10歳から育つ脳の力~毎日の決断する体験が「やり切るチカラ」を育てる!~

10歳頃から「やり切るチカラ」を司る脳が育ってきます。物事をやり切るためには、まず行動を起こす事を“決める“ことが必要です。「自分で決めなさい」と言うのではなく、日常の小さな決断の積み重ねが子どもの成長を加速させます!

1.「やり切るチカラ」を育てるための入り口

脳には成長の順番があって高学年をむかえたころから成長するチカラがあるんです。

それが、脳の司令塔の役割を果たす実行機能というチカラです。

脳の司令塔の役割は、1つの目標に対してスタートすると決めて動きだし実行→継続→完了までの流れをつないで「完了」させることです。

・何か行動をおこす時に「コレをやる!」と意思決定すること
・見通しをたてて計画を考えること
・行動を続けたり、必要ないことをやめる、実行&継続&切り替えのチカラ
・「どうやったら早くできるか」「どうやったら上手にできるか」などの行動を調整するチカラ

このような色々なことをつないで考えて実行する脳が育つのは、実は10歳くらいから

このチカラが育ってくれたらお母さんとしては申し分ないですよね!

ですが、発達凸凹の子ども達はこのながれを繋ぐ以前に、1つ1つのステップでもつまづきがあることが多いんです。

だから、その1つ1つのステップをクリアしてあげることが最初にやりたいことです。

1つずつのチカラが育ってくると本来、10歳以降に伸びてくる脳の司令塔の役割がしっかり機能するようになるんですよ。

つまり、急がば回れ、ということです。

今回は物事を実行するために必要な力の中でも、行動のスタートをコントロールする「意思決定」についてご説明します。

2.決めるチカラがないと行動がはじまらない!

「意思決定」について、我が家の息子の話を例にしてお話します。

例えば「サッカーチームの練習に行く」という1つの小さな目標があります。

うちの息子は、何度「今日サッカーだからね」と伝えておいても、サッカーをさぼってゲームセンターへ
行ってしまったりしていたんです(笑)

「行く」と決めるチカラがまだ育っていない状態だったんです。

息子からしたら
「サッカーは、ママがやれって言った」
「行ったらそこそこ楽しいこともあるけど、ほかにも楽しいことがあるし」
「今日はゲーセンに行きたい気分だし」
こんな気持ちだと思います。

息子は注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向の強いグレーゾーンの子なので「自分のやりたい!」が優先されます。

見通しを立てるのも苦手なので「この練習をした先に、こんな自分になれるかも!」みたいな目標像を持つことも苦手

だから「行く」という小さな決定も、すぐにできない、揺らいでしまう、そんな状態だったんです。

3.子どもはなぜ「決められない子」になってしまうの?

子どもはどうして「決められない子」になってしまうのでしょうか?

それは…誤った学習をしてしまうから。

誤った学習とは、自分の意見が採用されないという経験の積み重ねです。

たとえば、お買い物に行った時にお子さんが「このおやつ食べたい!」とお店で言ったとき

「お菓子より、栄養のあるこっちのおやつにしましょう」

など、ささいな決断なのですがいつも却下される経験ばかりしているとしたら…

たとえば学校を休んだお子さんが「今日は絵を描きたい!」と言った時に

「勉強が遅れるといけないから遊んでいないで勉強しなさい」

と一方的に大人の道理だけを押し付けたとしたら…

そんなことを何度も繰り返したり長い期間続けてしまうと

子どもたちは「自分で決断するのは意味がないこと」という誤った学習をしてしまうんです。

発達凸凹の子ども達は個性的な発想や発言をしがちなので、ついついママとしては「正しいこと」を教えようとしてしまいますが…

その状態がつづくと子どもはどんどん「決める」ことをしなくなります。

4.自分で決断する経験が子どもの成長を加速させる!

もし、先回りして子どもにあれしろこれしろばかり言っているのであれば…

ちょっと一息ついてどうしたいかを、お子さんと楽しくディスカッションするそんな習慣づくりをスタートしてみてください。

「今日の晩ご飯、何食べたい?」こんな些細なことを”決める”ことからスタートすればいいんです。

そして、お子さんの提案を採用してあげてください。

多少、栄養バランスが崩れようが前日と似たメニューになろうがジャンクフードだろうが大丈夫です。

「それいいね!」と採用してあげる。

一緒に食べて「美味しいね」と楽しむ、喜ぶ。

こんなふうに些細なことで「決断」を成功させる経験からスタートしてみてください。

発達凸凹の子ども達の中には「何がいい?」というオープンクエスチョンが苦手な子もいるので

その場合はカレーと牛丼どっちがいい?のような「選ばせる」決断でもいいと思います。

言葉で尋ねてもいまいち反応が悪いならスマホで画像を見せながら「この2つならどっちがいい?」
と決めてもらってもいいですね。

お子さんが「決める」材料(情報)を分かりやすく提示してあげるのも決めるチカラを育てる時にポイントになります。

お子さんに合う形を試してみてくださいね!

最近のご相談で多いのは

「不登校になって家で何もしない」
「やることがないと言って絡んでくる」
「受験が近いのに学校をきめられない」

こんなご相談です。

「自分で考えなさい、決めなさい!」
と言うのではなく

小さな「決める」を日常で何度もさせてあげて脳を育ててあげましょう。

もしお子さんとの会話がうまく成立しないのであれば親子のコミュニケーションを見直してみると

お子さんの脳を育てるやりとりに発展できるはずです。

今日は、お子さんに、どんな「決める」体験をさせてあげますか?

日常の、小さな行動を「決断する」体験を積み重ねることで、子どもは成長していきます!

執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

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