繊細な子どもの自信アップ大作戦!HSP当事者に教わる親子の対話とは?

自分らしく頑張れることを見つけたいと思ってもなかなか自分の好きなことを見つけられないことも多いもの。特に繊細な子どもたちは周囲の人間関係を気にするために本心がわからない場合があります。HSP当事者に子どもがやりたいことを見つけるために必要な環境について伺いました。

1.繊細で学校が苦手な子どもに必要な教育をHSP当事者に聞きました。

学校では良い子で過ごしているのに、家では荒れる、学校のような集団の場では極度に疲れてしまう、人の目を気にして本当の気持ちをうまく言えない…

繊細であるがゆえに、周囲の人の気持ちを敏感に汲み取りすぎて自分の気持ちを出せなかったり、人との付き合いで極度に疲れてしまったりする子どもたちがいます。そんなHSC(Hyghly Sensitive Child:ひといちばい敏感な子ども達)は、学校で見せる姿以外にもユニークな個性を持っているかもしれません。

今回、HSCのように繊細な子どもたちが自分の良さを堂々と表現して生きていくためにはどうしたらよいのか、ピープルデザイン研究所主催(文部科学省共催)「超福祉の学校プロジェクト」から生まれた「トリセツワークショップ」の保護者体験会に参加しました。

トリセツワークショップは、発達の凸凹、障害の有無、性別などのチガイを超え、あらゆる感情を深掘りしていき、誰の顔色も伺わない自分の本質的な好き、嫌いを知っていくプログラムです。自分軸を確立していくこと=自分の取り扱い説明書をつくる取り組みを行っています。


トリセツワークショップの発起者たまおひろこさんは、HSP(Highly Sensitive Person:人一倍繊細な気質をもって生まれた人)のなかでも、HSSHSP(High Sensation Seeking:刺激追求型HSP)当事者で、凹凸っ子を育てる3人兄弟のお母さんで、発コミュ受講生でもあります。

大人の繊細さんである、たまおさんに、学校では本音を言えず生きづらさを抱える子どもたちにとって必要な教育とは何かをお話ししてもらいました。

2.なぜ繊細な子どもは本音を言えないの?

ーーたまおさん、よろしくお願いします。我が家にもHSC傾向の娘がいますが、学校では本来の自分を出していないなと思うことがよくあります。それゆえに苦しさを感じている部分もあって、なぜ本音を出せないのでしょうか?

「繊細な子どもや発達障害の子って本当はとても自分の感情にすごく素直なのですが、みんなそれを感じるのを止めてしまうんです。

“みんな一緒“に楽しむんだよ、進むんだよ、など、誰かの期待や同調圧力を敏感に感じて、その意向に沿うために、自分の怒りや悲しみの感情を抑えたり別の感情に変化させて頑張っています。

そうすると、当然自分が本当は何に怒っていたり悲しんでいるのか分からなくなってきてしまうんですね。」

ーー本当の自分の気持ちが見えなくなってしまうんですね。

「そうです。自分のことがわからなくなってしまうと、自分の好きを見つけて夢や目標に向かって踏み出したいと思っても、そもそもそれがわからなったり、必要以上に一歩を踏み出すのが不安になってしまったり、考えすぎて拒否してしまったりということが起きてきてしまいます。」

ーーそもそも、日本の学校のみんな一緒に楽しもうというような風潮があっても、影響を受けずに伸び伸びできる子と、繊細な子とではどのように受け止め方が違うのでしょうか?

「HSCの子って、相手の本心を汲み取っちゃいます。誰かと会話をしていても、その感情の裏にある怒りや悲しみ、いわゆる本音がわかっちゃう。

だから人と会うと、<発せられる言葉>と<本音>と2つ以上の情報を同時に大量に受け取っていくので、人と会うこと自体に相当疲れてしまいます。

ーーなるほど。それは本当にしんどいですね。

3.今の教育システムに問題がある?

ーー繊細な子どもたちにとってどんな環境があれば、自分自身を知って本来の自分を出して、大人になっていくことができると思いますか?

「学校などの身近な場所など、これからも続くであろう関係性の中では、同調圧力、誰かの期待に無意識に沿いたくなってしまいやすい。そのため、その関係が近しければ近しいほど、意向を汲み取ってしまい自分の感情が出しにくいという特性もあります。他者との境界線が薄いんですね。

だからこそ、身近ではない人たちが集って、本音を言える場が必要なんではないかと。いつ切れてもいい、嫌われても変と思われても別にいいやと思える場だからこそ、はじめて自分の本音を言えちゃうそんな場で、お互いの思っていることや、各々のチガイを対話していく場をまずはひとつでも持つといいよ、というのがトリセツワークショップの提案です。」

ーーたしかに、友達や先生に嫌われたらこの先どうしよう等と考えてしまうから相手に合わせてしまうというところがありますよね。嫌われてもいいと思えれば自分をとりつくろう必要もないですね。

物事の感じ方を含めて、「なんで自分は考えすぎてしまうんだろう」と否定していることが多いから、自分が安心感を得ながら「みんなと違ってもそれもいいじゃん」と体感できる場が必要です。

いいも悪いも、そのチガイを認めてはじめて自分軸の確立ができると思っています。その上で、他者の期待ではなく自分の期待から生まれるワクワクから夢を持ったり、叶えたりして自己実現をしていけるといいですよね。」

ーーお話を聞いていると、学校の先生や私たち親が子どもに対して想っていることを本当に敏感に感じ取っている子どもたちに、なんだか申し訳ないなという気がしてきました。人様に迷惑かけないように、将来困らないようにという親の気持ちを汲み取って生きてくれているのかなと。

「そうそう。だから、『学校や社会でみんなと同じように頑張りたい、友達と上手くやっていきたい』っていう風に言うような子がいたら、それがあなたの本心かどうかはまず疑って欲しい、っていうのがありますね。

発信元が、自分なのか、誰かさんなのか、その主語が誰かを再確認して欲しいんです。」

ーーみんないい子ばかりだと思うのですが、いい子やいい人だって怒りや悲しみの感情はあって当たり前ですもんね。それを誤魔化さないで認められる環境が必要だということですね。

4.まずは子どもの本来の姿を引き出したい

優しくて周りに気遣いできる子でも、家庭ではその反動で怒りっぽい、わがままと感じることが多くあるかもしれません。

外での良い子でいてくれる子どもの姿と比べてしまい、どうして家でもちゃんとしてくれないのかな?家と外と同じでいてほしいな、とお母さんは思ってしまいますよね。

けれど、繊細な子どもは自分の本心に反して、外で頑張りすぎているということがわかりました。

人は誰でも、怒りや悲しみなどのマイナスと捉えがちな感情を抱くもの。私たち親も、イライラしたり、ストレスが溜まったりすることはたくさんあります。

こどものネガティブな感情を否定せず、「そんな気持ちになったんだね。」受け止める。

子どもの感情の揺れを解決しなきゃと焦らず、一緒に気づき、「どうしたい?」と問いかけてあげる。

親子で一緒に感情に気づけるように日々の対話を大事にしたいと思いました。そんな日々の中で子どもは自分自身を知り好きなことを見つけていくのだと思います。

家族は子どもが経験する一番最初の社会です。

お母さんもいい姿だけではなくカッコ悪い姿を見せたり、楽しかったことを伝えたりして、親子で気持ちを伝え合う習慣を作っていきたいですね!

次の記事では、繊細な子どもと一緒に生きていく親が、どのようなスタンスで子育てしていくと親子で楽に生きていけるのかを聞いていきますのでぜひお見逃しなく!


たまおひろこさん
パーソナルコーチングを行うかたわら、
自分の取り扱い説明書をつくる、トリセツワークショップ発起者。
HSSHSP当事者であり、本音を語り合う対話を大事にしたワークショップを展開している。
▼詳細はこちらから
トリセツワークショップHP
超福祉の学校ホームページ

執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)

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