場面かんもくの傾向のあるお子さんは、お友達づくりにとても苦労することが知られています。コミュニケーションが苦手なことで、人間関係がどうしても形成しづらいのです。今回は我が家の事例をあげ、子どものお友達づくりに家庭でできることをお伝えします。 |
【目次】
1.場面かんもくの子どもが友達づくりに苦労するのはなぜ?
2.友達づくりに苦労するのは緊張や不安が強いから?
3.友達の作り方に必要な2つのコツ
①お家に友達を呼ぼう
②大人は子どもを見守りつつ距離をとろう
1.場面かんもくの子どもが友達づくりに苦労するのはなぜ?
学校では400人に1人いると言われている「場面かんもく」は、「選択性かんもく」と言われることもあります。
場面かんもく症とは、家庭や一部の場所ではスムーズに話し、身体を動かすことができるのに、学校など外に出るとそれらの全てができなくなるというものです。
ここではできるのに!あそこではできないなど、周りが「なぜ??」と困惑することが多く、理解されるまでにとても時間がかかると言われています。
知的な部分に問題がないことで知られる場面かんもく症ですが、本人が思うように行動できないのは、不安や緊張などが高いためです。
家では話しをすることも、身体をスムーズに動かすこともできるのに、一歩外に出るとできなくなる。
当然ながら困るのは、他者とのコミュニケーションです。
中でも学校生活は同級生や、先生と話す機会が多くあります。
学校で話しができないとなると、周りの子どもたちや先生とのコミュニケーションが円滑にできません。
適切な対応に慣れている先生は少なく、間違った対応で状態を悪化させてしまうことにもなりかねません。
場面かんもくのお子さんにとっても、それほど苦痛なことはないかと思います。
先生による理解ある適切な対応はもちろん大切ですが、場面かんもくの子どもに一番大切なのは、信頼できる友達です。
友達づくりがスムーズであれば苦労はしませんが、なかなか見守っているだけではうまくいきません。
今回は、我が家の場面かんもく傾向の娘の友達づくりの成功体験をあげ、友達の作り方を紹介します。
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2.友達づくりに苦労するのは緊張や不安が強いから?
我が家には場面かんもくの傾向の強い娘がいます。
前項でもお話しした通り、娘の困難は周りとのコミュニケーションでした。
そんな困難を抱えた娘でしたが、今では周りの人たちと進んでコミュニケーションを取れるまでになりました。
幼稚園時代の娘は、3年間ほぼ声を出さない園生活を送りました。
もちろん園の先生達は適切に対応してくださっていましたし、家庭でも最善を尽くしていました。
けれど、友達とちょっと仲良くなったかな?と、安心するのも束の間、次に会ったときには初めまして!の振り出しに戻るという状況の繰り返しでした。
先生も私も、首を傾げる日々。
昨日までは仲良く遊んでいた友達なのに、翌日あるいは数日空くと遊べなくなるという状態です。
場面かんもくの子どもは、緊張や不安が強いために、どうしても心の窓口が狭いような印象です。
友達と複数回の交流を重ねても、次に会ったときに、話すことも緒に遊ぶこともスムーズにはいかないことが多いのです。
緊張と不安で楽しいという気持ちを飲み込んでしまった印象です。
そのため、いくら楽しい経験をしても、緊張と不安がそれを上回るために楽しい記憶が残りづらいのです。
そこで私は試行錯誤を繰り返し、家庭でのとても有効な対応を見つけることができました。
もし今お困りの方がおられましたら、参考にしていただけたら嬉しいです。
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3.友達の作り方に必要な2つのコツ
私の見つけたスムーズな友達の作り方のコツは、たった2つ!
◆①お家にお友達を呼ぼう
お家に友達を呼ぶことは、とても有効性が高いと感じています。
なぜなら、子どもがとても落ち着いて安心できる場所だからです。
おもちゃだって、遊び方だって、全てが慣れているものばかり。
なので、いつもの自分のペースで遊べる可能性が高いです。
◆②大人は子どもを見守りつつ距離をとろう
次に大切にしたいのは、子どもと友達の遊ぶ場所からは、大人はできるだけ距離をとることです。
目は離さず、手を離すという感じです。
もし、お母さんが離れることに子どもが不安に感じるようであれば、「お母さんは違うことをしているから何かあったら言ってね!」とだけ伝えます。
そして少し距離をあけたら大丈夫。
大人が近くにいないことで、緊張と不安のハードルは確実に下がります。
このことは、場面かんもくの研究をされている医師の研究結果からも証明済です。
子どもは自分が話したり、動いたりできないことを知っている大人が近くにいると、見られているという感覚が強まり、余計に不安や緊張が増すのだそうです。
あえて距離をとることで、子どもが自分の力を発揮しやすくなります。
我が家では、家に友達を呼び、遊んでいるときには私自身が少し離れた場所にいたり、席を外したりしていました。
何か他の作業をしているなど、私はあなたたちの遊びは気に留めていませんよー!という風にです。
公園でも同様に対応しました。
何かあればすぐにそばに行くことのできる少し離れたベンチに座り、様子を見ていました。
子ども同士のやりとりは聞こえない距離です。
これを繰り返しおこなうと、不安や緊張から少し解放され、友達と過ごす時間を楽しめる余裕が出てきます。
楽しい!という気持ちの入る狭かい窓口が、少し広がると次回まで楽しい!を蓄積させることができます。
娘は、大人が近くにいないことで、スムーズに自分を出せることが多くなりました。
そして小学生になった今は、自分から友達と交流を深めようと行動できるようになっています。
楽しい!の積み重ねがきっと本人の自信にも繋がっていったのだと考えています。
今でも、私は無関心アピールをすることが多々あります。
実は無関心を装う対応がとても大切なのです。
くれぐれも、子どもにはその装いに気づかれないように注意してくださいね。
自然に、が鉄則です!
もちろんコミュニケーションは話をすることだけではありません。
しかし、話をしたり、一緒に笑い合ったりする機会が多いことで、円滑な人間関係が生まれることは事実です。
ゆっくり、焦らず、関わってあげたいですね。
緊張も多い新学期!スムーズなスタートを切りたいですね。
こちらの記事でも、場面かんもくの子どもについての対応策をお伝えしています。
悩みを解決するヒントになりますので、併せて参考にしてみてください。
執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)