1.完璧主義は考え方の問題?
完璧主義とは何事にも完璧でありたい、という考え方や傾向のことを指します。
完璧主義は別の言い方をすれば、100-0思考や白黒思考とも言われ、良いか悪いか、好きか嫌いか、敵か味方か…などのように極端な考えになり、理想を高く追い求め、できていない自分を追い詰めてしまうことも見られます。
考え方に柔軟性があると『まっいっか~』、『今の自分のレベルはここか。次に頑張ろう!』と思えることも、できない自分ばかりがフォーカスされ、自信を失う原因にもなりかねません。
脳は行動する事で発達します。完璧主義が強いと失敗やミスを恐れ、行動しなくなる傾向も見られるので、結果として脳の発達も遅れがち・・・の可能性もあります。
発達障害グレーゾーンの特性で完璧主義からくる困りごとの例はこちら。
問題を間違えるのが嫌だから、宿題はしないと拒否
字を書く時に見本と一緒でないと納得できず、癇癪を起こす
失敗するのが嫌だから最初から挑戦しない
自分が思い描く理想と現実が違うことを受け入れられず、癇癪をおこしたり、次からはもうやらないと諦めたり、考え方の偏りがあり、修正ができにくいので、対応に苦労する場合も見られます。
次からは完璧主義の強かった息子の様子をお話しします。
【期間限定ダウンロード】
不登校で無気力になった子の
動き出す兆しを見逃さない!
休んでいる間に発達が伸びる!
↓↓↓
*小冊子は登録のメールに無料でお送りします
2.完璧になりたい!元不登校の発達障害グレーゾーンの息子
我が家には完璧主義が強く、吃音・HSC・視線恐怖で小2から不登校になった発達障害グレーゾーンの息子がいます。
小2~小3の完全不登校中は『あ~あ、言葉が詰まらなければ学校に行けるのに』、『ギャグを言いたいけど、言葉が詰まるから言えない』と吃音を気にして、やりたいことができない状態でした。
小4~小6の別室登校で勉強を始めた時も字を上手に書きたいあまり、何回も書いては消すを繰り返し紙が破けたり、図工の絵を書くときも実物と同じ色合いを出すのにとても時間をかけ提出期限が過ぎたり、テストの点数を褒めても『100点取れないと意味ないでしょ』と言うことがありました。
学校に行きたい、クラスに入りたい、みんなと楽しく話したい…そんな気持ちを持っていた息子でしたが、吃音を伴うコミュニケーションや学習面で完璧でありたい思いが、その先の一歩が踏み出せずに葛藤していた時期でした。
その頃は息子の完璧主義の背景には自分のことを認めて欲しい気持ちの表れなのでは?と思い、ひたすらできている部分を肯定していました。
中学校入学を控えた小6の時期、息子は『中学校は普通のクラスに入りたい』という強い意志がありました。
そこで取り組んだことは息子の完璧を目指す考え方の枠を広げて、「完璧でなくても方向性を間違わずに行動していけば大丈夫だよ、とメッセージを届ける対話に努めていました。
3.完璧主義な子どもと行う親子の対話3ステップ
完璧主義の傾向が強い息子と中学校入学に向けた親子の対話をご紹介します。
ここでの3ステップは共感→I メッセージ→方向性の確認、の順で行いました。
小6の時に息子から以下のような提案がありました。
『中学校は普通のクラスで勉強したい。そのために全部の教科で100点取りたいから1年生から6年生までの全部の教科の問題集を買ってほしい』
◆共感:まずは相手の気持ちを笑顔で受け入れます。
『そうなんだ~。勉強を頑張りたい気持ちはとってもいいね』
◆Iメッセージ:私はこう思うよ、と事実を交えて他者目線からの考えを伝える
『ただ○○(息子)は学力テストでも平均点以上の点数だし、十分理解しているんだよね。お母さんが思うのはクラスに入りたかったら、自分から友達に話しかける勇気を持つのはどう?』
◆方向性の確認
『クラスに入りたい目標があるとするでしょ。そうなると全ての教科で100点を取ることよりも自分から人に話しかける勇気の方が大事じゃない?山に登るときも正しいルートで一歩ずつ前に進んで頂上をめざすように、なりたい自分に向かって努力する方向性って大事なんだよね』
他にも息子から『吃音を治したいから治療プログラムをやりたい』という提案を受けました。
ここでも同様に
『そう思うんだね』と共感し、
『吃音はその時の精神状態によって強く出たり、弱くなったりするんだよね。お母さんが思うのは吃音が出ても気にせず話す勇気を持つのが大事だと思うよ』とIメッセージを伝え、
『吃音を治そうと治療プログラムを頑張るより、吃音はあっても自由に話してみる。この方向性が大事だと思うけど、どう思う?』と方向性を確認
いずれの問いかけに息子は『そうなんだけど…』と自分の中で再び考えることが見られました。
【期間限定 12月末まで】
荒れる・暴言・泣く!
学校を休んでいる間に
感情コントロールができる子に
変わります!
4.完璧でなくても挑戦できるようになった息子の変化
小2から不登校になり、5年間クラスに入れず、吃音を伴うコミュニケーションや学習面に自信がなかった息子でしたが、中学校入学で別人のような変化を見せました。
入学式後から5年ぶりにスクールバスに乗り、5年ぶりにクラスに入り、自分から友達に話しかけられるようになったのです。
帰宅後、『今日は○○君と友達になったよ』と嬉しそうに報告をしてくれる息子。
クラスメートやスクールバスを待っている他のクラスの同級生、入部したバドミントン部の部員に自分から積極的に友達作りを行っていました。
担任の先生や同級生のママさんから、息子が学校で手品を披露していること、友達とギャグを言っている様子を聞いてビックリ!
入学してすぐにあった学力テストでも良い点数が取れた教科とあまり点数が取れなかった教科がありましたが、気落ちすることなく、日々の勉強も自分から頑張る様子が伺えました。
息子にとって完璧でありたい気持ちが行動を起こす上で、壁になっていましたが、完璧でなくてもいいんだ!今の状態で勇気を持って行動してできた!
その1つ1つの自信の積み重ねが大きくなって、イキイキとした中学校生活を送れるようになりました。
いかがでしたか?
完璧主義で思うように行動が起こせない場合でも、親子の対話によって、方向性をお互い確認しながら進むべき道が見えてきます。
ぜひ共感+Iメッセージ+方向性の確認の3点セットの会話で、完璧主義の強いお子さんの叶えたい未来を行動しながら実現していきましょう!
執筆者:みしまひかり
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
安心できる関わりが明るい未来に繋がります!こちらで毎日配信中▼