発達障害の傾向がある子どもの学級選びは、どこのご家庭においても一番頭を悩ませることの一つ。正解がないからこそ悩みも大きいですよね。今回は進級時に学級選びに悩んだ我が家のリアルな体験談をご紹介します。ぜひ参考の一つにしてみてください。
【目次】
1.発達障害傾向の子どもの学級選びは大変
発達障害の傾向があるお子さんを育てておられる親御さんにとって、小学校での学級選びは大きな悩みの一つです。
どこのご家庭にとっても、大切なお子さんがどこの学級なら伸びるのか?安心して過ごせるのか?どんな支援が必要としているのか?など、本当に悩ましいですよね。
また、自治体によって、特別支援学級に関する取り組み方もそれぞれ違います。同じ地域であっても学校によって特色も違うことがあります。
お子さんに特性がある場合、通常学級で担任の先生に協力をしてもらう?固定制の特別支援学級で手厚く対応してもらう?通級指導で補足する感じにする?などと様々な選択肢があります。
どちらの選択をしたとしても、実際は一長一短ですよね。全てが希望通りに叶うことは、残念ながらほとんどありません。
しかし、どこの学級を選択しても、一番大切なことは子どもが安心した環境の中で自分の力を伸ばせることですよね。
学校の公的な支援を探る中で、学級をどうするのか我が家も非常に悩みました。約3ヶ月、次年度の娘の学級をめぐって悩んだ末にでた一つの考え方をお伝えします。
学級選びで悩まれておられる方は、参考の一つとして最後までお読みいただけたら嬉しいです。
2.誰か正解をください!と呪文のように唱えた3ヶ月
ここで我が家の話しをさせていただきます。
我が家は現在、通常学級に通う小学生の娘がいます。1年生のときに、次年度の学級を考えるにあたり、非常に悩んだ時期を過ごしました。
娘は発達障害の傾向があり、おっとりのんびり屋さんで、人とのコミュニケーションが苦手な傾向にあります。
1年生のときに受けた発達検査も、娘の傾向が現れている結果になりました。
娘は、不安障害の一つでもある「場面かんもく」があるので、落ち着いて考えたらできる内容だったとしても、緊張のためうまく言葉や行動につながらないことがあります。
また、のんびりおっとり屋さんで、作業スピードがゆっくりです。その結果を踏まえ、自治体の就学相談からは固定の特別支援学級が相当なのではないか?というお話しがありました。
私としては、通常学級在籍のまま通級指導で補う希望があったため、初めてそのお話しをされたときには、親としてとても大きなショックを受けたことを覚えています。
私のショックはさておき、一番大切なことは娘を軸に学級を考えること!今後の決断に向けて、娘に関わる方々からの情報収集をしました。
主治医・担任の先生・療育の先生からは普通級で必要なときに支援を受けるのが良いのではないか?という見解でした。
担任の先生からは、少しの声がけをすれば問題ありません!というお話しをいただき、安心できる環境やお友達がいる方が娘さんは伸びるのではないか?と言っていただきました。
また、主治医からは、娘の特性と固定の特別支援学級は合うかが疑問ということを言われ…
最終的には親が学級をどこにするのか?決断するということはわかるのですが、娘の人生を左右する学級選びは私にとってとても重いものでした。
娘の今の状況、娘の特性や性格、自治体の支援への取り組みや考え方、親の希望、周りの意見…考えれば考えるほど、正解が導き出せない状況でいました。
「誰か!私に正解をください!」と呪文のように唱えていた時期もありました。教えてくれたらこんなに悩むことはないですよね。あるはずも無いのですが!
私自身、娘の今後を考える上で学校内で支援を受けることばかりに目がいってしまい視野が狭くなっていたことに気づかされたのです。
その視野を広げてくれたのが、発達の勉強会で出会った仲間の存在でした。その仲間の一人がある言葉をかけてくれたことが私の悩みの答えを導き出してくれました。
その言葉は「支援を学校内だけで考えていたら答えは出ないよ〜!」という一言でした。学校の学級選択で悩んでいた私に、学校内だけで考えなくて良いのではないか?という一言は目の前にあった暗い雲を一掃してくれました。
そこで我が家は学校内に頼らない支援の形を考えるようになりました。結果的に、娘は私たちが思う以上に自分の力を伸ばしていきました。次項でお話ししていきますね。
3.学校だけに頼らない!悩んだ末に行き着いた考え方
学級選びの結論として、進級後は通常学級を選択しました。我が家が住む自治体は、支援に関しては融通性が感じられないので、学校内の支援を受けない決断をしました。
夜も眠れなくなるほど悩みましたが、決断に至った経緯は以下の2つです。
◆①子どもの性質と向き合う
現状、普通級でとても楽しく通えていることが何よりの答えでした。
娘は緊張をしやすく自分の力を思った通りに発揮するのは、特性上、苦手な傾向にあります。
しかし、通常学級でも自分をしっかり出せるようになり、人前での発表も緊張と向き合いながら乗り越えてきました。自分で乗り越える力を今は持っていると確信しました。
また、固定の支援級となると、今まで積み上げてきた友人関係や安心できる環境を手放し転校という形になります。不安が強い娘にとっては、得策とは思えませんでした。
そうなると、登校しぶりにも繋がってくるのでは無いかとの懸念が強く出てきました。
娘の性質と状況を照らし合わせることで、現状の環境は変えない方が良いのではないかとの決断に至りました。
実際、娘は進級後も安心して楽しく学校生活を送ることができているので、このときの判断は間違いではなかったと確信してます。
◆②外部の資源を有効活用
我が子の場合には、支援を受けるとしたら情緒級の支援に該当するので、学校で支援を受けずに普通級で過ごすとなるとそのあたりの支援はおろそかになってしまいます。
そこで考えたのが、学校で支援を受けないのであれば、補いたい部分は外部を活用することでした。
我が家ではソーシャルスキルに関する部分を、縦割りの民間学童に通うことにしました。
週に1度ですが、予期せぬ子どもたちの関わりにより、コミュニケーションに関する部分は大変伸びたと感じています。
民間学童のスタッフの方には、コミュニケーションを円滑にできるよう手助けして欲しい旨だけお伝えしていました。
それも功を奏したのか、小学校では1年生の頃の娘を知る担任の先生からも、お友達と自分から関わったり、自分の意見を伝えたりと人が変わったみたいで驚いています!と言っていただきました。
実際に、周りのお友達や家族との意見が違うときに譲ることや、自分の想いを伝えることも身に付いています。突然の出来事を処理することも苦手でしたが、試行錯誤しながら歩みを進める強さも出てきました。
何より言語の力も伸び、対人関係が変わってきました。場面かんもくがある子ですが、乗り越えたこと一つひとつが大きな力になっているのだと思います。
学校内部の公的な支援を受けないことが、親としてとても不安材料と感じた時期もありましたが、現時点ではこの判断が正解だったと思っています。
我が家の場合には、少し頑張らないとならない負荷がかかる状況の方が伸びる場合が多いように感じています。もちろん、そればかりではいけませんが…。
もちろん、これがずっと正解だとも思ってはいません。都度、親として娘を丁寧に観察し、柔軟に環境を整備してあげたいと考えています。
もし、我が家のようにどこの学級にしようか悩まれておられたり、一長一短で決断ができなかったり、自治体のやり方で融通性を感じることができないときには、学校内の公的な支援から外部へ視野を広げて考えることをお勧めします。
まだまだ私自身も模索中です。一緒に子どものためにより良い環境を与えてあげられるよう頑張りましょう!
皆様のお子様が、安心できる環境で最大限に力を発揮できますように!
コミュニケーション上手になるための対応をこちらの記事でも紹介しています。参考にしてみてください。
小学校の学級選びの実体験をご紹介!
執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)