1.「学校にいく意味がわからない。」と言うお子さんに困惑しませんか
発達障害・注意欠陥多動性障害(以下、ADHD)の子どもたちの「飽きっぽい」「つまらないとすぐに言う」…といった様子を見ると私たち大人は「やる気がない!」と誤解してしまいがちです。でも、この「飽きた!」発言の裏側には、さまざまな課題が潜んでいます。
我が家の息子は、ADHD強めプラス自閉症スペクトラムと学習障害がミックスのグレーゾーンキッズです。 中2の1学期から不登校になりました。当時息子は「学校にいく意味がわからない」「つまらない」「飽きた」そう語っていました。
今になれば「つまらない」の裏側には、さまざまな背景があることがわかります。
この記事では、そんな我が家の体験談と、発達科学コミュニケーションの視点で「学校がつまらない」「面倒くさい」「飽きた」発言の裏側にあるつまずきの正体を紐解きます。
もうすぐ夏休み、学校嫌いから卒業させる夏休みサポートのヒントもあわせてお伝えします!
2.発達障害・ADHDの子どもたちの「学校がつまらない」原因とは…
発達障害・ADHDの子どもたちは「つまらない!」と表現しているけれど、本当の問題は別のところにあることがほとんどです。彼らの「飽きっぽい」「つまらない」は「ついていけなくて面白くない」という意味合いのこともあるし、「本当に興味を持てない」という意味合いのこともあります。
・授業を聞いているのにわからないから面白くない。
・集中力が続かないから聞いているのが苦痛になる。
・授業で「主人公の気持ちは?」などと聞かれても理解ができない。
・係のシゴトなどに興味を示すことができない。
…など、こんな発言をお子さんから聞いたことはありませんか?もう少し紐解いて考えてみましょう。
◆不注意という特性
先生から大勢に向けて発せられる言葉や話をうまくキャッチすることが苦手で、決められた授業中、継続して集中力を保つことが苦手です。こんなふうに、ADHDの子どもたちにとっては集中を保つことが辛いのです。
◆抽象的なことへの理解が苦手
学年が上がってきて抽象的な勉強が増える一方で、人の気持ちを推察することが苦手だから理解が追いつかない。だから授業で、「主人公の気持ちを推察しなさい」といわれてわからなくなったり、お友達や先生との会話やコミュニケーションでトラブルになりやすかったりします。
◆興味のあることしか頑張れない
興味のあることには飛びつくのに、それ以外は全く反応しない、これもADHDの子どもたちにあるあるです。脳は得意なことから伸ばす!が鉄則なのですが、学校では「みんな一緒に」「みんながやる通りに」を求められるので、つまらなくなってしまうのです。
◆ボキャブラリ・コミュ二ケーション力の未熟さ
発達障害・ADHDの子どもたちはボキャブラリが少なかったり、会話の中で自分の気持ちやできごとを整理して伝えるのが苦手だったりするので、そもそも的確に伝えることができていない場面も多いです。
いかがですか?お子さんが「飽きた!」と言っても、「やる気がない」と決めつけずに、「どうしてその発言が出ているのか?」を分析して、上手にサポートしていきたいですね!
3.発達障害・ADHDの子どもたちは学校で日々精一杯がんばっている
発達障害・ADHDの子どもたちは、私たち大人が考えるよりも「大変な環境」の中で、毎日がんばっています。授業1つをとって考えてみても、授業を聞こうとすると何倍ものパワーを使います。だから人一倍疲れやすいのです。
それなのに、発達障害・ADHDの子どもたちはパワフルで活発なので、疲れていることを周囲の大人に気づかれにくいのです。でも「元気に学校に行っている」=「困っていない」ではないんですね。
がんばっている中で注意されたり叱られたりしているうちに「あーあ、学校つまらない!」…となるのです。
このままでは、子どもの自己肯定感も下がり、学校嫌いが加速して登校しぶりが不登校に変わり、長引くリスクも高まります。では、そんなお子さんに、この夏どんなサポートをしてあげると良いでしょうか?
4.夏休みのサポートがオススメ!親子の会話で脳が育ちます
夏休みは、お子さんの一番の理解者であるお母さんとの会話を通じて、子どもに「学習」させてあげることをおすすめします!
学習といっても、宿題や塾でお勉強をさせることとは違います。やりたいのは、子どもに気づかれることなく脳を育てる親子の会話を増やすことです。
まずはお子さんに声かけをするときに3S「優しくSweet」「ゆっくりとSlow」「笑顔でSmile」を意識しましょう。お母さんの声かけがお子さんにスムーズに届くスタイルに変われば、お子さんの「聞く」チカラは育ちやすくなります。
わかりやすい言葉を、何回も繰り返し聞くことで「集中する」「理解する」チカラも育ちます。また、お子さんが話し始めたら「そうなんだね」「へー、それで?」と本人の言葉を引き出すようにします。
そして「あなたの話は伝わっているよ」ということを、お母さんのリアクションで伝えてあげましょう。これが、お子さんの自信に繋がっていきます。また、「こういうことを言いたいのね」とまとめて伝えてあげることで、どんな伝え方をすれば人に伝わるのかを知るチャンスにもなります。
親子の会話を通じてさまざまな「感情」に触れることが、自分の気持ちや相手の気持ちを理解できる力をのばすのです。
こんなふうに、集団の中では難しかったコミュニケーションも、家庭の中で1対1で丁寧に体験することで、子どもたちの脳のネットワークが育っていきます。脳のネットワークが育てば子どもたちの「やる気」が育つ機会が増えていきますよ!
執筆者:清水畑亜希子
発達科学コミュニケーショントレーナー
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