1. 学校での背伸びに疲れた小学生
不登校になった子どもは心を閉ざし、生活リズムが崩れて睡眠時間が乱れたり食事もとらなくなることがあります。
元気だった子どもの笑顔が消え生活リズムが崩れてからの家庭での復活の道のりについてお伝えします。
我が家の息子は現在小学6年生で不登校です。息子はもともと注意欠陥多動性障害(ADHD)で授業中にふらっと立ち歩いたり、癇癪をおこすと切り替えが難しいところがありました。けれど愛嬌があり友達も多く、学校のイベントで活躍する子どもでした。
小学4年生の時にある先生への不満から登校しぶりが始まりました。
当時の私は「そんなことは学校に行かない理由にならない」と思い、なだめたり怒ったりしながら学校に行かせていました。
小学5年生のコロナウイルスによる休校明けは、疲れて休む日があるものの登校できていました。マスク生活にストレスを感じつつも高学年に求められる自分を意識し、苦手な板書をがんばるなど背伸びをしている様子でした。
しかし、担任の先生はそんな彼を「特性はあるけど前向きな子」と評価し、次々に新たな課題を与えました。
すでにいっぱいいっぱいだった彼には負担が大きく、登校しぶりが再び始まりました。
実情を伝え負荷をかけないでほしいと何度もお願いしましたが、「本人もがんばると言っていますし、今ががんばりどきです。」と押し切られてしまうだけでした。
ある日、担任とのトラブルをきっかけに息子は「もう学校には行かない」と言い出しました。
1週間ほど休んだ後、本人の意思で登校を再開しましたが、「2時間目から行く」「やっぱり午後から行く」と、息子の気持ちに振り回される毎日が始まりました。
一方、自宅では反抗期真っ只中の兄から「小学生で不登校かよ!」となじられたり、ささいなことで殴り合いのケンカを繰り返す毎日でした。
担任の先生が嫌いでも友達の多い息子は登校していた方がいいのではないかと考え、ごほうびを出しながら私は登校するよう促しました。
2. 学校にも家にも居場所を見いだせない息子を助けたい
登校しぶりがひどくなって2ヶ月たった頃、私が1週間入院することがありました。
息子はこの期間は学校に行けず、私の声かけがないと登校できない現実に気づかされました。
いえ、当時の私は薄々気づいていたのに認めたくなかったのです。
息子は学校に行けないことでますます自信がなくなり、さらに追い討ちをかけるような兄の言葉で憔悴し「死んだ方がまし…」と私に泣いて訴え、毎日のように癇癪を起こしました。
自宅を休める環境にすること、彼自身が自分の気持ちをコントロールできるようになること、この2つが必要と考えました。
3. 癇癪にどう対応してよいのかわからない…思春期でも不登校でも遅くない!?
家にいる時間が長くなるにつれ、YouTubeやスイッチをめぐって親子で口論になることが増えました。
夜な夜なネットで対処方法を検索したものの、相談して時間制限を決めるのも、自由にやらせるのも…心を閉ざしている息子に対し現実的とは思えませんでした。
そんなある日、発達科学コミュニケーション(発コミュ)の就学前のお子さんの癇癪への対応のメルマガにたどりつきました。
小学生でも参考になるアイデアがあるかもと登録したところ、「思春期でも遅くない!力づくで言うことを聞かせようと思っても、もう無理…と思っているお母さんへ」という号外を見つけ、今からでも遅くないんだ!と希望を持って受講を決意しました。
4. 不登校の生活で必要なことは規則正しい生活?それとも…
発コミュを始めて最初に教えてもらったのは子どもを肯定することでした。
まずは長男の気持ちを安定させるために「毎日頑張って学校に行っているね」と長男を肯定することから始めました。
不登校の次男に対しては入浴や就寝時間のみ声をかけて、
「そのゲームおもしろそうね。画面がリアルだねぇ」
「ご機嫌だね。今日は(ゲームで)順調に勝っているの?」
など日々の彼が楽しんでいる行動に声かけすることに注視しました。
最初の頃は「うるさい」など冷たくあしらわれましたが、1ヶ月もたつと日中は穏やかになり笑顔も増え、タイミングがよいとゲームの解説をするようになりました。
一方でその反動なのか、お風呂や就寝時間のやりとりでの癇癪がどんどん激しくなり、時には死にたいと泣かれることもありました。
深夜になるから寝室に行くよう促すと「日中は兄に脅されてこころやすまらないのに、夜も自由に過ごせないのか!」「眠れない僕のつらさがおまえにはわからないんだ!」とどなり暴れることを繰り返しました。
そんな息子の様子を見て今は生活リズムを整えることさえも負担が大きいのだと気づきました。
就寝を促す声かけをやめ、
遅く起きてきても時間を触れずに
「おはよう、目がさめたね。」
深夜をすぎていても自分から寝室に来たときは「気持ちを切り替えて寝る準備をしにきたんだね。」
と声をかけました。
朝食はなかなか食べられず苦労しましたが「チョコレート1口でもいいから食べてみない?」と促すことでようやく彼から「食べる…」という言葉が聞けました。
その後は「今日はパンも1口食べてみない?」「今日はパンとごはんどっちがよい?」…とスモールステップで種類や量を増やしていきました。
5. マイナスからの出発で息子の心が動きはじめた!
学校からはすっかり足が遠のき、夜更かし朝寝坊、朝食は食べない、お風呂にはいらない、日中はゲームとYouTube三昧、夜は漫画と録画三昧となった息子。
けれど数ヶ月を過ぎた頃から、夜は眠れなくても寝室に行く、朝も自分なりに起きようと努力する姿が見られるようになりました。
朝食も最近はごはんと味噌汁を食べる日もあり、朝起きたら食べる習慣が身につきました。
日常では癇癪が減り、兄弟で仲良く遊ぶ姿を見ることが増えました。まだまだYouTubeやゲーム中心の生活ですが、家族で会話や外出を楽しむ時間が増え、最近は学校に行きたい気持ちも芽生えているようです。
何よりうれしい事は登校しぶりが始まった2年前より癇癪が減り息子の笑顔を見る機会が増えたことです!
今は息子にとって登校することが最終目標か、まだ判断がつきません。
まずは次の1歩を踏み出すためにメンタルと体力を整えることが大きな課題です。
不登校で自信をなくしても、心に傷をおってもお母さんのサポートがあれば笑顔を取り戻すことができます!
皆さんも「開けない夜はない」と信じて子どもたちの伴走をがんばりましょう。
作成者:ふじくら さや
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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