発達障害で声が大きい子どもが声のボリューム調整ができないために「もっと静かに!」と注意していませんか?ゲーム感覚で楽しく会話をしながら改善できる4ステップをご紹介します。
【目次】
1.発達障害の子どもで声が大きいことが気になることはありませんか?
2.子どもにはあいまいな表現で注意しても伝わりません
3.注意する場面を作らないという視点も持ってみよう!
4.ゲーム感覚!分かりやすい目安で声のボリューム調節ができる4ステップ
①声の大きさ当てゲーム
②事前に予告する
③声が大きくなったら数字で伝える
④褒めて終わる
1.発達障害の子どもで声が大きいことが気になることはありませんか?
子どもは元気なのが一番!
大きな声で挨拶してくれると気持ちいいいね!
大きな声で話せることはとてもいいことですが、それも時と場合によるもの。
我が家の発達障害・自閉症スペクトラム傾向の息子が幼稚園児だった頃、場にそぐわない声の大きさが気になっていた時期がありました。
地声はもともと小さい方だと思われますが、良くも悪くも興奮したことで声が大きくなるような傾向が見られました。
興味のある好きな場所、逆に初めてで落ち着かない場所など、普段とは違う場所に行ったときは大変!
遊園地や公園など、思いっきり声を出していい場所ならば問題ありませんが、病院の待合室や図書館などではどうしても声のボリュームに配慮は必要ですよね。
「もっと静かに話して!」
「声が大きすぎるよ、もっと小さい声で!」
と、当時は反射的に息子に注意していました。
注意したらその時は少し声は小さくなるのですが、ほどなくしてまた大きな声に戻ってしまう。そしてまた注意する、その繰り返しでした。
2.子どもにはあいまいな表現で注意しても伝わりません
まず、発達に凸凹がある子もそうでない子も、幼い頃はあいまいな表現で言っても子どもには分かりにくいということがあります。
「もっと静かに!」→ 「もっと」ってどのくらい?
「うるさいよ!」 → で、どうすればいいの?
子どもからすると、大人から注意はされてしまったけれど次にどうしたらよいか分かりません。
結局また大きい声になり注意が続く…
それでも色々な場所や場面を経験していくうちに、「今は小さな声で話さなくてはいけないんだ」ということが、少しずつ判断できるようになってきます。
しかし、ここで発達障害の特性がある子どもの場合は、周りの人の表情や動き、その場の空気を感じ取ることが苦手な子もいます。
それゆえに、なかなか場に応じた声のボリューム調整をすることが難しいことがあるのです。
3.注意する場面を作らないという視点も持ってみよう!
声の大きさが気になるお子さんの場合、そもそもその場に連れていかなくてはならないのかどうかを考えてみることも大切な視点ではないでしょうか。
赤ちゃんや幼児を連れていける場所かどうかを考えるのと同じように、その子の発達段階ではまだ注意が必要な場所と考えられるところは避ける、というのも一つの手段です。
毎回注意が増える場所に行くのは、親も子どももハッピーではないですよね。
そうは言っても病院や本人の成長に繋がると思われる場所など、どうしても連れて行きたい場所もあります。
そして、自分の声の大きさがどのくらいなのかをイメージしてボリューム調整ができるように成長してもらいたいと思いますよね。
そんな時はどうしたらいいのか、次におすすめの対応をご紹介しますね。
4.ゲーム感覚!分かりやすい目安で声のボリューム調節ができる4ステップ
◆①声の大きさ当てゲーム
1・・・ヒソヒソ声
5・・・普段の会話の声
10・・・一番大きな声
と、何となくでいいので声の大きさを10段階で表します。
まだ数字が分からないお子さんには
1・・・ヒヨコさんの声
5・・・ウサギさんの声
10・・・カバさんの声
などと、声の大きさがイメージしやすいようなものを使うのがオススメです。
そして、「今から声の大きさ当てゲームをします!」といって、大人が声を出して大きさの数字を答えてもらいます。
ゲームとなればノリノリになる息子と当時2歳だった娘。
息子「3!いや1?」 娘「ヒヨコさん!」となかなか盛り上がりました。
そして、次に子ども自身が自分で思う1・5・10の声を出してもらいます。
これにより自分の声の大きさのイメージを持てるようにします。
◆②事前に予告する
例えば病院に行かなくてはならない場合。
「これから病院に行きます。どのくらいの声の大きさでお話しするのがいいと思う?」
「病院はお腹や頭が痛い人も待っているから、大きな声を聞くと疲れてしまうよね」
と、静かにしなくてはならない理由とどのくらいの声の大きさが適切かを予め話しておきます。
ここでも①で使った声の大きさの目安の数字を使います。
これにより、子どもに心の準備をしてもらいます。
◆③声が大きくなったら数字で伝える
大きな声で話し出してしまったら、「ここは1の声で話すところじゃなかった?」と伝え子どもに気付かせてあげます。
◆④褒めて終わる
「ずっと1の声で話せていたね!」
「途中お母さんが言ったらすぐに1の声に戻せたね!」
と、できたところを褒めるようにします。
できたことに気付かせそれを記憶に残してもらうことが、何より大切なポイントです。
息子は7歳頃には大きな声が気になることはほとんどなくなりました。
これまでの経験を通して大いに成長し、場の状況判断ができる力がついてきたことも感じられます。
たとえその場にそぐわない大きな声を出してしまったときでも、自分で「あっ!」と気付き人差し指でシーのポーズを取って声のボリューム調整ができるようになりました。
4歳になった娘には今でも数字や動物で声の大きさを表現して、効果があるなと感じます。
親子で楽しくゲーム感覚で会話をしながら、子どもにとって分かりやすい目安で声のボリューム調節ができるようになりますよ!
発達凸凹のある幼児の困り事やお悩み解決の糸口が見つかります!
執筆者:菅美結
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)