特性がある凸凹繊細きょうだいの育児されている仲さんには、発達科学コミュニケーションのトレーナーとして起業されてから、同じような環境のお子さんやお母さんと寄り添えるよう活動されています。在宅での仕事のことや今後のことについてお話を伺いました。
【目次】
1在宅でのお仕事で、ライフスタイルがガラリと変わりました
前回までの2回は、仲さんが発達科学コミュニケーション(発コミュ)を始められるまでと、トレーナーとしての専門のことについてのお話を伺いました。
●インタビュー 第1回目はこちら
●インタビュー 第2回目はこちら
今回は、仲さんがトレーナーになってからの生活の変化と、これからの活動について伺っていきたいと思います。
こちらの記事は3回にわたるインタビュー記事の最終回になります。
ーーー現在、発コミュのトレーナーとして日々忙しくされていると思うのですが、看護師としてバリバリ働かれていたころと比べて、ライフスタイルはどう変化しましたか?
「はい。病院で看護師として働いて、休職して大学院に行って、それから起業して、在宅で仕事ができる環境に変わりました。
組織に属しているときは、そこの理念に従って組織をよくしようと思って働いていました。今は自分の家庭を思って働いていますが、やはり違いますね。
今は子育てが仕事になるし、仕事をすると子育てにもつながってきてリンクする部分が増えています。
家で働けるので、“行ってくるね”が隣の部屋に行くことになっていますし、子どもにも不安が少ないです。
時間の余裕を持って対応できるので、朝の行き渋りも、『もういい加減にしなさい』ということがなくなって、話を聞いてあげることで、学校へ行くことができたりもします。
今までは私が帰ってきたときに3人まとめて話してくるので、全部聞けなかったんですが、今は帰ってきたときも『おかえり』が言え、一人ずつ話を聞くことができるようになりました。
在宅になって、こういった過ごし方ができるのは幸せだなと思います。」
ーーーお母さんにきちんと気持ちを聞いてもらえるとお子さんも安心しますよね。在宅でのお仕事、お子さんと過ごす時間、充実した毎日だと思いますが、そんな忙しい中での仲さんの楽しみなどありますか?
「はい。病院で働いていたころは仕事があるので、当たり前ですが、昼間外を歩くことはなかったんですよ。
今は子どもと青空の下『綺麗だね、この公園』とかって、静かな公園に行ったりすることはすごく楽しいです。」
◆ポイント解説
在宅でお子さんとの時間が増えていることで、お子さんの現状が理解できるようになって、余裕のある対処につながっているということですね。
起業して大変なこともあるとは思いますが、昼間の公園でお子さんとゆったりした時間を過ごされていたり、ご自分の中でONとOFFの時間を上手に使い分けられているな、と感じました。
お子さんとゆっくり過ごすときでも、お子さんとの会話で「こんな風に感じるようになったんだな」「〇〇好きなら、▲▲興味あるのかも?」と、普段とは違った視点でみることができることで、新しい発見があるかもしれません。
秋になって、紅葉を楽しめる時期にもなったので、近所の素敵な場所をたくさん見つけてほしいなと思いました。
2.忙しい毎日を過ごす中でのちょっとした工夫
ーーートレーナーとして活動して、忙しい中でも時々は息抜きをして、それぞれのお子さんとの時間も大切だと思うのですが、お子さん達との時間をどのように取られていますか?
「はい。私のおすすめは、子どもと二人の時間を戦略的にとることですね。」
ーーー戦略的?具体的に教えていただいてもいいですか?
「はい。それは、楽しみはママと二人で、ということです。〇月〇日何時から何時まではママと二人で、とか、ママとパパと一緒に一人っ子みたいな時間をとるんです。
その時は本人のやりたいことを叶えてあげるんです。他の兄弟が待っていられる時間もあるので、数時間ぐらいですが。
時間がない時は2か月に1回の頻度だったりもしましたが、その日を楽しみに待ってくれていました。
今は、1日の中で、2、3分とか5分とかそのくらいの時間だけでも、その子が求めてきたタイミングで遊ぶようにしています。
『ママ遊ぼう』と言われたら、短い時間でも、その子のやりたいことを一緒に楽しむようにしています。
本人が求めているので、満足度が高いんですよ。」
◆ポイント解説
忙しい毎日の中でも、子どものためにちょっとの時間でもいいので、一緒に過ごしてあげることで、子どもも「お母さんは希望を叶えてくれる」という安心につながって、子ども自身が安定していくということがわかりました。
お子さんに「遊ぼう」と言われたときに、短い時間でできて、お子さんも楽しめる遊びをお母さんが知っていることも重要かもしれません。
我が家では、小学5年生の息子が「遊ぼう」と言ってくるときは、「一緒にゲームをしよう」が多いので、短い時間で終わることはないのですが、休みの日などは希望に叶えるようにはしています。
ぜひ、お子さんが短くても楽しめることも含め、お子さんの好きなことのレパートリーを増やしてみてくださいね。
3.発達凸凹兄弟の専門家として
ーーーそれでは最後の質問になります。これからの目標や夢について教えてください。
「はい。今まで、子どもが荒れてから、自分でいろいろやってきて、発コミュを始めるまでに2年ほど回り道をしました。
発コミュを始めて、やはりきょうだい育児ってすごく大変だし、きょうだい育児の悩みを抱えている人もすごく多くて、こんなにみんな同じ悩みを抱えていたんだということに気づきました。
これからは、『きょうだい育児大変すぎる』って感じてしまう人たちのために、きょうだいの数だけ、きょうだいの数に比例してどんどん感動が増えていく家族を増やしていきたいです。
わが子での経験をもとに、同じような困りごとが多めな凸凹兄弟の家族のサポートをしていって、『きょうだいがいっぱいいてよかった』と家族全員が思えるような状態にしたいですね。
これからも、日本で唯一の発達凸凹繊細兄弟の専門家として活動していきたいと思います。」
◆ポイント解説
きょうだい育児の大変さは、お子さんがいるお母さんが一番理解できることですよね。
発達凸凹があって、周りから怒られたり、他の兄弟と比べられたりする子ども自身も、大変な思いをしています。
わが子の困りごとを認識して、適切なサポートをしてあげることで、お子さんの肯定感も育っていきますし、家族みんなで成長できるようになると思います。
そんな家族を一組でもたくさん作っていっていただきたいな、とインタビューを通じて、心から思いました。
ここまで3回にわたってお伝えしてきた仲ひろ子さんへのインタビューはこれで終了になります。
仲さんの今後のご活躍を期待しています。
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執筆者:松尾 歩
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)