子どもの歯科通院はママにとって憂鬱なもの。怖そうな器具、キーンとという音。発達凸凹の子にとって見通しの立たない状況は余計に不安をあおるもの。そんな歯医者さんで、抜歯という恐怖体験でもママの入念な対策があればポジティブ経験にも変えられます。
【目次】
1.ピンチ!5日間に2回の抜歯
2.1回目の抜歯の振り返り。恐怖体験になってしまった
3.子どもの歯科診療でママがとるべき態度とは?
4.準備が一番!ポジティブ記憶に上書き作戦
◆通院前 とにかく〇〇〇
◆処置中 先生や看護師さんを巻き込む
◆病院を出たら ご褒美をワクワクUPさせる声掛け
5.ピンチはチャンスに変えられた!
1.ピンチ!5日間に2回の抜歯
歯科の通院。大人でも苦手な人が多いですよね。
子どもなら尚更です。
そして発達凸凹の子なら見通しの立たない状況だったり、聴覚過敏がある子にはあの独特のキーンという機械音はその場にいるのも辛くなるものでしょう。
今回は、定期健診でも嫌がってなかなか口を開けない子どもが「乳歯を抜歯」のピンチをどう乗り越えたかお話しますね。
7歳のダウン症の娘。定期健診で指摘された乳歯を抜歯することになりました。
しかも、下の歯の左右に乳歯の奥から永久歯が生えてきて、それぞれ日を設けて抜歯をすることになり、5日間に2回の抜歯です。
初回の抜歯は、拒否・騒ぐ・泣くで何とか片側の抜歯終了。

娘に歯を抜くことをうまく説明できず、何をされるのかわからない不安、恐怖、痛い思いでいっぱいにさせてしまいました。
次回は少しでもラクに終わらせるようにしたい、そんな重たい気持ちで病院を後にしました。
2.1回目の抜歯の振り返り。恐怖体験になってしまった
そもそも私は、何の準備もないまま歯科に連れて行ってしまいました。
「まえのは(歯)、とるよ」「ちゅうしゃ、あるかも」位しか伝えないまま病院へ行き、予定通り抜歯が決定。
ところが抜歯の処置はたくさんの行程があり、それぞれ不安や恐怖が付きまといます。それは、実際にペンチで抜歯する処置はもちろんですが、前後の処置も子どもにとっては嫌なことだらけなんです。
たとえば、
・麻酔前の消毒が苦い
・麻酔の注射が痛い
・麻酔が効いてきた違和感
・血が沢山ついたガーゼが見える
などです。
さらに娘は元々歯医者さんが苦手で診察は拒否気味。今回はさらに動くと危ないので固定具を巻かれてしまいました。

思い返すほど、トラウマになってしまうほどの恐怖を与えてしまった…と反省しました。
3.子どもの歯科診療でママがとるべき態度とは?
一通り経験しているとはいえ、2回目を不安と恐怖が再来する経験にしたくない。
ネットで調べたところ、ある歯科のホームページに『大人が不安そうだと子どもに伝わる。いつもと変わらない、気楽な気持ちで連れていくこと』とありました。
そうか、母の醸し出す雰囲気、様子が重要なんだ。

たしかに前回は固定具で巻かれている時に看護師さんが「かわいそう…」と呟いたり、私が先生のお話に「そうですかぁ…」とトーン低めに会話。
不安から眉間に皺を寄せた表情になっていたと振り返りました。
ということは、私がうまくポジティブに演出できれば、初回ほどの辛い思いはしなくても済むということだ!
ネガティブ記憶を上書きして成功体験にさせるには、こまめな発コミュ対応と病院後の楽しい経験が必要だと考えました。
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4.準備が一番!ポジティブ記憶に上書き作戦
◆通院前 とにかく〇〇〇
抜歯2日前から普段の倍を意識したこと。肯定してとにかく褒めること。
普段はイライラしてしまうこともグッと堪えてスルー。笑顔も意識しました。
たった数日でも徹底的に褒められることで母との信頼関係を向上させておきたい。
母が「大丈夫だよ」という言葉を信じてもらいたい、との思いです。
具体的には、子どもがやっていることを実況中継したり、感謝の言葉を伝えます。
実況中継はある意味とても楽な褒めパターンです。
子どもの行動していることをそのまま伝えればいいのです。
「起きてきたんだねー」「もう靴下履いたんだ!」「元気に歩いているねー」など、当たり前にやっていることも「もう~したんだ!」という驚きのニュアンスで伝えると効果倍増です。
また抜歯直前に抗生剤の薬を飲む必要があったので、「飲んでくれる?頑張れるかな?」のお願いと応援ニュアンス。
飲み終わったら「飲めたね!すごい!良かったー。ありがとう」と感謝の言葉。

そして、これが無くては成立しないご褒美の提示 「おわったら~しようね!」です。
「終わったら病院でジュース買おう」
そしてマク〇ナルドのポテトが大好物なので「マッ〇いこうね」
これで事前の褒めは決まり、です。
大人だってご褒美がないと頑張れません。キツイ仕事もお給料がもらえるからこそ頑張れるのです。
頑張った子どもへのご褒美は必須ですね。
◆処置中 先生や看護師さんを巻き込む
通院前からご褒美のマク〇ナルドの話をして病院に到着。
受付横の自販機を通過時には 「おわったらジュースかおうね」と予告。
処置になり、べッドに寝たら「おわったらマッ〇いくんだよね!」を声を掛けました。
ここから先生や看護師さんがマク〇ナルドの話に乗っかってくれます。
「〇〇ちゃん、マク〇ナルド行くの?いいな~」
「ハンバーガーにするの?ナゲットにするの?」
「ジュースは何にする?」
先生がカチャカチャと音をさせ麻酔の注射や抜歯のペンチを用意をしながら、マク〇ナルドの話題で話しかけてくれます。
5日前よりずっと明るい処置室の雰囲気になり、そのまま処置スタート。
「イヤ」と顔を背けたり、麻酔後の違和感の表情はありましたが、、抜歯の時も泣くことはなく、娘、頑張りました!!
◆病院を出たら ご褒美のワクワクUPさせる声掛け
「よくがんばったねー」と笑顔で褒め褒め。
血が止まってから約束のジュースを買い、「がんばったからポテト食べに行こうねー」と出発。
途中、家族でよく週末に行く回転寿司のお店を通過します。
お寿司も大好きな娘なので聞いてみました。
「〇〇ちゃん、おすしにする?それともポテトにする?」
娘、笑顔で「ポテト!!」

どちらを選んでも大好きなものの選択制を提示してポテトへの期待をアップさせ、娘はさらにワクワクです。
マク〇ナルドの駐車場に着いた時は、大きな声で「ママ、ありがとう!」 と言ってくれました。
「〇〇ちゃんが頑張ったからだよ」と返すと、さらに大きな声で再度「ママ、ありがとう!」
「どういたしまして」 私もニッコリ、心でホッと安堵。
5.ピンチはチャンスに変えられた!
ご褒美のマク〇ナルドでしたが、「連れてきてくれてありがとう」と感謝されました。
5日後にまた抜歯というピンチをチャンスに変えられたのは、記憶がまだ新しいからこそ出来たのかもしれないです。
病院に行ったときにどんな処置があるかは当日の状況次第になりますが、「次回は抜歯するかも」と言われた時に、どんな処置をするかのヒアリングをしておけば良かったなと思いました。

それでも、今回の褒めの土台づくりと当日のご褒美ワクワク作戦で、娘にありがとうまで言ってもらえたので、私の子育ての自信になりました。
大丈夫かな、不安だなの気持ちは親子共に一緒。むしろ母の気持ちが子どもに伝染します。
不安で動けなくなるのではなく、不安だから考えたり動いたりすることが大切ですね。
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執筆者:北川明希子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)