発達凸凹キッズがゲーム依存にならないための、家族で決めるルール作り

お友達はゲームを持っているみたいだけど、うちはまだ使わせたくない…。でも毎日のように「買って!」とせがまれると困りますよね。今回はゲーム機を買う前にぜひ知って頂きたいルール作りについて我が家の事例を紹介しながらお伝えしたいと思います。

1.ゲームのルールを巡ってママと子どもがバトルになっていませんか?

私は、デジタルゲーム音痴です。スマホのゲームもやらないし、やっても飽きてしまいます。

生まれた年代が理由だと思いますが、子どもの頃に遊んだのはトランプやオセロ。

できれば、子どもには漫画でも良いから活字を読んでほしい。そんな母親です。

そこで、デジタルなゲームに負けじと、小さい時から五感をフル活用した遊びを中心に、外遊び、工作、キャンプ、ボードゲームなど楽しい遊び時間を作ってきました…小学校低学年までは。

息子が高学年になるとデジタルゲームにアナログ昭和母さんは勝てず、息子はゲーム大好き少年に成長しました。

発達障害グレーゾーンで、自閉症スペクトラムの傾向が強い息子は、サッカーなど団体スポーツは性に合わず、一人の世界に入れて没頭できるゲームが大好きです。

ですから、発達科学コミュニケーションと出会うまで、ゲームのことで息子と言い争ってばかりいました。その頃はゲーム会社を訴えたい!とまで思っていたほどです。

それが今では、我が家の「ゲームの黄金ルール」が存在しているおかげで、かろうじてゲームを永遠とやり続ける、という方向には至らずに、以前は頻発していた母と子のゲームにまつわるバトルもほとんどなくなりました

どうやってバトルを回避できるようになったのか。

全てのご家庭に当てはまらないかもしれませんが、我が家のルール作りの経緯とその秘訣をお伝えしたいと思います。

2.ゲーム音痴のママがルールを作るとバトルが増える!?

まず、ママが考えるゲームに関わるルールに子どもが従えない理由を考えてみました。

1)ママが作るルールは厳しめで子どもの納得感がない

そもそも、ママはデジタルゲームに対する嫌悪感があるので、「勉強が終わってから」や、「1日30分」など子どもが望んでいるよりもかなり厳しめの設定になりがちです。その結果、子どもの合意が得にくいルールになってしまい、子どもが不満を持ちすいのです。

2)ゲーム音痴のママには分からないゲームのやめ時

大抵のゲームは各ステージを通過していく設定になっています。そのタイミングが分からないママは、約束の時間になってもゲームをやめない子どもに苛立ち、子どもは、ステージの途中でやめるストレスから暴言を吐いてしまうのです。

3)ママは情に弱い

ママは基本的に子どもが苦しむ姿を見るのがつらいです。そのため情に訴えられたり、癇癪を起されたりすることに耐え切れず、ルールを徹底することが難しいのです。ルールと子どもの要求の狭間になることに大きなストレスを感じています。

息子は、ゲーム嫌いの私が作ったルールに絶えず反抗するし、私はゲームのことが分からないので、ルールを困り具合によっていつも変えていました

「止めないのなら、明日は無しね!」
「オーバーした時間のぶん、明日はゲーム時間を引くからね!」

罰を与えて素直になる子どもはいませんよね。

私の与えた罰なんて、翌日にはスッカリ「無かった」扱いです。

結局、なんだかんだとゲーム音痴の私にはわからない言い訳や理由を述べて、また時には私の情に訴えてゲーム時間を延ばしていました。

でも、そんなゲームバトルを大きく変える転機が起きました。

3.ゲームのルール作り、そのカギは〇〇

息子は、中学生になると友達が持っているプレイステーションが欲しいとせがむようになりました。

IT会社勤務の夫はゲーム大好き。

ある日、事件は起こりました。

夫がこっそりプレステを買ってきてしまったのです!

子どものゲームに関する時間管理は全部私にのしかかってくる!と思い、私は愕然となり、夫に対してすごく腹を立てました。

しかし、実はこのことが母と子のゲームバトルを収束したきっかけになりました。

解決のカギは「父親」です。

◆父親と子どもの対話

夫はプレステを買ったことをナイショにしたまま、息子と二人で数週間かけてプレステを買うための条件をすり合わせることにしました

息子はプレステが高価なものであること、大人が遊ぶゲームであることを何度も親から言われてきていたので、どんな悪条件でも飲む勢いです。ゲーム機がもう買ってあることは知らないので、それはそれは熱心に議論をしていました。

◆夫婦で話し合う

ゲームを解禁するにあたって、私は夫といくつかのお願い(契約)をしました。

●ゲーム機は夫の所有物で、息子はそれを借りて使わせてもらう、というスタンスにすること

●ゲームのルールについて私は一切関与しない。ゲームに関することは全て夫が判断し、その責任も夫が持つ。寝る時間、テスト前など秩序をもったルールを徹底する。

●ペアレントコントロール(親がゲームの時間をスマホなどで管理すること)をしっかりとつけ、子どもが勝手に時間をオーバーできないようにする。

◆わが家のゲームルール

私と夫の契約と同時進行で、息子と夫のルール作りも佳境に入っていました。

子どもとの会話でありがちな「言った」「言わない」がないように、2人はすべて紙に記録をしていました。

ゲーム機を買ったことは秘密にしたまま「買うとしたらどういうルールにするか」という体(てい)で話を進めていたので、息子も必死です。

そうしてできたルールは、少し厳しめになりました。

1)ゲームは1日45分。週末は1時間半。ペアレントコントロールで時間が来たら否応なくゲームは自動終了される。

2)延長してほしい時は父親に伝える。延長は15分単位。母には許可を求めない。

3)ゲーム機、付随する物は必ず使うたびに全部「箱」にしまう。

4)友人が遊びに来たとき、テストの後などは、時間のルールは無くす。

何度も話し合いを重ねて決めた父子のルールです。

こうして、とうとう息子はプレステを手にしました。(父親の物を借りる、という形ですが…)

本人が決めたルールなので、守らせるのは思いの外簡単でした。そして、延長してほしいとき夫はすんなり許可しています。

ゲーム延長を許可する役割を夫に任せたことで、私にとって非常に良かったのは

「ゲーム時間を延長して。」「ゲーム今からやっていい?」という、

「最初からノーと言われることを想定していない悪魔の質問(ダメといったら不機嫌になる)」
に応答するという最も嫌な役割から解放されたことです。

私が言うのは、ちょっと困った顔をして

「お父さんに聞いてね」

これだけ♪

父親がいない時はLINEで父親の返事をもらいます。

父親と息子で共通の話題が持てたことで会話がはずみ、二人で並んでゲームをしている様子は結構微笑ましいものです。

父親にしかできないこと】があるとしたら、それは、「子どもと過ごす時間」だと思っています。

ですから、ゲームであっても、それは息子にとってかけがえのない時間になるだろうなと私は思っています。

わが家のルール決めから学んだ、ルールを決めるときの大切なポイントを以下にご紹介します。

4.家族で一緒に考える、ルール決めのポイントはこれ!

◆ゲームを買う前にルールを決める

一にも二にも、与える前にルールを徹底する。
これは、本当に大切だとこの経験でよく分かりました。

◆ルールは厳しめがおすすめ

最初はゆるく、あとから厳しくより、最初は厳しく、後からゆるく

ゆるいルールから厳しいルール、これは子どもたちの信頼を失い、争いの種になります。
子どもがルールをちゃんと守れるんだから、少しゆるくしようという方が子どもとの信頼関係も深まります。

◆決定権は親が持つ

最終的な決定権を子どもにすると、どうしてもバトルが長引きます。子どもに任せられないのであれば、最初から親が決定権を持っていることは、とても大切です。

もし、「時すでに遅し」であると感じているのでしたら、思い切って親子でルールを見直す機会を持ってはいかがでしょうか。

子どもは脳が未熟なため、「明日は学校だからゲームをやり過ぎないようにしよう」とか「ゲーム依存にならないように時間を守ろう」とか、そんな風に「~べき」で自分の行動を抑えることはしませんよね。

子どもたちの関心はいつだって「今」であり、「自分がやりたいこと」だけ。

未来のために今を我慢する、という自制心は人生のずっと後にならないと身につかないのです。

そんな未熟な脳の子どもたちに、脳が最も苦手な「やりたいことを止める」という行為を任せるのはとても危険だと私は思います。

その未熟さを親の知恵と忍耐で補うことが彼らの心と体を守ることでもあると思うのです。

こう言うと「そんな理屈は分かるけど、子どもの反撃は半端ないし、親子喧嘩がもっと増えてしまう!」という声が聞こえてきそうです。

5.子どもがルールを守る唯一の方法

我が家の場合、もちろん完全ではありませんし、ゲームを巡って子どもが不機嫌になることも当然ありますが、それでも健全な範囲でゲームを扱えている一番の要因は、

「子どもが自分で決めたルールだから」

これに尽きます。

人から押し付けられた規則は、いくらでも文句を言って破ることはできますが、自分で数週間も話し合った末に立てたルールは、文句の言いようがありません

そのために、焦らずじっくりと考えて子どもと話し合いを重ねて、お互いに納得できるルールを作ってくれた夫の忍耐にとても感謝しています。

日ごろから、親子の会話とコミュニケーションを大切にしていくこと

ゲームのことも頭から否定せずに話を聴き、関心を持って子どもたちの世界に親も立ち入る関係性を持っていることが大切だと思う出来事でした。

私も息子から「ゲーム解説のYouTubeを一緒に観よう!」と言われたら、断らずに一緒に楽しんでいます。(途中、眠さを堪えながらの時もありますが)

なぜなら、子どもと一緒に過ごす時期はきっと瞬きのように短いものだから。

これからゲームを買うかお悩みのご夫婦に、わが家の体験が参考になれば幸いです。

執筆者:泉けいと
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

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