1.不登校の子が「面倒くさい」とお風呂に入らないのは怠けているから?
登校していたときは普通にお風呂に入っていたのに、不登校になってから積極的にお風呂に入らなくなった。
そんな声を聞くことがあります。
2〜3日に1回。
ひどいと5日間入らない。
思春期の男の子だと、皮脂の分泌も多く、ニオイも気になりますよね。
ママとしては、
「学校にも行ってないのに、お風呂くらい入ってよ」
「ちゃんと入らないとニオイも気になるし、体にもよくないでしょ」
と言いたくなるかもしれません。

その気持ちは、とても自然です。
けれど、不登校の子がお風呂に入りたがらないのは、ただの「面倒くさい」だけではないかもしれません。
お風呂に入らない姿の奥には、不安、無気力、疲れ、防衛反応が隠れていることがあります。
お風呂に入らせることより先に、「なぜ今、それすらできないのか」を見ることが大切です。
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2.不登校の子がお風呂に入れない本当の理由
私たち大人にとって入浴は、
- リラックスできるもの
- 1日の疲れをとるもの
- 体を清潔にする当たり前の習慣
と感じることが多いですよね。
けれど、不登校になって傷ついている子、不安が強い子にとっては、お風呂がまったく違うものに感じられることがあります。
不登校の子がお風呂に入らないのは、衛生意識が低いからではありません。
不安や無気力によって脳が防衛モードに入り、着替えや入浴のような日常動作にも大きなエネルギーが必要になっている状態です。
お風呂に入るには、実はたくさんの工程があります。
- 服を脱ぐ
- 浴室に入る
- シャワーを浴びる
- 髪を洗う
- 体を洗う
- タオルで拭く
- 服を着る
- 髪を乾かす
元気なときには当たり前にできることでも、行動量が落ちている不登校の子にとっては、ひとつひとつが大きな負荷になります。
だから、
「お風呂に入らないといけないのはわかっているけれど、体がついていかない」
という状態になることがあるのです。
また、不安が強い子にとって浴室は、
「一人で過ごす狭くて怖い場所」
になっている可能性もあります。

雷や地震を怖がる子、狭い場所が苦手な子、ひとりになると不安が強くなる子にとって、お風呂はリラックスの場所ではなく、緊張する場所になっているかもしれません。
「お風呂くらい入れるでしょ」と決めつけると、子どもの本当のしんどさを見落としてしまいます。
「お風呂が嫌!」という言葉の裏に、
- 面倒
- 怖い
- しんどい
- 気力が出ない
- ひとりになるのが不安
という気持ちがないか、まずは観察してみましょう。
3.不安の強い息子は、狭い場所で一人になるお風呂が苦手でした
我が家の息子は、もともと人見知りや場所見知りが激しく、雷や地震を極端に怖がる、不安の強い子でした。
不登校になった後、息子は主人と一緒にお風呂に入りたがるようになりました。
私はその姿を見て、
「中1にもなって、パパと入りたがるなんて大丈夫?」
と感じていました。
けれど今振り返ると、息子にとって浴室は安心できる場所ではなかったのだと思います。
不安から浴室を「恐怖」に感じ、入浴そのもののハードルが高くなっていたのでしょう。
その後、主人とのお風呂は卒業しました。
けれど、今度は2〜3日に1回しかお風呂に入らなくなりました。
息子は、
「誰にも会わないから…」
と言って、お風呂を敬遠していました。
一見すると、
「外に出ないから入らなくてもいい」
という理屈に聞こえます。
けれど、その言葉の裏には、やはり不安があったように思います。
「誰にも会わないから」という言葉は、ただの言い訳ではなく、外の世界とのつながりが減っているサインでもありました。
ママから見ると、ただ面倒くさがっているように見える。
でも子どもの中では、
- お風呂に入る気力がない
- 浴室が怖い
- 誰にも会わないから必要性を感じられない
- 自分の身だしなみに意識が向かない
そんな状態が起きていることがあります。
でも、そんな不安の強い息子でも、入浴を習慣化することでできたのです。
お風呂に毎日入るようになった息子は、今では自分の体調に合わせて柔軟に決めています。
- 面倒な時はシャワーだけ
- どうしても入る気分にならないときは翌朝にシャワー
こんなふうに、自分で調整できるようになりました。

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4.安心できるおうち環境と「お風呂入ろっかな」と思える工夫
私が最初にしたことは、お風呂に入るように説得することではありません。
まずは、安心できるおうちの雰囲気づくりを徹底しました。
ステップ1は、ママがポジティブな雰囲気を絶やさず、安心できるおうちをつくることです。
私は、
「お風呂に入らなくても死なない!」
「入らなくてもOK!」
というスタンスをとりました。
お風呂以外の行動に対しても、できるだけ否定をなくしました。
私の好きな曲を流したり、鼻歌をうたったりして、
「ママがご機嫌でいる」
ことが伝わるように心がけました。
すると、息子はイライラする場面が減り、会話が増えていきました。
息子に、
「学校に行っていなくても、ママは怒っていない」
「僕がここにいても大丈夫」
と感じさせることができたのだと思います。
思春期の不登校の子は、自分を責めたり、自信を失っているケースが多くあります。
脳がネガティブに働くクセがついているかもしれません。
些細なことにイライラする子ほど、ここが大切です。
敏感に反応する脳を落ち着かせてあげること。それが第一ステップです。
安心できるおうち環境が整ってきたら、次はお風呂に入りたくなる工夫です。
ここで大切なのは、
「入らせる」ではなく、「入ってみようかな」と思えるきっかけをつくることです。
たとえば、
- 専用シャンプー&リンスを用意する
- 風変わりなバスボムを使う
- 入浴後のコーヒー牛乳を楽しみにする
- 入浴1回10円など、小さなごほうびを用意する
など、お子さんがお風呂に入りたくなりそうな提案をしてみます。
そして、お風呂から出てきたら、すかさず良いイメージの声かけをします。
「自分で決めて入れたね!」
「いい匂いだね!」
「血の循環が良くなって、健康的!」
「足が真っ赤!温まった証拠だね!」
「頑張って入ったね!はい、10円!」
この声かけがとても大切です。
脳が、
「お風呂=責められるもの」
ではなく、
「お風呂=できた・気持ちいい・認められた」
というポジティブなイメージを学んでいきます。
すると、少しずつ、
「面倒だけど入ろう」
という行動が定着していきます。

大切なのは、毎日完璧に入ることではありません。
自分の状態に合わせて、「今日はどうするか」を決められる力が育つことです。
思春期の子の脳は、幼児期や低学年に比べて変化に時間がかかる場合もあります。
けれど、根気強く関わりを続ければ、脳は変化していきます。
もし、お子さんに強い不安が見られず、親子関係も良好で、お風呂を嫌がる理由がただ「面倒」な場合は、安心づくりのステップを短くしても大丈夫です。
お子さんの様子をしっかり観察し、必要なサポートを焦らず進めることで、苦手な入浴を習慣化することができますよ。
Q&A
Q1.不登校の子がお風呂に入らないのはうつ状態ですか?
不登校の子がお風呂に入らない理由は一つではありません。ただし、不安や無気力が強い場合は、日常動作にも大きなエネルギーが必要になることがあります。お風呂を嫌がる背景に、気持ちの落ち込みや強い疲れがないか観察することが大切です。
Q2.「学校にも行かないのにお風呂くらい入って」と言うのは逆効果ですか?
責める言葉は、子どもの自己否定を強める場合があります。「学校にも行かないのに」「お風呂くらい」という言い方は、子どもの防衛モードを強めやすいので注意が必要です。まずは「なぜ入れないのか」を理解し、不安や疲れが強くなっていないかを見ることが大切です。
Q3.不登校の子がお風呂に入るようになるには何が必要ですか?
まずは安心できる家庭環境を整えることです。そのうえで、お風呂に対するポジティブな体験を少しずつ増やしていくと、自分から入ろうとする行動につながりやすくなります。「入らせる」よりも、「入ってみようかな」と思える状態をつくることがポイントです。
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執筆者:沢木十和子
(発達科学コミュニケーション トレーナー)






