不登校だから「卒業式は出ない?」卒業を迎える気持ちを聞き出し後悔のないその日を親子で迎えよう!

不登校の子どもが小学校や中学校を卒業するとき、卒業式には出る?卒業証書は受け取りに行く?と悩みますよね。どんな選択をしても後悔しない1日となるように、お母さんが子どもの気持ちをうまく聞き出してあげられる方法をお伝えします!

1.不登校のままの卒業式はどうする?

もうすぐ3月。小学6年生や中学3年生は卒業を迎え新たな進学への準備が始まりますね。

不登校をしているお子さんの場合の卒業式、子ども達はどのようにその日を迎えたいと思っているのでしょうか?

学校の話題をすると嫌がったり、
空気が悪くなってしまう…

そんなお子さんの場合、卒業式の話題を出すことすら気が引ける…と悩むことも多いと思います。

今回は、小学4年生から不登校となり昨年小学校を卒業した我が家の息子の卒業式エピソードを振り返ります。

我が家の息子は不登校となってから登校したのは指で数える程度。宿泊学習や学校イベントなど本人が行きたいと言って参加したものでした。

小学5〜6年生のときはフリースクールに通うようになり、小学校への本人の想いも薄れ、6年生の1年間で学校へ登校したのは図書館に本を借りたい、給食が食べたいと言って行った2日のみ。

6年生の2学期には卒業アルバム制作がありますよね。

担任の先生からは、「無理のない範囲で参加できないでしょうか?」というお話しがありましたが、息子は「卒業アルバムはいらないから参加もしない。」という一点張りでした。

そのときの息子にとって小学校は、

『昔行っていた場所』
『辛かった場所』
『自分は行けなくなったのに他の友達は行っている場所』

というような、少なくとも良い思い出の多いところではありませんでした。

更に、温厚な性格であるものの実は負けず嫌い、という性格であることもあり、時々、家庭訪問してプリント類を届けてくれる担任の先生にもほとんど会おうとはしていませんでした。

そのような息子の様子を見ていたので、

「卒業式も出ないだろうなぁ…」
「卒業式の話題を出すのも気が引けるな…」
「卒業証書だけ母親の私が取りに行けばいいか!」

と安易に考えていました。

そんな頃、卒業式が近づいてきたある日、私が用事で学校へ行ったときに教頭先生と話す機会がありました。

教頭先生は、

「卒業式に出ることが嫌なら無理はしなくていいと思います。けれど、卒業証書の受け取り方は色んな方法があるので。〇〇くんにとって、卒業証書を受け取ることで一つの区切りになると思うのです。自分の手で受け取ることが成功体験になり、自分で決めた中学校へも更に意欲的に入学できるのではないかと思います。少し考えてみてください。」

と、おっしゃって下さいました。

私たち親子は、不登校になった当初の担任の先生とは意見が合わず大変な思いをしましたが、この教頭先生はじめ、他の先生達は息子の意思を尊重して対応してくださる方達でした。

「嫌なら無理しなくていい」

私もその言葉に安心しつつも、卒業証書を受け取った経験のない息子が、「別にいらないし」と言ったからといって、「じゃあお母さんがもらってくるね」と安易に決断するのは短絡すぎたなと思い直しました。


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2.卒業式って誰のため?

学校生活最後の「卒業式」
1度きりしかない学校の「卒業式」

お母さん達の中には、「卒業式なんだから後悔しないように出席させないと!」と悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

お母さんにとっては、卒業式は大切な思い出、感動の思い出かもしれません。

子どもの頃、卒業式に出た経験があるからです。

そして、学校での感動的な雰囲気によって、

「頑張って卒業式に出ればいい思い出になるんだ。」
「みんな卒業式に出てお祝いしてもらうんだからうちの子も…」

という思いが生まれてくる。

だから、「卒業式くらいは出席したほうがいいんじゃないか…」と悩むのです。

一方、不登校になっている子どもにとっては、「卒業式はいい思い出になる」という考えはありません!

たとえ、参加しなくても、後悔するようなことはないのです。

後悔するとすれば、周りの大人が「出ないと後悔するよ」などと、伝えてしまうからでしょう。

けれど、出るかどうかは別として、卒業式が子どもにとってどんなことか、お母さんや先生にとってどんなことかを伝えてあげて、その上で子どもが決めることが大事なのではないでしょうか。

「自己で決める」
「決めたことを達成する」

これが、子どもに自信を授けてくれる方法です。

小学生(中学生)最後の日、「不登校になってなんとなく終わってしまった小学生(中学生)」と考えるのと、「卒業したんだ!」と思えるような一日になるのとでは、子どもの達成感は違ってきますよね。

3.子どもが卒業式について落ち着いて考えられる聞き方!

卒業式に出る、出ない
卒業証書を自分でもらう、もらわない

これらの問題のメリットデメリットをしっかり自分で考えて、小学校を卒業させてあげたほうがいい。

私は2つのポイントを意識して息子に卒業式の話題を持ちかけました。

◆子どものタイミングを見て明るく話す

息子が嫌悪感を出さないように、楽しい雰囲気の中で卒業式の話題を出すようにしようと思いました。

子どもによっては『卒業式』というワード自体が聞きたくないワードかもしれません。そんな面倒なことを話したくないと思っているかもしれません。

そんな状態の子どもに対し、子どもが楽しいことに夢中になっている時間(ゲームでまさにいい展開のとき等)に声をかけてしまうと落ち着いて話すことはできないです。

お子さんがのんびりしているときに、おやつなどを用意して呼んで話すようにしましょう。

我が家では、娘も呼んで、息子や娘の幼稚園の卒業証書や、私の小学校から大学までの卒業証書や通知表、検定の合格証書などを見せました。

「幼稚園の卒業証書懐かしいね〜!これは、お母さんが卒業した小学校でもらった賞状だよ〜。」

などと言って見せると、「賞状いいな〜僕ももらえるの?」と言って興味を示したようでした。

◆卒業式参加の選択肢を提案する

「卒業証書は不登校でも全員貰う権利があるんだよ!〇〇も今はまだ在籍している状態だから。卒業式はどうしたい?」

と、聞きながら色んな選択肢や私の想いを伝えました。

・みんなと一緒に卒業式に出る
・卒業式には出ずに卒業証書を放課後取りに行く
・お母さんが卒業証書を取りに行く
・卒業証書は郵送してもらう
・不登校になってから理解して協力してくれた学校にお母さんは感謝していること
・これからの中学校のことに関しても、小学校の先生が協力して動いてくれていること

そして、息子が出した答えは、

「みんなと一緒に卒業式に出るのは嫌だけど、卒業証書をもらいに行くのは自分で行く。
けど、たくさんの先生達に囲まれてやるのは嫌だ。3人くらいまでならいいけど。」

というものでした。

息子の意向を学校の先生に伝え、卒業式当日の放課後に息子と家族で卒業証書をもらいに行くということに決まりました。

もしかしたら当日になって「やっぱり行けない」と言うこともあるかもしれないと残念なパターンを想定しつつも、

「そのときはそのとき。」と、開き直って当日を迎えることにしました。

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4.卒業証書を受け取ったことでサッパリ小学校にさようなら!

卒業式当日。

卒業式には出席しないので、私も息子も普段着のまま。日中は普通通りに過ごしました。

放課後になりいよいよ卒業証書を取りに行く時間です。

私の声かけに息子は嫌がることなく、外出する支度をして小学校へ向かいました。

担任の先生と約束していた内容は、『教室で校長先生から卒業証書をもらって帰る』という約束だったので、サッと行ってパッと貰って帰るという流れを私たち親子は想像していたのですが…

教室の中ではありましたが、しっかりと息子用の式次第も用意され、ミニ卒業式をしてくれたのでした。

更に、帰る際には、学校中の先生達が偶然通りかかったフリをしながら会いにきてくれて、「おめでとう」と声をかけてくれました。

息子は、学校側のさりげない演出に気づいてはいませんでしたが(笑)

帰宅後は、自分の手で卒業証書を受け取り、不登校となってしまった小学校を卒業したんだ!という爽快感から、その日ずっとご機嫌でした。

たかが卒業証書、されど卒業証書。

卒業式は出席できなかったけれど、一瞬の時間でも、人生において節目となる時間を皆でお祝いできたことはよかったなと思っています。

不登校の子どもにとって、卒業式は最後の選択です。

嫌がる子を無理に誘って出席させる必要はありません。卒業証書をもらいに行くことも断固拒否!というお子さんの場合は、その選択を尊重してあげて下さい。

不登校でも、6年間頑張ってきたことを家庭でお祝いしてあげたり、お母さんから「頑張ったね」と伝えてあげてください。

大切なのは、子どものことは子ども自身が決めること。

私が最初にやろうとしたように安易に楽な方に逃げず、ちょっと考えるきっかけを与えてあげることで、新たな一歩を踏み出すきっかけになることもあります。

少しでも楽しい雰囲気の中で、考える時間を持てるように子どもが対話に応じてくれそうなコミュニケーションのきっかけを作ってあげたいですね!

すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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