思春期の子どもが暴言や暴力で母親にあたる苦しみ
私には思春期にさしかかった小学校6年生の発達障害グレーゾーンの息子がいます。
診断はおりていませんが、注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム(ASD)、学習障害(LD)の3つの混合タイプの特性を持っています。
2年生のときの誕生日にゲーム機をプレゼントしてから、高学年になる頃にはオンラインのバトルゲームにハマるようになりました。
その頃からゲーム中だけでなくテレビを見ているとき、それ以外の日常生活でも自分が不快に感じること、思い通りにならないことがあると暴言が増すようになりました。
集団生活が苦手ですが、学校ではギリギリのところでなんとか頑張るので、むしゃくしゃして家ではお母さんにあたるのです。
初めのうちは、そのショッキングな言葉に「そういう言葉はよくないよ!」と何度も注意していました。
「そんなの聞くとお母さんは悲しいな」とこちらの感情を伝えながらたしなめたりもしていました。
しかし一向に聞き入れることはなく、最後には親子バトルに発展してしまうのが日常茶飯事でした。
そこで暴言を聞き流す努力をすることにしました。
ところが、聞くまいとしていてもどうしても耳に入ってきてしまうので、常に感情が揺さぶられ心身ともに疲れきっていました。
そのうち暴言が〇ね、〇ろす、などとエスカレートし、物に八つ当たりするなど攻撃性が増してきたのです。
将来は犯罪者になってしまうのではないかと不安は募る一方。
子どもと過ごす時間が苦痛以外の何ものでもなくなっていきました。
母親として失格だとそんな自分にも嫌気がさしていました。
原因は、脳のある部分が思春期に活動し始めること
そもそも、なぜ思春期になると暴言が増えるのでしょうか。
脳には扁桃体という感情をつかさどる部分があり、性ホルモンが急激に成長することで活発に動き始めます。
扁桃体が活発に動くことで興奮したり怒ったりしやすくなりますが、それを鎮めてくれるのが脳の前方に広がる前頭前野という部分です。
前頭前野の成長に伴い、正しい判断や感情のコントロールができるようになっていきます。
前頭前野より扁桃体が先に成長しているので、思春期の子どもは体と心が非常にアンバランスな状態なのです。
扁桃体は攻撃から身を守るときに反応する部分でもあるため、お母さんが叱ることで子どもが激しく反抗するのもうなずけますね。
思春期の子どもと向き合う母親が今できること
しかし、子どもの暴言にお母さんがいちいち反応し応戦していたのでは親子関係が悪化し、二次障害を引き起こす可能性があります。
二次障害とは、発達障害による困りごとへの対応がうまくできないことから、さまざまなメンタル症状や問題行動が引き起こされることをいいます。
子どもの二次障害の心配だけでなく、お母さんのメンタルが落ちてしまうと、それが家族に及ぼす影響は少なくありません。
今すぐにでもお母さんが感情をととのえて穏やかに接することが、子どもだけでなく自分自身を大切にすることにつながります。
感情コントロールができるようになるまでには時間がかかるので、子どもはすぐには変わりません。
しかしお母さんが受け取り方を変えるのは、取り組み方次第では今すぐにでも始めることができます。
暴言や暴力の裏にある、子どもの本心とは
まず、暴言が子どもの本心ではないことをお母さんが理解しましょう。
言葉やコミュニケーションが未熟なので、自分の中の不満やイライラをうまく伝えることができないだけなのです。
お母さんが自分の中で子どもの言葉を翻訳して受け取ってあげることが大切です。
「暑くてイライラしているな」「学校で何か嫌なことがあったのかもしれないな」「どう言葉にすればいいのかわからないから、物にあたっているのかな」
お母さんの心の中で別の言葉に変換してあげる癖をつけていきます。
そうはいっても、なかなかうまくはいきません。
初めのうちは、堪忍袋の緒が切れてしまうと最終的には怒鳴ってしまうことも多いと思います。
ですが根気よく繰り返しているうちに、心が怒りや不安の波に揺らされることが少しずつ減っていきます。
実際に、私の息子が暑さから感じる不快感を暴言や八つ当たりで表していると気づいたとき、霧が晴れた気持ちになりました。
子どもの言動の裏には何があるのかな?と観察していると、問題と思える言動に別の理由があることが見えてきます。
どう対応してあげるのがいいのか試行錯誤するうちに、わが子に合った方法もわかってきます。
子どもの様子を注意深く観察するようになるので、お母さん自身の視点が変わったことに気づくはずです。
お母さんが暴言を言葉通りに受け取らないことを習慣化できると、少し離れたところから落ち着いて見守れるようになります。
その頃にはずいぶん気持ちが楽になっていると思います。
同じようにお悩みのお母さんの心が少しでも軽くなると嬉しいです。
執筆者:にしがみあやか
(New Mammyアンバサダー★)
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