1.通信制高校のメリットは?
通信制高校に進学したいと考えたとき、卒業した後の進路は決まるのかな?という心配もあるかと思います。
社会に出るために必要なのは学力だけではありません。
自分の強みが必要です。
自分にはどんなことができるのか。
どんなことができそうか。
苦手なことはどう克服するか、もしくは周りにどう助けてもらうか。
そんな自分自身の成長をみつめられるようになることで、自分で決めて頑張ることができるようになり、高校卒業後の進路もひらけてくるのだと思います。
前編のインタビューでは、星槎国際高等学校本部校(札幌)の藤田くんと長船くんに、学校を選んだ理由や学校で楽しいこと、辛いこと等、通信制高校のスクールライフについてお話を聞かせていただきました。
生徒が教えてくれた!「通信制高校ってどんなところ?」の疑問のこたえ〜星槎国際高等学校生徒さんインタビュー〜前編
後編では、二人を見守ってきた先生も交えて、星槎国際高等学校で二人が成長できたこと、これからの進路について、教えてもらいます!
ーーお二人は、高校生活で自分が成長したなと思うことはありますか?
藤田:「人と話をすることが得意になったなぁと思います。小中学校で率先して話す場面がなくて、高校に入ってから喋る場面を多くもらったのでそういう場面に強くなったなと思います。」
ーーお話ししていると自分で話すだけじゃなくて、相手がどう言っているかをちゃんと聞いて、お隣のお友達の意見も聞きつつサポートもしてあげているのがわかります。話すだけじゃなくて頭の中でまとめるのも上手だなと思います!
藤田:「ありがとうございます!」
ーー長船君は、自分の中で成長したと思うことはありますか?
長船:「僕も藤田くんと同じで、自分から話すことができるようになったと思います。あとは、それまで結構気持ちが沈みがちで周りの流れについていけなかったところがあったんですけど。メンタル的にも成長できたっていう風に思います。」
藤田:「入学して1年のとき一緒のクラスだったんですけど、長船は全然話さなかったよね。」
長船:「お弁当を食べるときもすごく暗い感じで、最初は机に向かってひたすら黙々と食べてました(笑)」
ーー最初は誰でも新しいクラスは緊張しますよね!二人とも、成長したと思うところがコミュニケーションに関わるところですね。これは大人でも苦手な人がいるくらいですから、どのように克服したのかとても気になりますね。
2.安心できる他者交流でコミュニケーション能力が開花する⁈
二人が他者と話すということが苦手から得意になった秘訣を探りたいと思います。
ーー二人とも高校生になってから話すのが得意になったということで、小中学校で苦手だなと思っていたときから苦手を克服したいと強く思っていたんでしょうか?
藤田:「みんなとうまく話せたらいいなという気持ちはあったんですけど、高校生になってから自然といろんな学年と話すようになったので、僕はあんまり意識していなかったです。」
ーー長船君はどうですか?
長船:「はい。実は小中学校時代はちょっと辛い思い出が多くて…
昔からバドミントンをやっていたんですけど、そっちのバドミントンをやっている子達とは物心ついたときから一緒なのでよく話せていたのに、小学校の方ではいじめられていて同級生とは話すということがなかったり、小学校ではトイレに閉じこもっていて先生に引きずり出されたり…
そういう体験があって、実はずっと辛いと感じていました。
中学生になるにつれていじめもなくなってきてたんですけど、正直気持ちが不安定なままで、勉強もできなかったりして周りとの差ができていました。
この高校に入って周りと同じペースで色々できたり、人と話せるようになったり、本当に成長できたなと思います!」
ーーそうだったんですね…二人とも小中学校の姿が全然想像できないほどしっかりしているし、明るいですよね。そんなに大変な思いをしてきたとはわからなかったです。入学時の二人を知る先生から見て変わったなと思うところを教えてもらえますか?
川島先生:「表情は変わりましたね。1年生の頃の写真を見ると顔が引きつっているもんね(笑)
長船は私の授業が多いので、校外学習が多く、いろいろ社会勉強を続けながら成長しています。
定時制通信制高校バドミントン全国大会に出場したとき、特に印象的だったのは、決勝戦が終わって各チームの代表選手が長船のところに来て沢山話しかけてくれたり、連絡先を交換したりしていたんです。
いろんな地域の子達と楽しそうに話をしているのを見て大人になったなと思いました。
藤田も、生徒会に入って外に出る経験があったので全国の星槎の校舎の代表と集結して色々と学ぶ機会が多かったと思います。全国の先生方や企業の方、各国の代表の方と関わって吸収して自分に役立てているなと思います。」
ーーやはり、昔を知っている先生から見ても二人はよく変わったということですね!自分に合った学び方で外との交流の機会が持てて良い刺激が加わったのがとても良かったのでしょうね。
自分のことを理解してくれる学校だと安心して学ぶことができ、好きなことを頑張ることで苦手なこともいつの間にか成長できてしまうのでしょうね。
3.過去の経験から思い描く進路のかたち
ーーそれでは、今度はこれからの進路について聞かせていただきたいです。二人の将来の目標や将来なりたいものを教えていただけますか?
藤田:「僕は星槎に入ってから結構変わることができて、フリースクールの担任の先生がとても面白くて生徒重視の授業をしてくれていたので、自分もそんな教員になりたいなと思っていて大学進学を考えています。」
ーー教員ですか!凄いですね!先生は嬉しいですね!
川島先生:「教員になりたいなんて初めて聞きましたよ!」
藤田:「言ってなかったでしたか?
僕は福島と札幌の学校を経験して、その地域によって先生の教え方も違うのだなということを感じました。
福島では割と淡々と授業が進んでいく、北海道では生徒にフォーカスを当てている授業が多いと思いました。生徒目線の楽しい授業を教えられるような先生になれたらいいなと思います。
ーー藤田くんの先生姿、楽しみですね!長船君はどうですか?
「僕は自動車整備士になろうと思っています。今は、専門学校の入試の面接練習や出願準備をしていてけっこう大変です!」
ーーどうして自動車整備の仕事をしたかったんですか?機械が昔から好きなんですか?
「複数好きなことがあって、どれかに絞ろうと思って決めました。最初は大学で生物の勉強をしたいなといろんな大学を見たりしたんですが、親と話をしたらコロナで職につくのも大変ですし職業によっては全くつけなかったりということもあるので、安定して職に就けるところを選ぼうと決めました。
自動車整備は昔から興味があって、家の車のタイヤ交換を手伝ったりもしていたので長く続けられたらなと思っています。仕事の合間にバドミントンも友達と続けていきたいです。」
ーーかっこいいですね、整備士さん!バドミントンも得意なものの一つとして続けられたら素敵ですね。
「はい!」
ーー最後の質問になります。今、昔の自分へ教えてあげたいな・伝えたいなと思うことを教えてください。
藤田:「僕は、『学校がつらかったらフリースクールがあるよ』と伝えたいです。
それと、学校がつらいなと思っている子に向けてなんですけど、最近は番組なんかでもフリースクール特集が組まれたりしているので学校行くのが辛いとか外に出たくないという場合でも、第二の学校と言うんですかね、そんな居場所を見つけるといいと思います。
自分に合ったところを見つけるのは、なかなか難しいと思いますけど、親御さんに協力してもらって学校に行く楽しさっていうのをもう一度知ってもらうためにも、フリースクールで自分の居場所を見つけて欲しいと思います。」
ーー藤田君の親御さんは学校が辛いとき常に協力してくれましたか?
藤田:「うちは、親が教員なので行きたくないというのは分かってくれて、『フリースクールあるけど、どう?』というふうに言ってくれました。最初は『何やねんこの学校』という風に思っていたんですけど、慣れていくにつれて先生とか先輩とかと交流するのはいいなと思ったんです。」
ーーそうですね。居心地のいい環境で気持ちも楽になりますよね。長船君はどうでしょうか?
長船:「昔の自分へ向けて伝えたいことは、気持ちが落ちてつらいということが本当に多かったので、とにかくそれを乗り越えれば楽しいことが待っているから、そこのところを踏ん張れるように頑張って欲しい。
どんなに辛いことがあってもそこを乗り越えるような心を持ってほしいと伝えたいです!」
ーーありがとうございます。まだまだ若いのに、沢山辛いところを乗り越えて今の明るい姿があるという様子を見させていただき、凄い経験をしてきたんだなぁ、強い心でやり抜いてきたんだなと思って、ただただ感動しました。
お二人の話は親世代だけではなく、多くの子ども達にも届いてほしいです。きっとたくさんの勇気を与えてくれると思います!
4.子どもの進路探しに必要な心の強さを授けたい
藤田くんと長船くんのインタビューはいかがでしたか?
小中学生の頃に辛い思いをして、それを乗り越えてきた彼らはとても力強く、他者には優しくできる、そんな高校生でした。
きっと二人を支えてきたご両親や学校の先生達の温かなサポートがあり、周りの大人を信頼してコミュニケーションをとれてきたからこそなのではないかなと思います。
学校に行けない、勉強が苦手…という子ども達の、将来の進路を考えると不安になってしまうことも多いと思います。
しかし二人を見ていて、勉強よりも偏差値よりも大事なのは、
どんな困難にも立ち向かえる力
だと強く感じました。
困難に向き合える力があれば、勉強はいつからでも追いつくことは可能です。2人のようにやりたいと思う進路に向かって努力していくことがちゃんとできるんです。
私たち親の世代が知っている職業がどんどんなくなっていくと言われているこれからの時代において、私は自分の子ども達に心の強さを持って欲しいと思いました。
そして、どんな人の意見も受け止めて話し合える人になってほしいと思います。
私たち親は、子どもが困ったとき、苦しんでいるとき、『かわいそう』と胸が締め付けられる想いをすることもあります。
けれど、そんな困難も笑顔で見守り、安心して過ごせるお家環境を作り、子どもが安心して自由に自分の個性を伸ばせる学校や居場所を探してあげられるとベストですね!
子ども達が主体的に将来の進路を見つけられるようナビゲートしていきましょう!
左から長船くん、藤田くん、川島先生
先生と生徒の仲もよく、信頼し合っている様子がわかりました!
▼今回取材を受けてくれた星槎国際高等学校本部校(札幌)の情報はこちらです。
単位制・通信制高校 星槎国際高等学校本部校
〒004-0014 北海道札幌市厚別区もみじ台北5丁目12-1
TEL:011-899-3830
ホームページ:https://seisa.ed.jp/sapp/
執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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