1.不登園の原因は何?
幼稚園や保育園を『行きたくない!』という子どもの言葉には以下に挙げる様々な原因が考えられます。
新しい環境への不安:慣れない場所、人、活動への見通しが不十分
親と離れる不安:お母さんと一緒にいたい、離れるのがイヤ!という強い気持ち
集団生活のストレス:友達や先生との関係がうまく築けない、遊び方が合わない
未就学の子どもにとって幼稚園や保育園の行き渋りはよく見られることもありますが、不登園になるほど幼稚園や保育園を嫌がる場合は発達障害の特性が隠れていることも伺えます。
不登園は義務教育ではないので、正確な人数を把握することは難しいとされており、診断のついていない発達障害グレーゾーンの子どもの場合、対応はお家にお任せになってしまいます。
次からは年少から不登園の発達障害グレーゾーンの息子が小学校に入学するに当たり、特性を理解した環境作りや学校への支援の伝え方をお伝えします。
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2.年少から不登園になった発達グレーの息子
我が家には現在小1の息子がいます。
1才児クラスで保育園に入園も2才児クラスになってから行き渋り増加、3才児クラスで転園したこども園でも更に行き渋りが強くなり、担いで登園する日もあり、へとへとの毎日でした。
行ってしまえば楽しく過ごせている様子にご褒美なども利用して、何とか行くように頑張ってはいたものの12月にあったクリスマス劇を最後に『絶対行かない!ずっと家にいる!』と強い拒否を示し、この時点で登園を諦め、家庭保育に移行しました。
息子は病院での診断はついていませんが、こだわりや感覚過敏の強さ、人との交流の苦手さを考えるとASD(自閉症スペクトラム)グレーゾーンの傾向を感じていました。
家庭保育を2年以上行う中で、息子は家族以外の人との交流は望まず、お家の中で常に手を動かし、物作りに励んでいました。
SDガンダムを40体作ったり、対象年齢が8才以上のレゴシリーズを何個も組み立てたり、ミニ四駆を自分流にアレンジしたり、好きな活動を1人で黙々と行っているのが大好きでした。
年長の冬までは『小学校は行くよ』と言っていましたが、小学校の見学に行った後からは『やっぱり小学校は行かない』と考えが変わり、怖い夢を度々見るなど不安が強くなったため、ホームスクールの選択を考えていました。
3.ぶれない子育ての軸を持つ
発達凸凹の子育ては周りに無理して合わせるのではなく、親が子どもの特性を理解し受け入れる、子育ての軸を持つことが大切です。
年少から不登園で2年以上家庭保育を行っていた息子への小学校入学準備は以下の2点を重点的に考えて行いました。
◆子どもが伸びる環境の視点
息子にとって普通級か特別支援学級、どちらがベストな環境なのかをよく考えました。
1番大事にしたのは本人の意思です。息子には『人数が多いクラスと人数が少ないクラス、どっちがいい?』と聞くと『少ないクラス!』と即答したので、特別支援学級を希望しました。
医学的診断がついていない発達グレーの息子が特別支援学級を選択したことについて、義父と主人から『何で特別支援が必要なの?普通のクラスじゃダメなの?』と言われました。
しかし、息子が伸びる環境はどこか?という視点で考えると、少人数で個別支援が可能な特別支援学級が合っていることがはっきりしていたので、周りから別の意見を言われてもぶれることはなく進めました。
◆子どもの特性を理解してもらう
小学校入学に向け、困りごとを抱えていた息子への理解を促すために、息子の特性を丁寧に伝え、理解してもらうようにしました。
就学相談や、入学前と入学直後に小学校の先生達と複数回の面談を行いました。
今までの経過、本人の気持ち、親の希望、本人の特性などを文書にまとめて、説明しました。
息子の特性は
①対人交流が苦手(家族以外の人の不安や警戒心が強い)
②こだわりの強さ(興味の幅が狭く、やりたいこととやりたくないことがはっきりしている)
③感覚過敏(味覚過敏があり給食が食べられない・視線に過敏で人に見られたくない)
これらの特性により小学校生活の適応は難しさがあること、本人が小学校に行かない意思を示しているので、息子の特性と環境が合わない場合はホームスクールを予定していることも伝えました。
入学式欠席に対しても、先生達は『本当に良いのでしょうか?』と確認をもらいましたが、集団が苦手な息子に無理強いして参加できたとしても小学校のイメージがますます悪くなるだけなので、ここでもぶれずに欠席を貫きました。
いずれにしても息子の気持ちを最優先する親の気持ちを伝えました。
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4.小学校は行かない!入学式も欠席した息子が喜んで小学校に通う日々
『小学校は行かない!入学式も出ない!』と言う息子の考えは受け入れましたが、教科書を取りに小学校へ行く約束を息子としており、入学式が終わってから担任の先生と初対面できました。
特別支援学級の担任の先生は新卒の若い男の先生で、優しそうな雰囲気が溢れていました。息子は3人兄弟の末っ子なので、同性の若い男の先生はまるで大きなお兄さんのよう。相性はぴったりだと感じました。
初対面で息子の当時1番はまっていた将棋とベイブレードの話をしました。学校側は将棋とベイブレードを持ってきて、一緒にできる可能性を伝えてくれました。
すると、息子の表情はキラキラと輝き『先生と将棋とベイブレードがしたい!小学校行きたい!』となり、翌日はランドセルの中に将棋セットを入れ、大きな紙袋にベイブレードをごっそり持っていきました。
人に見られるのを嫌がる息子に学校では別室を用意してくれ、先生とマンツーマンで将棋とベイブレードを楽しみました。
それ以降、息子は『明日も小学校行く。早く行きたい。もっと長くいたい』と気持ちが180度変わり、小学校が大好きになりました。
入学して1年が経とうとしている現在は、特別支援教室で3時間ほど大好きな先生と楽しく過ごし、他の学年の特別支援の子と徐々に交流も持てるようになりました。
いかがでしたか?
幼児期に不登園を経験した息子でしたが、本人の特性に寄り添った環境を整えると、小学校に毎日楽しく通うようになりました。
発達凸凹の子どもは大多数の普通とされる子どもとは違う発達のペースや方法を持っています。
だけど、普通じゃないって弱みじゃない!
子どもの特性に合わせて、寄り添った対応をすることで、どの子も可能性の花が開きます。
子どもの安心できる環境を増やし、理解ある支援のもとで子どもの成長をみんなでまるっと伸ばしていきましょう!
執筆者:みしまひかり
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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