1.発達障害ADHDの娘の不登校をきっかけにスタート
我が家の娘は現在11歳。学校に行っていれば小学5年生です。
小3になったばかりの4月に「学校には行きたくない」と不登校になりました。
当初は、無理やり学校に連れて行ったこともありますし、学校に行かないなんて…とモヤモヤする気持ちもありました。
しかし、娘は発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)と自閉症スペクトラム(ASD)の特性を併せ持っています。
幼い頃から、「髪型はこうじゃないとイヤ」「洋服はこれじゃないとイヤ」とこだわりが強いおしゃれさん。
何事も1回イヤだと思うとこちらが何を言っても言うことを聞かないタイプで、対人関係も得意なほうではありませんでした。
そこでおしゃれにはこだわりがある娘が、将来役立つような得意を見つけてチャレンジできるところはないかと探し始めました。
その時に見つけた飛鳥未来初等部・中等部立川教室。
体験授業に行き、後日教室長さんに詳しいお話をインタビューさせていただきました。
こちらの教室は、どんなところなのかを知って、お子さまのチャレンジできるステージ探しの参考にしてみてください。
2.様々な体験から好きを発見!
飛鳥未来初等部・中等部立川教室は、三幸学園系列のフリースクールで、2019年2月に開校され、同じ校舎内や隣接して、姉妹校の専門学校と通信制高等学校があります。
こちらの教室は自由の中でも様々な学び、将来の就職へのイメージができるように工夫されています。
それでは、その魅力に迫っていきましょう!
―――周りに小学生から通えるフリースクールや教室は少ないですが、こちらの教室は小学4年生~中学3年生まで通うことができますね。異年齢の子どもたちは普段どのように過ごしているのでしょうか?
「年齢に関係なく、学習に励んでいる子同士が教えあったり、教室内フリーWi-Fiなのでオンラインゲームをわいわいプレイしたり、一緒に動画を見て笑って過ごしたり、職員と話したりと様々です。
基本的に自由ですが一応の時間割はあります。
不登校の子は、体力がない子も多いので体育の授業では、別教室で体を動かすこともしますよ。
毎週木曜日には体験などを通して学んでいく授業行っています。
もちろん、どの授業もやるかやらないかは本人次第。
まずは子どもたちがそれぞれ今、できること、やりたいことを職員がサポートしてやっていますね。」
―――私たちが伺った木曜日はゲーム大会イベント日でした。他にはどのような体験授業やイベントをされたのでしょうか?
「午前中は、キャリアデザイン授業といって、世の中の仕事について学ぶきっかけ作りや就職のイメージができるような授業を行っています。
例えば、同校舎のビューティー&ブライダル専門学校の学生教職員に『ネイルアート』の授業をしてもらったり、専門の知識がある高校の教職員に『動物のトリマー』授業をしてもらったりしました。
午後は、もの作りやイベントなどの経験を通して興味の幅を広げるトライアルレッスンです。
『スライム作り』や、イベントでは毎回好評の『ゲーム大会』『卓球大会』など、子どもたちが興味のあることを経験してもらって、自分の好きを極めたり、得意を見つける工夫をしてます。
あとは、教室の向かいの教室では高校の『eスポーツ部』が活動しているので、男子たちは興味深々で…これから部活動を体験させてもらうことも考えています。」
―――ネイルアートの体験に来たかったです…eスポーツ部の活動体験も男子は喜ぶでしょうね!こんなに色々体験できるなら私が通いたいくらいです(笑)
「こちらを知らない子にも、通っている子にも色々なことに興味を持ってほしいと思って企画しています。」
―――
「ゲーム大会」イベントでは、大きいスクリーンにゲーム画面を映してみんなで対戦するので、知らない子同士でもゲームを通じてコミュニケーションが取れてましたね。
ゲームに参加していない女子は、アニメの話や携帯で動画を見て笑ったり、そちらに娘と私も入らせてもらって、女子トークを楽しみました。
それぞれが自分のやりたいことをやって楽しんでいたのが印象的です。
小学生が、自分より年上のお兄さんお姉さんに触れ合える機会や、職業について学ぶ授業は、学校ではなかなかありません。
発達障害やグレーゾーンで発達の特性がある子は、好きな事にはとても夢中になりやすいので、好きなことをとことん極める、いろいろ経験体験してみて、興味の幅を広げることができるのは、学校とは違う学びスタイルで魅力的ですね。
3.おしゃれな校舎で未来の就職まで明るくイメージ
ここからは立川教室ならではの、特色についてうかがっていきます。
―――こちらの教室は、おしゃれな建物の最上階にあり、教室に入る前の廊下からは外の景色が見えますよね。内装も明るく他とは雰囲気が違うなと思ったのですが、立川教室ならではの特色は他にもありますか?
「教室の姉妹校はどこも三幸学園の高等学校や専門学校の校舎内に併設をしています。
その中で立川教室は、『ビューティー&ブライダル専門学校』の校舎内にあり、玄関のディスプレイ装飾は専門学校生や教職員が担当しています。
校舎やトイレなども清潔はもちろんですが、見た目の『きれいさ』も心がけていますので、敏感なお子さまにも安心して通ってもらえるところが立川の特色といえますね。
高等学校は登校型の通信制です。通学している高校生の様子も見ることができるので、この点も他の教室や居場所とは違うところでしょうか。」
―――なるほど。それで、見た目にもとてもこだわられているのですね。姉妹校が併設されているのでこちらに進学するお子さんは多いのでしょうか?
「そうですね。
高校生や専門学校の先輩を毎日見ていると、自然に自分の少し先をイメージできるようになるからでしょうか、卒業後は同じ校舎内の姉妹校『飛鳥未来きずな高校』へ自分から選択して進学している子が多いです。
立川教室の卒業生では、フリースクールから飛鳥未来きずな高校へ進学し、今は姉妹校の介護の専門学校に進学することを目指して勉強中の子もいますし、もちろん、姉妹校ではない高校へ進学している子もいます。
立川教室は新しいので、ビューティー&ブライダル専門学校に進学できる年齢の子が卒業していませんが、いずれ教室の卒業生が進学することもあるかもしれません。
保育園が併設されている姉妹教室では、教室から姉妹校の高校へ進学し、そのあと保育の専門学校で学び、将来は保育士となり敷地内の保育園に就職という三幸学園コースを歩みたいという夢を話している生徒もいます。
また在籍している学校に復学する子もいて、復学のためのサポートも学校と連携しながら行っています。
いずれにせよ、教室で楽しく過ごして自信をつけて行く子が多いです。」
―――
体験授業にうかがった時には、ちょうどエレベーターに、途中からきれいにメイクした専門学校生が乗ってきたり、向かいの教室では高校生が活動をしているところなどを見ると、先輩たちの学ぶ姿に、自然と職業や就職までイメージできそうです。
職業や就職につながる学びを身近に考えられる環境があるのも、こちらのフリースクールならではだと思います。
発達障害・グレーゾーンの子どもたちは、好きや得意を伸ばすとすごい能力を発揮する子たちが多いのです。
美容に興味があるお子さんが、この環境に来たら、専門学校目指して学びを始めるきっかけになるかもしれません。
私は、生徒たちを見ながら娘がここで学ぶ姿をついつい想像してしまいました。
4.子どもたちがイキイキとしてくるヒントがここにある
不登校となった子どもたちは、いろいろな思いを抱えてこちらに通ってきています。
教室に通い始めたお子さんが、だんだんと元気を取り戻し、前向きになるために、日々どのように接しているのか伺ってみました。
―――様々な苦手さや悩みを持つ子どもたちに先生方はどのような声掛けをしているのでしょうか?
「特に朝は、1日を気持ちよく過ごせるよう、また『頑張ってよく来たね』を伝えられるように、元気に明るくその子の名前を呼んでから挨拶するように心がけています。
あとは、教室で自信をつけてもらうため、先生全員が褒めて伸ばすをモットーに、子どもに寄り添ったサポートをしています。
入学したての頃は『自分は、進学はいいや』『高校に行けるかな』と言っていた子も、こうして接するうちに自信を取り戻し、自分の進みたい道を見つけて卒業していったことが本当に嬉しいです!」
―――教室で楽しく過ごして前向きになったお子さんが高校に進学したくなった場合は、それに向けての声掛けや勉強はどのようにされているのでしょうか?
「各自の学習状況や進度をさぐりながらサポートさせてもらっています。
理解できているところまでさかのぼって、『やればできる!』『自分もできる!』と自信をつけさせてあげて、勉強へのモチベーションをあげるようにしています。
そうやって『勉強してみよう!』と思い始めた子、塾に行きたいけれど知らない場所に行くことが難しい子などのために、放課後学習も始めました。
塾や塾の先生との相性を考えるのであれば、知っている先生が教えてくれるほうが安心ですよね。
また、高校入試に必要な面接の練習も実施していますよ。」
―――入試の面接練習もしてくれるのですか!それは助かりますね!子どもがまた学校に通いたいという気持ちになった後の、進学のことまでしっかり考えてくださる教室だということもわかり、とても安心しました。先日お伺いしたときも、先生方が娘の目線に合わせて声をかけてくださって、会話のきっかけを作っていただきありがたかったです。
―――
不登校になると、進路や就職、将来のことが考えられず不安になるお子さんや保護者の方も多いです。
しかし、こちらの教室のように、少し先行く先輩の姿を見ることができる環境や、進路についてサポートまでしてくれる学校でもない、家でもないサードプレイスがあると知ることによって、親子共に将来がイメージしやすく、不安が軽くなります。
将来が見えれば未来は明るい!
お母さんも、お子さんがチャレンジできるステージ探しに1歩踏み出してみませんか?
今までとは違った未来が広がっていきますよ。
5.サードプレイスを探す前にこの2つはお母さんにやってほしい
―――最後に教室長さん、フリースクールや居場所などのサードプレイスを探している親御さんにメッセージをお願いします!
「安心して過ごせる居場所で、のびのびと過ごすことが新たな1歩を踏み出すエネルギーになります。
そのエネルギーを充電する場所が、私はサードプレイスだと思っています。
今は色々なフリースクールや居場所があるので、実際に行って雰囲気を見たり、体験授業などにも参加してみてくださいね。
ぜひお子さんに合う場所を探してほしいです。
他者と交流したり、自分の目標を決めて過ごすことで自信をつけていく子どもたちがたくさんいますよ。
今後、保護者にも寄り添うサポート企画も考えています。保護者の方だけでも歓迎です。ぜひ一度見学に来てください!」
―――
詳しいお話を聞かせていただき、こちらの教室は私が想像していた不登校児の居場所というイメージではなく、未来を考えるステージのように思えました。
自分の気持ちを理解してくれる「人」と接することで、前向きになるとそこには、就職を目指して学ぶ専門学校や高校の先輩の姿。
こうして明るい未来をイメージすると、新たな1歩を踏み出すことができるのですね。
教室長さんがおっしゃってくださったように、サードプレイスはお子さんに合うところを選ぶことが大切です。
では、お子さんに合うサードプレイスを探すには、お母さんはどのようなことに気を付けたらいいのでしょうか?
◆子どもとの関係を良好にしておく
インタビューでのお話にも出てきました。
「子どもの気持ちに寄り添う」
私と娘は、今、「何を想い」「どうしたいのか」の会話を重ねてきました。
こうしてお母さんには話せるという信頼関係を築くと
「こういう場所があるけど行ってみる?」
「今度このイベントあるんだって、どうする?」という提案に
「行ってみようかな」
「こういうイベントはあるの?」
など子どもが素直に気持ちを話始めるのです。
話ができるようになると、どんなところがいいのか一緒に調べることもできますよね。
◆好き・得意・苦手なことを知って実際に行ってみる
「好き・得意」を把握します。
子どもが何に興味があり、好きなのか?得意は何か?これを知ると他者とのコミュニケーションツールに使ったり、お子さんのやる気や伸びがぜんぜん違うものになります。
好きなことが話せる、できるから、行こうと行動力につながり、好きを伸ばすことを目指して前に進むこともできます。もしかしたら就職につながるかもしれませんよ。
対人関係苦手な娘も、好きな歌い手の話ができるというので、体験授業に行き、対話にチャレンジできたのです。
「好き」の行動力ってすごいですよね。
調査するときは、お子さんの好きを伸ばしていける環境かどうか考えてみてください。
また、発達障害やグレーゾーンの子どもには、対人関係やコミュニケーションが苦手な子が多いです。
親と一緒ならば新しい場所に行けるのか、無理なのか、どんな人とだったら話ができるのか、相性が良いのかなど子どもの苦手や克服法も把握しておくといいですよ。
お子さんの「好き」に特化して情報を集めたら一緒に見学に行き、苦手にはどうサポートしてもらえるのか質問をしてみましょう!
発達障害・グレーゾーンの特性があるなしは関係なく、お子さんの気持ちや個性は様々です。
ぜひお子さんに寄り添い、親子で会話をしながら、お子さんに合うところを探してみてくださいね。
飛鳥未来初等部・中等部 立川教室を見学や体験したい場合は、予約制です。
こちらをご覧ください。保護者のお悩みも聞いてくれます!
『今回インタビューした飛鳥未来初等部・中等部 立川教室のホームページ』
執筆者:渡辺くるり
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
不登校の過ごし方、参考になる情報が満載です!