1.発達障害グレーゾーンの子どもが感じる学校生活のツラさ
発達グレーゾーンの子どもは、私たち大人が感じる以上に学校生活でダメージを受けやすいです。
どんな困りごとを感じているのか、みてみましょう。
自閉症スペクトラム(ASD)タイプの子は、周りのザワザワした環境が苦手だったり、友達関係が苦手だったり、集団よりも自分のペースで動きたいなと思っていたり…学校では色々なストレスを感じています。
一方、注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプの子は、集中力のなさから授業についていくのが辛かったり、悪気はないのに先生の指示を聞き逃すなんてことがあります。
また、時間を守ったり身の回りの整理が苦手、自分の興味を優先してしまい、周囲に迷惑をかけてしまうことも。「悪目立ち」しやすいので先生から注意されやすく、自己肯定感が下がり、学校への苦手意識が生まれやすくなります。
学習障害(LD)の子は
「書けないなら書けるまで練習して!」
「音読は何回も繰り返し練習して!」
といった具合に1つの方法でしか勉強の仕方を提案されないのでこれまたしんどい。
また、発達障害でなくてもひといちばい敏感なタイプの子も学校生活でダメージを受けやすい。お友達の気持ちを読み取ったりその場の空気を感じ取ったりする「共感するチカラ」「状況を察知するチカラ」が強くて多くの刺激を受け取りつづけるので疲れやすかったり、本来持っている力をうまく発揮できないこともあります。
子どもたちは大人の想像を超えて疲れやすいしストレスを抱えやすいのです。
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2.なぜお母さんは子どもに無理をさせてしまうのか?
「もう学校なんて嫌だ!」とお子さんが言ったら、焦ってしまいませんか?「なんとか学校に行かせよう」「勉強だけはさせよう」と思って、お子さんとの関係性が悪化してしまう場合もあるかもしれません。
お母さんが焦ってしまうその原因の1つが「大人のモノサシ」が1つしかないからではないかと私は思います。
大人のモノサシとは何かと言うと…
・学校に行けば安心
・成績が良ければ安心
・授業を受けていれば安心
こんな大人の暗黙の常識を大人のモノサシと私は命名しました。
「良い子」の枠にあてはまっていれば、先生もお母さんもなんとなく安心してしまいます。
例えば、学習に関して苦手さのないASDタイプの子の場合、テストの点が良く、授業も理解しているようであれば、大人からは「問題なし」と思われがちです。
授業を乱すわけでもなくテストをすればそこそこ点もとれるので大人の決めたモノサシからは、はみ出ない子も多く、見過ごされてしまうのです。
万一、お子さんが「学校に行きたくない」と言ったとしても、「勉強はできるんだから学校だけはなんとか行かせたいんです」と言ってお母さんもうっかり無理をさせてしまったり…ということも起こりがちです。
勉強が苦手な子も、他に頑張れることがあったり、優しいところがあったりするのに、なかなかそこを認めてもらえない…
静かな環境で1人だったら落ち着いて過ごせるのに、集団の中にどうしても入らなくちゃいけない…
こんなモノサシが1つしかない社会は発達障害グレーゾーンの子ども達にとってはモーレツに生きづらいのです。
お子さんの「お疲れセンサー」が作動しているときの様子を把握できていますか?
・朝起きるとため息が多い
・ぼーっとしている時間が多い
・以前できていたことをやらなくなってきた
・暴言や反抗が増えてきた
・学校に行きたがらない
・落ち着きがなくなる
・体調を崩しやすい
お子さんによって様々な様子がみられます。
発達障害グレーゾーンの子ども達のSOSはこのような様子から見られることもあります。観察してお疲れセンサーがピコピコ点滅がしていたら、お子さんのエネルギーを回復させてあげる対応にシフトしましょう!
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3.子どものエネルギーを回復させるお母さんの会話術
お子さんのエネルギーが減ってきたときは、親子の会話によってお子さんの気持ちを「吐き出させる」ことをしてあげましょう!
この時に大事なのが、親の意見やアドバイスは封印してお子さんの気持ちを聴いてあげることです。
子どもとの会話がうまく続かないお母さんに共通しているのがお子さんの話を聴いているときに「こうすればいいのに」という態度がにじみ出てしまっているという特徴です。
そうすると、子どもは「どうせ話しても無駄だし」と思って話をしなくなってしまいます。
子どもが自分の感情を整理して問題に立ち向かう心の準備ができるまでひたすら聴き続けましょう。
つい「そういう時はこうすればいいの!」とか「そういう考え方はダメだよ」と大人側の意見をポロリと言ってしまいがちです。
意見を言いたくなる気持ちを一旦封印して
「そっかー」
「そう思ったんだね」
「それから?」
「へー」
と聴いて、悔しかったこと、嫌だったこと、怖かったこと、その時のお子さんの気持ちを受けとめてあげてください!
うまく説明できずにシクシク泣いたりバタバタしていたらその様子ごと受け止めます。
「うまくできなくて悔しかったんだね」
「先生のこういう言い方が嫌だったんだね」
とお母さんが代弁しながらお子さんの気持ちを探っていきます。
お子さんは自分の気持ちにぴったりな言葉をかけてもらうことで興奮が収まったりします。
そして、お子さんのエネルギーが減っているときは無理やりコントロールしてあれこれやらせすぎない!これが鉄則です。
観察上手・聴き上手なお母さんになって、発達障害グレーゾーンのお子さんが疲れているサインを見逃さず、家庭でエネルギーを回復させてあげましょう!
執筆者:清水畑 亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
▼観察上手・聴き上手なお母さんになれるヒント、発信しています!