前回検査と違う点数でも迷わない!発達検査の上手な使い方

 

発達でこぼこがあるお子さんは、発達検査を何度か受けることがあると思います。同じ検査でも数か月内に受けた検査で全く違う点数が出てしまったとき、どう考えればいいか迷いますよね。そうした場合に検査結果についてどう考えればいいのかお伝えします。
 

【目次】

1.数か月前に受けた数か月前に受けた発達検査と点数が大違い!どっちが正しいの?
2.同じ新版K式発達検査なのに、4か月前より13点も低い点数が!
3.なぜ発達検査検査で大きく異なる点数がでることがあるのでしょう?
①子どものコンディションで点数は大きく変わります。
②違う種類の検査を受けた場合は、点数の出やすさが異なることに注意!
4.良い点数と悪い点数、どちらも息子の性質を説明する大事な宝物です!

 
 

1.数か月前に受けた発達検査と点数が大違い!どっちが正しいの?

 
 
発達でこぼこがあるお子さんは、複数回発達検査を受ける機会があると思います。
 
 
発達検査の点数だけですべてがわかるわけではないですし、点数だけで何もかもが判断されるわけではありません。
 
 
とはいえ、検査のスコアは療育手帳取得をするかどうか、小学校入学の際に通常学級にするかか支援学級にするかの判断材料にそのスコアが参考に使われます。
 
 

 
 
知的レベルに問題があるかどうか、という話も出てくれば結果を受け取るママも動揺してしまうもの。
 
 
親子でドキドキしながら受けた発達検査、数か月前に受けた検査と全く違うスコアが出てしまった場合、
 
「この子は知的障害あるの?ないの?」
 
などどう考えればいいのかわからないママは多いのではないでしょうか。
 
 

2.同じ新版K式発達検査なのに、4か月前より13点も低い点数が!

 
 
私の年長の息子は、今年度、2回新版K式発達検査を受ける機会がありました。
 
 
夏前には、就学相談のために、通所していた療育施設において、施設長の先生に施行していただき、秋には、療育手帳取得申請のために居住地域の児童福祉センターの臨床心理士さんが施行しました。
 
 
夏の検査では85、4か月後の秋の検査では72と大幅に違う点数が出ました。
 
 
 
 
ここまで違う点数が出てしまうと、ママは「通常学級入学希望していたけれど、やはり支援級にしなきゃダメなの?」など大慌てになりますよね。
 
 
私はすでに発達科学コミュニケーションの上級講座で、知能検査、発達検査の種類と特徴、各検査における点数の計算方法について詳細に学んでいたため、落ち着いて解釈できました。
 
 
むしろこの点数の違いを、息子の特徴をより詳細に就学支援の際に説明するチャンス、ととらえることができました。
 
 
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3.なぜ発達検査で大きく異なる点数が出ることがあるのでしょう?

 

◆①子どものコンディションで点数は大きくかわります。

 
 
子どもは機械ではありません。

 
子どもの機嫌の良しあしで点数は大きく異なることがあります。
 
 

 
発達検査はママが立ち会い可能であれば、様子を観察しましょう。
 
 
立ち合いが認められない場合も、検査結果のレポートに点数だけでなく、検査時の様子がかかれています。集中して取り組めていたかどうか、落ち着いていたか、確認しておきましょう。
 
 
息子の場合、良いほうの点がでた夏の検査は、
 
 
・普段通いなれた療育施設
・普段から親しい施設長の先生が検査を担当
 
 
という環境でした。
 
 
検査中は足はバタバタすることは多少あったものの終始座って検査に応じていたり、わかる設問はすべて答えていた様子でした。
 
 
一方で、点数がよくなかった秋の検査は、
 
 
・1年ぶりくらいに訪れる児童福祉センター
・初対面の臨床心理士の先生が検査を担当
 
 
という環境で行いました。
 
 
息子はコロナウィルス感染対策のための衝立を外そうとしたり、机の上に登ったりイライラするたびに私のところに抱きつきにいったり、と落ち着きがありませんでした
 
 
「答えない」と決めて答えていない質問も多い様子でした。
 
 
また、秋の検査は、保育園の行事のための練習が大詰めで、息子は心身疲労蓄積していた時期でもあり、検査への影響もあったでしょう。
 
 
また、新版K式発達検査には特に、検査施行の臨床心理士の力量により点数が左右されることは多いようです。
 
 
新版K式発達検査は、臨床心理士と子どもとの対話の中で、子どものできることを引き出す要素が強い検査です。
 
 
そのため、初対面かつ発達でこぼこの子どもとの対話が苦手な臨床心理士では点数が低下することがあるようです。
 
 

◆②違う種類の検査を受けた場合は、点数の出やすさが異なることに注意!

 
 
発達検査にもさまざまな種類のものがあります。
 
 
検査には知能検査(IQで点数算出、学習能力など測定)発達検査(DQで点数算出、知能や生活全般の能力など測定)があります。
 
 
新版K式発達検査はDQで点数を算出します。
 
 
DQは月齢数において何%到達しているのか(比率)で計算します。
 
 
例えば実年齢6歳4か月、発達年齢5歳8か月であれば、68か月/76か月=89%なので、点数は89となります。
 
 
知能検査の一つとしてよく知られるWISCは偏差IQで算出します。
 
 
同月齢の子どもの平均値を100とし、標準偏差1つ分(1SD)を15点として計算されたものです。
 
 
+1SD相当に位置している場合は、115点という点数になります。
 
 
同じ知能検査においても田中ビネーでは新版K式発達検査同様に月齢数における到達度(比率)で計算されます。
 
 
 
 
こうした計算の仕方の違いから、点数の出方に違いがあることは知っておいてよいと思います。
 
 
例えばIQ160という数字が出ていた場合、偏差IQ(+4SD、偏差値なら90に相当)ではなく、比率IQ(実際の月齢の1.6倍の到達度)であることがほとんどです。
 
 
少なくとも、お子さんが受けた検査の点数が偏差で計算されているのか、比率で計算されているのかは調べておくとよいですね。
 
 
また、各検査でみる項目もちがうため、違う検査を行えば点数は違うことは当然あります。
 
 
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4.良い点数と悪い点数、どちらも息子の性質を説明する大事な宝物です!

 
 
2回の検査ががどちらも新版K式発達検査であった、となると、どちらが正しい点数なの?
 
 

就学を控えている人は「どちらの点数を就学相談に持っていけばいいの?」と迷ってしまいますよね。

 
 
私は「どちらも息子の状態を反映するもの」として大事に使うのが良いと思います。
 

 

 
 
点数の詳細を見ると、認知・適応の項目は夏の検査と秋の検査で同程度の点数がでていましたが、言語・社会の項目では20近く低下、発達年齢にして1歳程度低くなっていました。
 
 

この両方の結果をもって、私は、息子は、

 
 

環境調整をしっかりすれば夏の検査の結果程度の実力が発揮できるが、環境調整が不十分(初対面、慣れない場所)では秋の結果のように相手とうまくやり取りができず、ふざけた子にみられてしまう。」

 
 
不安が強く、初めての場所、初めての人のことを警戒してしまい、力を発揮しづらい。」
 
 
「よりストレスがかからない環境調整をしていくことが非常に重要な子である。」
 
 
言語課題にもともと苦手があり、ストレスがかかると言語中心の課題のできが極度に悪くなる。
 
 
と説明ができると解釈しました。
 
 
 
 
良い結果と悪い結果の2回あったからこそ息子の様々な側面が説明でき、良い説明材料がもらえた、と思えました。
 
 
小学校の校長先生にもそのように説明することを予定しています。
 
 
発達検査は、時間のかかる検査で、とくに発達でこぼこがあると親子ともに心身を相当消耗しますから、せっかくなので一つ一つの検査を大事に子どもの支援に使っていきたいですよね。
 
 
発達検査で前回結果と大きく違う点数が出て、解釈に悩むママたちには参考にしていただければと思います。
 
 
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執筆者:いぬいまき
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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