発達障害・学習障害の子の中学受験…我が子が笑顔で通える学校選びとは?

発達障害や学習障害があると、公立中学でがんばれるのか心配になりますよね。私立の中学校の方がいいと聞くけれど、一体どんな基準で選べばいいの?今回は読み書きが苦手だった息子が中学受験をしたエピソードと、学校を選ぶときの基準についてお話します!

1.発達障害があると公立中学にあがってから大変!どんな私立中学をべばいいの⁉

小学校から公立中学に上がると、高校受験のために内申点やら中間・期末テストやら頑張らなければならないことがあって大変そう…。

うちの子には不利だなぁ…

と心配しているお母さんいませんか?

公立中学が嫌なら…
大学附属の私立中学に入れちゃう?

それはちょっと待った!です。

私立の学校は、特徴も多種多様です。

大学附属だから。
iPadを導入してるから。

学校を選ぶ理由は、それだけで大丈夫でしょうか?

思春期を迎える中学3年間はとても多感で勉強以外にも得ることが多い大切な時期

子どもがどんなふうに過ごしてどんな成長ができるのか?

そこを踏まえて進路を選ぶことがとても大事!

今回は、学習障害(読み書き)の特性を持つ我が家の息子が私立受験をした体験談をお伝えします!

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2.そもそも我が家が私立中学の受験を決めた理由とは?

我が家では、中学受験を検討する機会が2度ありました。

1度目は、小2で自閉症スペクトラムの診断をうけた時に、相談員の方から「こういう(診断のついている)タイプの子は私立の方が良い」というアドバイスがあったからです。

2度目は、小6の秋に小学校の担任の先生から、予定学区の中学ではない中学への進学を勧められたからです。

なぜ担任の先生がそのように勧めたかというと、「今年度から小学校と中学校との連携が上手くいっておらず、(息子が)学区の中学に進学すれば特性へのフォローがされずに潰れてしまうのではないかと思うから」とのことでした。

しかし、担任の先生が他の候補で挙げてくれた公立中は息子がいやがりました。

通っていた塾の塾長に相談したところ、おすすめされたのが、偶然にも以前見学に行って家族みんなが気に入った私立中学でした。

信頼していた塾長からのすすめもあって、本人も受験にチャレンジしてみようという気持ちに変化していったのです。

これが我が家の私立中学の受験を決めた理由となりました。

3.学習障害の苦手をカバーする項目だけに注目してない?他にも重要なポイントが!

我が子の困りごとはこんな感じでした。

・ノートが取れない
・ペーパーテストの点数が取れない(書き間違えるから)
・勉強(テスト・ドリル)への恐怖心

反対に我が子の得意・好きなことはこんな感じでした。

・人付き合いはそんなに苦労はない・友達と楽しく話すのは好き
・人前で発表するのは得意

こちらの得意は小学校のクラスで一番である必要は全くありません。

なぜなら、その得意領域で一番(または上位)になれる中学校を探せばいいから!

たとえば、勉強のできる子なら偏差値を15くらい下げると本人は特別頑張らなくても、その学校ではトップクラスになるので、入学後自信を持って学校生活を送ることができます。

息子は、人前で発表することが得意だったので、発表分野で評価してもらえる学校が良いだろうと思いました。

わが子が得意分野で活躍できそうな学校を選んであげると、「自分はできるんだ」という感覚を持って学校生活を送ることができるのです。

こんな考え方で学校を選ぶと、短所はそのままでも小さな長所が学校生活を有利に過ごす切り札になるのです!

苦手なことのカバーだけではなく、その子の得手・不得手を考えることで、子どもに合った学校選びの選択肢は広がってきます!

4.得意領域のカリキュラム有り&勉強が苦手な子でも詰めないでいてくれる学校に!

結局、我が家はこんな理由で学校を選びました。

① 家から近い!仲の良い先輩・友達、信頼できそうな先生がいる

息子にとって、知っている先輩が3人もいて、学校の先生も裏表のない先生だったことが気に入ったポイントだったようです。また、一学年の人数が少なく、手厚い指導を受けられそうでした。

➁先生達が発達障害の特性がある子どもと接するのに慣れている

発達障害の特性がある子を受け入れていると言われている学校をいくつか実際に見学に行きました。

そこで希望の中学校の、先生達の生徒に対する接し方を見て、特性のある子に対して理解して対応してくれそうだなと感じました。

③ 息子の苦手を深掘り・追求しない

学習障害(読み書き)=iPadの導入があるか?
と、捉えている方も多いと思いますが、iPadを導入していても教科によって導入していないこともあります

我が家はこの障害から“読み書き勉強を強要されて、『勉強そのものをやりたくない』と思わせてしまうこと”が何より避けたいことでした。

学校見学時の個別相談でのお話し中、「どんな方法ならうちの子、提出物を出せるかな…?」と私が悩んでいたら

先生の方から「先生に追っかけられて、逃げちゃう子もいますよ。(苦笑)」

と明るく伝えてくださり、この学校は無理やりにでもさせるというスタンスではないんだな、ということがわかってホッとしたのを覚えています。

④ 息子の得意領域を行う発表系のカリキュラムがある

発表系のカリキュラムを組んでいる学校も多いですが、実際にその学校の生徒さんが発表されている動画があったり、実際に保護者説明会などで見られるケースもあります。

それを見させていただいた時に、発表系が苦手なお子さんが多い学校だと、失礼ではありますが「勉強は苦手でもこの面ではうちの子はいい線行けるかも」という学校もありました。

思春期に周りの子と比べて「自分はこれって結構得意だな」と感じられる場面が学校生活であるのは、良いことだと思います。

⑤ 息子と相性の良さそうな子が多い学校だった

見に行ってみると実感しますが、私立は学校によってお子さんの雰囲気がガラッと変わります。

私立中でも、A校は女子が強い、B校は裏表ある子が多そう、C校は仲間意識があって協力的、D校はおとなしめの子が多そう、等々…学校によってお子さんの雰囲気はバラバラです。

必ず息子と見に行って、「ここはおとなしい雰囲気だから俺は仲良くなれなさそう」など、どんなふうに感じたか、文化祭や学校見学の後、親子でそれぞれ感じたことを話し合いました

わが子と相性が良さそうな雰囲気の子が多い学校だと安心ですよね。

わが家は最終的に、色々なタイプの子がいる学校で、家が近い塾の先輩や小学校の先輩が通っている中学に決めました。

知り合いがいることで、入学前から息子は自分で、部活・委員会・行事のことなど色々聞いてきて「○○部は強くないらしい」とか「○○委員会は楽らしい」など事前に情報を入手してどんな学校生活を送るのか具体的にイメージできたようです。

我が家はこんな感じで候補の学校が決まりました。

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5.自分の得意をみつけて充実した中学生ライフを送っています!

子ども・親・先生としっかり相談して決めた学校で、息子は今とても充実した中学校生活を送ることができています

希望の私立に無事合格し、苦手なことは少しずつできることが多くなり、得意なことはどんどん積極的に伸ばすことができるようになりました。

例えば苦手な面では

・テストの成績はやはり取れませんが、学校の先生からは執拗に詰められない・再試が無いことが圧力にならず、マイペースに勉強することができています。

・自分なりのペースで勉強を続けているので、テストの順位が上がったり努力の成果が見られています。

・2年生にあがってからは私がフォローしなくても、宿題や勉強を自分でやるようになりました。
自分から「今日は〇〇やったよ~」と宿題終了報告をしてくれることもあります!

得意な面では

・発表系はやはり「得意な子の扱い」のようで「(発表系の授業で)学校のfacebook紹介に俺、載ったんだよ!」と嬉しそうな報告を受けました。

・入ってみたら学年で走るのも早かったそうで、タイムを計ったら学年1位の速さでした。
 今年行った体育祭では小学校時代一度もやったことがないリレーのアンカーに!

・中2で新聞委員会の委員長に立候補。学習障害(読み書き)ですが年2回の発行だったのを12回に改革し、毎月発行するために、他の委員さんも動くように段取り・指揮をとっています。

・同じく中2で体育祭実行委員の中学統括責任者に任命されました!

・担任の先生からは「皆に頼りにされて、学校ではいつもお友達に囲まれています。かくいう私も…助けられています。」とご報告いただいています。

私立中学と言っても特徴は様々。

その年によって集まるお子さん雰囲気が違うこともあるので見学で判断することが絶対ではありませんが、実際に学校を見学することである程度の方向性は見極められると思います。

それから、最後に一番気にするべきは
「子ども自身が行きたいと思える学校かどうか?」です。

嫌なことにはなかなか動きたがらない発達障害の子どもたち。

同じ3年間を過ごすなら嫌々ではなく、前向きな気持ちで通ってほしいですよね!

執筆者:吉村今日子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)

我が子が笑顔で通える学校探しのヒント、ここにあります。

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