1.お子さんが荒れているのは反抗期だけのせいですか?
この時期、お子さんが、学校に行きたくないと泣いたり、暴言でアピールしたりすることはありませんか?
宿題の「しゅ」の字でも言葉にしようものなら「うるせえ!」と反抗しませんか?
この時期の「怒りっぽさ」にはさまざまなサインが含まれていて、実は丁寧に対応できるかどうかで子どもたちの発達にもダイレクトに影響があるんです!
その中でも、注意欠陥多動性障害(以下、ADHD)タイプの「怒り」についてお話しします。
パワーのある発達障害・ADHDキッズ、高学年になって荒れることがふえていませんか?
実は、ただの反抗期だと思ってもそこに発達の特性がからんでいることが多いのです。
2.思春期ADHDキッズのイライラの理由を紐解きます
なぜ、高学年のADHDキッズは怒りやすくなるのか?
その理由に迫ります!
・衝動性
ADHDタイプの子は脳のブレーキの役割を果たす部分の成長がちょっとゆっくり。
だからちょっとした刺激で急にヒートアップしてキレたり荒れたりすることがあります。
・気持ちを言葉にするのが苦手
発達障害グレーゾーンの子は怒りやイライラの裏側にある「気持ち」を適切に表現するのが苦手な子が多いです。
ボキャブラリーが少ない、伝えることが苦手、だから「怒り」でアピールします。
・自己肯定感が低い
ADHDグレーっ子は学校でも、お家でも、悪目立ちをしやすく怒られることが多いです。
高学年になるまでそんな経験をたくさん積んできているので、自己肯定感が低く自分を防衛するために攻撃的になることもあるのです。
・二次障害
元々持っている特性とは異なり、怒られすぎの経験などから二次障害を発症する子もいます。
それがプレ思春期・思春期という時期の難しさでもあるんです!
さあ!ここまであらためて理由を整理してみました。
一見、言うことを聞かない、反抗的な態度をしている、“だけ”に思われがちなのですが、発達障害グレーゾーンの子の「怒り」は特性が影響していることが多いのです。
つまり、やみくもに叱っても意味がないのです。
応戦したり、力ずくでねじ伏せる(私は昔やっていました…)方が感情のコントロールがもっと効きにくくなるので要注意です。
では、なぜやみくもに叱っても意味がないのかについて受講生さんのご相談をもとに解説します!
3.3週間ごとに大きな成長をみせた親子のストーリー
発達科学コミュニケーション(以下、発コミュ)流の対応で暴言やキレやすさのあったお子さんを落ち着かせたママの体験談をご紹介します。
小学校4年生、男子のお母さんの体験談です。
こちらのお母さんはお子さんの怒りっぽさやキレやすさにお悩みでした。
発コミュ受講前、お子さんに勉強、学校の準備などで声をかけると、「うるさい!」「だまれ!」といった乱暴な言葉や態度で返ってくる、というご様子でした。
お母さんも「言わないとやらないくせに!」と思い、ついイライラして強く言い返していたそうです。
ですが、発コミュ講座の回数を重ねるごとにお子さんは大きな変化を見せてくれたのです。
発コミュでは毎回講座の冒頭で、前回の講座以降お子さんとお母さんにどのような変化があったかを振り返っていただきます。
こちらのお母さんも2回目以降の講座では、毎回親子の大きな変化をご報告くださいました。
・2回目の講座での振り返り
「素直になって会話が増えました」と語ってくださいました。
その日の給食のメニューの話や友達と何をして遊んだか、などたくさん話してくれるようになり、親子での穏やかな会話の時間がぐーんと増えたそうです。
・3回目の講座での振り返り
「行動の切り替えがスムーズになりました」と報告してくれました。
お母さんがひと声「学校の準備、いつする?」と声をかけると、「じゃあ、●時になったらやるよ」といって自分から動くようになったそうです。
・4回目の講座での振り返り
「苦手なことにもイライラせずに向き合えるようになりました」とお話しくださいました。
宿題でわからないところがある、友達と意見が合わない、などお子さんにとって「イライラスイッチ」が入りやすい場面でも怒ることがなくなったそうです。
こちらのお母さんは発コミュのテクニックを使ってお子さんの「怒り」を落ち着かせることができるようになりました。
お母さんが声のかけかたを少し工夫することで、お子さんへの伝わりかたが大きく変わったのです。
では、お子さんと言い合いになってしまうことにお悩みのお母さんは、どのように声のかけかたを変えればよいのでしょうか?
次の章で詳しい方法をお伝えします。
4.発達障害に悩む親子のイライラを手放す3つのステップ
このお子さんにとって一番大切だったのは「感情を刺激しない声かけに変える」ということでした。
感情を刺激しない声かけの方法は、次の3ステップでマスターすることができます。
ステップ1
できないことに注目しない!肯定的なコミュニケーション
「おかえり!学校がんばったね!」
「ご飯たくさん食べたね!」
「今日の給食〇〇だったの?おいしそうだね〜」
等、何気ない会話でOKです。
ステップ2
子どもをイラっとさせない、シンプル&ポジティブな指示の声かけ
「学校の準備したの⁉」という上から目線の声かけでなく、「何時にやるの?」と具体的な聞き方で子どもがやってもやらなくても怒らず毎日声をかけてあげると効果的です。
ステップ3
子どもがイライラを爆発させたらスルー&落ち着いたら肯定のワンアクション
子どもがキレているときに「そんなことくらいで怒らない!」と怒りかえさないことがポイント。
たとえ、物を投げていても、暴言を吐いてきても、とりあわず子どもが落ち着いた頃にすかさず、「自分でおちつけたね!」と肯定してあげます。
先ほどのお母さんもこのステップで感情を刺激しない声かけができるようになりました。
明るく、楽しく、わかりやすい会話で脳を元気にしてあげるとイライラが落ち着きやすくなります!
子どもが感情的になっている時は「思考」「判断」「行動」などの脳の活動はお休みモードになります。
だから子どもが、イライラ、怒っている時間をいかに短く、少なくしていくか、それがとっても大切なのです!
「怒りっぽさ」「キレやすさ」を持ち合わせた発達障害・ADHDキッズも毎日の関わりの中でその「怒り」を落ち着かせれば持ち前の明るさ、素直さ、行動力を伸ばしてあげやすくなりますよ。
執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
発達障害グレーっ子の暴言、暴力を落ち着かせるヒントがあります