発達障害ADHDタイプの子ども達は、その特性から勉強嫌いになりやすい傾向があります。今回は中学生の息子が、あることに興味を持ったことをきっかけに学習への取り組み方が変化していった体験と、家庭で実践した具体的な方法をご紹介します!
1.発達障害ADHDタイプの子どもが勉強嫌いになるワケ
発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)の子ども達は、その特性から学校生活でつまづきやすく、勉強に対しても苦手意識を持ちやすい傾向があります。
当時、中学生だった発達障害ADHDタイプの我が家の息子も勉強が嫌いでした。
テストの点数もとれないし提出物も出さない。
テストの点は仕方ないにしても、なぜ提出物が出せないのかと思っていました。
発達障害ADHDタイプの子どもが勉強で力を発揮できないのには、実は理由があります!
・整理整頓が苦手で提出用のプリントをどこかに無くしてしまう
・集中力が続かないため授業の内容をノートに書いていない、理解していない、問題を解いていない
・いつまでに何を提出するのか”情報”の整理整頓も苦手
このような大人には理解しがたい”困りごと”を抱えています。
また、中学生になると「提出してもしなくても先生は何も言わない」という環境の変化もあります。
小学生の頃は先生が出すように言ってくれたり、場合によっては先生から保護者へ連絡が入ったりします。
ところが、中学生になると子どもに「自主性」が求められます。
提出する、しない、も含めて本人の「やる気」「態度」として評価されます。
こうした変化があることから、中学校の生活は、発達障害ADHDタイプの子どもにとっては大きなハードルとなります。
提出物については苦戦続きの日々でしたが、あることをきっかけに息子は中3の春に提出物を出すようになったのです。
2.提出物を出すようになったきっかけは、ずばりこれ!
提出物を出すようになったきっかけは社会科の授業でした。
社会の授業の時に先生が、何気なく隣にきて話しかけてくれた内容が面白かったらしく、その先生の授業はちょっと聞いてみようと思ったらしいのです。
日本史の第一次・第二次世界大戦あたりの単元がとくに好きで、好きな理由を息子に聞いてみたら
「戦艦、超カッコいい!」
そんな言葉が返ってきました…。(ガックリ(笑))
ここで「もう、そんなこと言ってないで他の教科もしっかりやりなさい!」
なんて言ってしまうと発達障害ADHDタイプの子どもの勉強に対するやる気は一気に減速します。
息子は「戦艦カッコいい!」をきっかけに社会の授業だけは聞くようになりました。
そして次第に社会の授業だけノートをとったりプリントを提出しはじめました。
3.学校の協力がなくても家庭で○○を実践すれば大丈夫!!
最初はプリントを出せたり出せなかったりすることがありましたが、出せない時に私はガミガミ言うことはしませんでした。
その代わり出せた時は、大絶賛してあげました!
ノートや、ワークなど目を凝らしてみると先生のハンコが押してあることがあります。
こうした提出した証を見逃さずに、子どもの頑張りに気づいてあげることが大切です。
・提出した証(子どもの頑張り)に気づく
・頑張りに気づいたら、子どもを褒める
これによって“提出する”行動を定着させていきました。
本当は提出できたときに学校の先生がひとこと「良く出したな」と言ってくれると、もっと定着しやすいのですが…
学校や教科担当の先生によっては対応してくれない場合もあります。
もし学校の協力が得られなくても、お家で大人が子どもの頑張りを認めてあげる声かけをしてあげれば大丈夫です!
学校など家庭の外で困りごとがあると“外”でなんとかしようと思ってしまいがち。
ですが、“お家”で大人から認めてもらったり褒めてもらうことで自己肯定感が伸びて、その結果子どもは外で頑張りだすことができます。
子どもの頑張りのベースは“お家”です。
息子は、こうしてたった1つの‟社会科の授業がおもしろい”というきっかけから、他の教科の課題も提出するようになりました。
そして「提出」すれば成績表の「やる気・態度」の項目の評価が上がるという体験を積んでいきました。
もしかしたら勉強を通じてのはじめての「成功体験」だったかもしれません。
1日15分しか勉強しなかった息子は少しずつ勉強する時間を増やしていき、受験シーズンを迎えるころには1日4−6時間取り組むことができるようになりました。
・たった1つの興味
・たった1つの大人の声かけ
・たった1つの自信
これが子どもたちの頑張りのきっかけになります。
今、この瞬間にすべて完璧にできていなくてもいいんです。
スタートはたった1つの興味からで良いので、まずは家庭で頑張りを認めてあげましょう!
お母さんからの肯定的な声かけがあることで、子どもの学習意欲は向上していきますよ。
執筆者:清水畑 亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
勉強嫌いな子どもがやる気になる声かけや対応の方法を発信しています!