ですから、まずは「学校には通わなくてはいけない」という気持ちは捨ててしまいましょう。
すぐに完全に捨てることは難しいかもしれません。
それでも、学校という入れ物にこだわって見るのではなく、一人一人の子どもの成長にフォーカスして観察していくことで必ず気持ちは変わっていくことができます!
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4.きょうだいそれぞれの学校との付き合い方を選んであげよう!
さて、お母さんの気持ちが固まったところで、「ズルい!」と文句を言った方の子どものケアをしていきましょう。
「ズルいなんて言わないの!」と叱っても解決はしないので間違っても叱らないでくださいね。
叱ってしまうと、「僕も(私も)学校辛いのに、お母さんはわかってくれないんだ…」といじけてしまい逆効果です。そのうち話もしてくれない…なんてことになりかねません。
まずはきょうだいそれぞれに向き合い、対話を重ねて気持ちを確認しておきましょう。
まずは、学校へ行っている子どもへ
「いつも学校へ行ってとても頑張っているね」
「運動会の練習お疲れ様!」
「学校であったことを話してくれるとがお母さん嬉しいんだよ」
と頑張っていることを言葉に出して伝えたり、成長を見させてもらえることに感謝する言葉をかけてみたりしましょう。
「今日学校どうだった?」
と、どんな気持ちで学校に通っているのかも確認できると良いです。
「学校なんてつまんない!」
「友達がいじわるなんだよ」
などと、気持ちを話してくれたらしっかりと気持ちを受け止めて聞いてあげてください。
「そうだったんだね。学校行っていると色々あって大変だよね。」
「辛いことを乗り越えて、たくさん成長しているね!」
と、共感し明るく受け止めてあげましょう。
それから、不登校になっている子どもの状況も隠さず話してあげられるとベストだと思います。
我が家では、不登校の兄が抱えている問題や、これから起きるだろう苦労についても妹に隠さず話すようにしました。
お兄ちゃんもいる前でみんなでこんな風に話しました。
「お兄ちゃんは今勉強していないけど、高校や大学に行きたいとなったら猛勉強しないといけないんだよ〜」
「遊んでばっかりに見えるけど、たくさんのことを遊びから勉強しているんだよ!」
「お兄ちゃんも好きで不登校になったわけじゃないんだよ。とっても辛い思いをして乗り越えて今笑っていられるんだよ。」
「学校は、行くのが辛い子は行かなくてもいいんだよ。法律でもそう決まっているんだよ。」
「あなたも学校が辛くなったら休んでいいんだからね?」
そんな風に親から話をされた妹の方は、今では、自由奔放に学び楽しそうに生きている兄に対して羨ましい気持ちを持ちつつも…
「不登校と言われるのは嫌。学校行かないのも不安で嫌。」
と自分なりの答えを出して学校に通うようになりました。しばらくは、YouTubeを見てゲラゲラ笑うお兄ちゃんを睨みつけながら宿題を頑張ってやっていましたが(笑)
兄の方には、
「妹が今宿題を集中してやっているから、静かにしてあげてくれるかな?」と邪魔にならない行動をお願いしたりしていました。
そうすると素直に応じてくれますし、学校の勉強を年下の妹に教えてもらったりもしました(笑)
不登校の子どもと、学校へ行く子ども、両方の子どもがいて、それぞれ大変なことを抱えています。お互いにそれを見て自分はどうしていきたいのかを考えることが勉強になっているなと感じます。
将来子ども達が大きくなったら、色んな多様性のある人を認め合える大人になってほしい。
ですから、きょうだいで違う学び方をするのもオーケー!同じように不登校の道を歩むのも本人が納得すればオーケーなのです。
もし、学校に通うことに少しでも楽しさを感じていれば、自分の気持ちをよく聞いてもらえたと感じられたら、前向きに学校に通えるようになるものです。
現在、娘は公立の中学校で「勉強が楽しい。先生達の教え方がとてもわかりやすい!」と言って、学習することを楽しみに学校へ行っています。
お母さんは焦らずどっしりと構えてきょうだいの仲をとりもってあげてくださいね!
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執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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