1.不安になってすぐにあきらめてしまう目立ちたがり屋
学校で自分の存在をアピールしたくて頑張る発達障害グレーソーンの目立ちたがり屋さん。
一所懸命頑張ろうとするけれど、思っていたような自分になれなくてイライラ。
追い討ちをかけるように友達から指摘された瞬間、不安になってやる気がプツンと切れてしまう。
そんなお子さんの様子はありませんか?
発達障害でも注意欠陥多動症(ADHD)の特性を持つ子どもは衝動的にやりたい!と思ったら積極的に行動を起こす素晴らしい行動力を持っています。
ただ、うまくいかないことが起こると突然活動量が低下し、行動せずに終わってしまって、お母さんもがっかり。
子ども自身もできていない、やっていないことは理解しているので、自分で自己肯定感をさげてしまっています。
普段からADHDの特性で忘れ物が多かったり、不注意で怒られることも多いので、自分が周りと同じようにできていないことに気づき自己肯定感も低くなりがち。
思春期に入り、お母さんが自己肯定感を上げようと、できているところを褒めても、そんなことは当たり前と思っているので、メンタルが回復していかない。
なんとか自分でやると決めたことを最後までやり遂げさせてあげたいお母さんへ、我が家の取り組みをお伝えします。
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2 .発達障害の息子が自ら立候補して不安をMAXにしてしまった
発達障害グレーゾーンでADHDの特性を持つ息子は中学2年生の時、合唱コンクールのピアノ伴奏に立候補しました。
目立ちたがり屋でしたので中1の時にもピアノ伴奏しましたが、その時はピアノ賞が取れなかったのでリベンジする!と張り切って立候補したそうです。
「俺は去年のクラスのようにみんなで合唱コンクールを頑張りたい。」と教えてくれました。
息子は中1の時にピアノ伴奏で中心的になりクラスを盛り上げ、お友達からも認められた成功体験があったので、今年のクラスでも伴奏すれば認めてもらえるから立候補したようでした。
ところが、渡された楽譜がバイエルをやり終えた息子にはとても難しい曲で、その時点で「 もー無理!」と言って、やる気のテンションは吹っ飛んでしまいました。
息子がそんな気分になっているところに、さらなる友達からの追い討ち。
「そんなの簡単でしょ?」「なんで弾けないの?」
ピアノが弾けないお友達から言われる言葉に腹をたて、
「クラスのみんなは合唱を頑張る雰囲気ないし、俺、やる気ない!」
と不貞腐れてしまいました。
そうは言いながらも本人は完全に放棄した訳ではないのは見てわかりました。
「俺以外弾きたいやついないし…」
発達障害の息子のクラスで認められたい思いを叶えるにはピアノ伴奏はきっかけになるし、親として息子がやり抜いた時に得られる自己肯定感や達成感のチャンスを逃したくないと思いました。
日に日に近づく合唱コンクールの日。
ポツポツ練習はしていましたが、この調子だと間に合いそうにありません。
ピアノの先生のところにも通い詰め、それでも合唱の練習の時にはきちんと弾けていない。
周りの大人は「昨年もがんばれたし、今年も大丈夫よ!」と励ましの言葉をかけますが空回り。
「俺はもう絶対に弾かない!」
と言って家の廊下でひっくり返って喚くことが頻繁に起きるようになりました。
不安で仕方がなくなり感情も抑えることができなくなってきてしまったんです。
3 .中間テストは捨てよう。お母さんは怒らないから
子どもが感情を抑えられなくなった時は発達科学コミュニケーション(以下発コミュ)のテクニックを使って、観察しながらも見て見ぬ振りをして相手にせずスルーするのが効果的です。
感情が落ち着いたところで即座に
「お母さんはあなたのピアノの音が好きだよ。」
と私の思いを伝え、息子のありのままを受けとめているよと安心させます。
「自分でもうできないと言ったら自分が辛くなるよ」
「自分はできると信じてごらん。」
と一歩踏み出せるように背中を押す声かけをしていきます。
少し前向きに捉え始めたところで、
「去年も1小節ずつ練習して弾けるようになったでしょ。今年も少しずつクリアしていこう。」
とやらないといけないことを分解して、できるかもしれないと思える声かけし、気持ちを軽くさせて、
「家族も応援してるし、お友達のママも応援してる。ピアノの先生も応援してる。」
と目立ちたがり屋の息子をみんなが見ているよとイメージを膨らませる声をかけて、頑張る意欲を出せるように促しました。
合唱コンクールの2週間前には中間テストがありました。勉強させるとピアノ伴奏は間に合わない。
今勉強させることよりもピアノ伴奏の成功体験の方が息子の人生にとって大切な土台になると信じている私は息子に伝えました。
「中間テストは捨てよう。どんな点数をとってもお母さんは怒らない。」
「それよりも合唱コンクールでピアノ伴奏をする姿をみたい!」
息子は驚いて、
「え!!そんなことしてもいいの?どんな点数になるか知らないよ!」
というので
「期末テストで挽回すればいいから。勉強せずにどれだけ取れるのかわかるのもいいんじゃない?」
と笑って返事をしました。
勉強しなくてもピアノを頑張ることで応援してもらえると思った息子はそこから熱心に取り組むようになり、YouTubeで合唱曲の演奏を聞いて真似て、合唱シーンを流しながら合わせて弾く練習を繰り返し始めました。
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4 . お母さんの声かけで成功体験だった認識させることが大切
合唱コンクールの本番は細かいミスはありましたが見事に弾いてくれました。
弾き終わった後、廊下で息子に会いました。目立ちたがり屋の息子が泣いていました。
喜んでいるのかなと思ったら担任の先生が困った様子だったので息子と二人で話をさせてもらいました。
「間違えた。ミスが多かった。俺のピアノでお前ら優勝できたんだと言ってやりたかったのに、自分がミスしたことが悔しい…」
それを聞いた私は息子が自分で自己肯定感を下げないように、
「よく頑張ったよ。上手に弾けてたよ。みんなすごいって言ってたよ。」
「クラスが優勝したのはピアノ伴奏があったからでしょ」
「自分は頑張ったんでしょ?それなのに自分で自分を傷つけるようなことを言ってどうするの。」
「よくやったよ。頑張ったよ。自分で自分を褒めなさい。ここまでよくやったと褒めなさい。」と声をかけました。
学校から帰ってきた息子が
「お母さんに廊下で会って、励ましてもらって、よくよく考えた。せっかくクラスで優勝したのに自分が泣いていたら、歌ったみんなが喜べなくなると思った。素直に喜ぶことにした。」
と気持ちを伝えてくれました。
”お母さんはありのままの自分を受け止めてくれている”と子どもが確認できて、”ありのままの自分でも大丈夫なんだ”と子ども自身が受け止めたとき、子どもは安心してまた一歩踏み出します。
子どもを一番力強くサポートできるのはお母さんです。
お母さんの声かけで、発達障害グレーゾーンの子どもたちにやり抜く力を授けてあげましょう。
執筆者:中曽根里美
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
目立ちたがり屋の凸凹キッズを楽しく発達させていく声かけをお伝えしています。