発達障害・グレーソーンの子どものネガティブな発言には、「そんなこと言わない」と、注意してしまいがちです。お母さんが子どもの本心を意識すると、子どもへの対応が変わります。嫌なことも楽しいことに変身し、子どもがぐんぐん成長します。 |
【目次】
1.発達障害・グレーゾーンの子どもの発言への対応~子どものネガティブな発言をお母さんが受け止めて!~
2.発達障害・グレーゾーンの子どものネガティブ発言~3つの理由~
◆理由1「自動化されたスイッチ」だから
◆理由2「心を発散して行動する準備」だから
◆理由3 「本心」だから
3.発達障害・グレーゾーンの子と意思疎通するコツ!本心を意識するだけで子どもと笑顔の会話ができます!
1.発達障害・グレーゾーンの子どもの発言への対応~子どものネガティブな発言をお母さんが受け止めて!~
2学期も始まって、学校嫌いな子どもたちは
「学校行きたくない〜」
とぼやいたり、お母さんに訴えてきたりする時期ですね。始まって数日は頑張っていたけれど、久しぶりの学校に、子どもにも心の疲れが出やすいのです。
あるいは、久しぶりに会った友達とやっぱりソリが合わなくて、「○○くん、嫌い!」とか。他にも、「○○先生、嫌い!」とか、「○○の活動、いやだ〜!」とか。
そんなお子さんの発言を聞いた時、あなたは、何と言って切り返しますか?
子どものネガティブな発言にどう対応するか?結構悩みますよね。
「そうだよね」って同意してしまったら、学校に行かなくなるのではないか?
「○○くん嫌い!」に対して同意しちゃったら、悪口を言っているみたいになるし…。
どうコミュニケーションをとればいいのか、迷ってしまう場面です。
そして、ほとんどのお母さんが「そんなこと言わない方がいいよ」というニュアンスの声かけをしているのではないでしょうか?
「そんなこと言ったら、逆に○○くんに嫌われちゃうよ」とか
「そんなこと言ったら、余計に学校が嫌いになっちゃうよ」など。
日本には、言霊信仰があるので、ネガティブなことは言わない方がいい、ネガティブなことを言うと、自分の身に返ってきてしまうという考え方が(知らず知らずのうちに)まだ根強く残っているのです。
私は、言霊信仰を否定はしません。昔の知恵や慣習には、真実を言い得ていることもたくさんあります。
しかし、発達の観点から考えると、子どものネガティブ発言は、許容してあげてほしい!!
なぜ、ネガティブ発言を許容するのかと言うと、子どものネガティブ発言の「理由」を考えたら分かります。
2.発達障害・グレーゾーンの子どものネガティブ発言~3つの理由~
◆理由1「自動化されたスイッチ」だから
ネガティブ発言の理由が自動化されている場合があります。つまり、もはや口グセ。
「学校嫌い!」とか言いながら、ケロッと学校での楽しい出来事を話したり、「○○くん嫌い!」とか言いながら、その子と日々遊んでいたり。
矛盾しとるやないか〜い!とツッコミたくなりますよね。
そんなネガティブ発言の場合には、ほぼルーティン化された言葉だと思ってOKです。
つまり、たいして意味はないのです!ということは、イチイチ取り合わなくていい!のです。聞き流しておいてください。
子どもの「スイッチ」なのです。毎日同じようなことを言って、「おっしゃ、学校行くか!」みたいなスイッチなのです。
こういう場合には、「今日も言ってるな」でOK!目くじら立てずに、楽しい話題に切り替えるなどして上手にスルーしてあげてください。
◆理由2「心を発散して行動する準備」だから
本人が「嫌い」と言っていることを確かに好きではない場合もあります。
しかし、実際に学校を休んだり、友達と絶交したり、そういうことを望んでいるワケでもない。好きではない。心から楽しいワケでもない。
そうかと言って、ダメなのは分かっているから、学校にも行っているし、友達とも機会があれば遊ぶ。
つまり、子どもなりに「心に折り合いをつけて頑張っている状態」なのです!そういう時には、本心をボヤきたくなります。弱音を吐きたくもなります。
それを、「言っちゃダメ!!」と注意してしまうと、子どもとしては、
「じゃあど〜すりゃいいんだよ〜!」
「言うだけでもダメなのかよ〜!」
となってしまいます。
例えるとすれば、私たちがバンジージャンプをしようとしている時に、「きゃ〜怖い〜!!」と言いますよね?言いますけれど、飛ぶと決めたら、飛びますよね?
PTAの会合に行きたくない時、「行きたくないな〜」とボヤきますよね?だけど、行きますよね?
それと同じなのです。お子さんにとっては、学校に行ったり、特定の友達と遊ぶことは、気合いが必要だったり、ストレスのかかることかもしれません。
だから、心の発散が必要なのです。
「怖い〜!」と言わせずにバンジージャンプを飛ばせようとしていませんか?
こういう場合には、言わせるだけ言わせれば、行動しますから大丈夫。心の整理を手伝ってあげるつもりで、「そうだよね」って聞いてあげてくださいね。
◆理由3「本心」だから
ネガティブな発言が「子どもの本心」の場合は、お分かりの通り、言わせなきゃダメです!
心に抱えたまま誰にも言わないなんて、メンタルに悪影響が出てしまいます。
本心かも!と思ったら、「どうしたい?」「どんな気持ち?」と、もっと深く聞いてあげてください。
本人の口を塞ぐようなことがあってはいけません。こんなときは、ホームカウンセリングの必要があるときですね。
日々の子どもの口グセや発言には、1つ1つ意味があります。思い込みで良い・悪いと決めずに話を聞いてあげる余裕を大人が持ちたいですね。
3.発達障害・グレーゾーンの子と意思疎通するコツ!本心を意識するだけで子どもと笑顔の会話ができます!
この話で気づいて頂きたいのは、私たち大人が子どもの言葉に振り回されていないか?ということです。
パステルの子ども、特に自閉タイプの子どもたちは「言葉を、字義通りに受け取る」とよく言われます。字義通り、とはつまり額面通りに、ということ。
言葉の裏を読まずに、言葉通りに受け取ってしまうとミスコミュニケーションの原因になります。
例えば、親子で言い合いをしているとき、「お父さんなんか嫌い!」と子どもが言ったとします。
「嫌いなんて言っちゃダメでしょ!」って、言ってしまいますよね。だけど、本当にお父さんが嫌いか?と言えば、別に嫌いではないのです。
本当は、そのときに思い通りにならないことが悔しくて、言葉にならない想いが短絡的な言葉になって出てきているだけ。
それに目くじら立てていたら穏やかな関係はいつまでたっても実現しません。
お子さんとやりとりして欲しいのは、言葉じゃなくて「本心」です!
字義通りのコミュニケーションをしているのは、子どもたちではなくて、むしろ、私たち大人側ではないのでしょうか?
子どもは、本心をぶつけてきてくれます。
良いとか、悪いとか、そのようなことは関係なく、気持ちを表現してくれます。お母さんとコミュニケーションしたいからです。
しかし大人は、良いとか悪いとか、正しいとか間違っているとか、間に合うとか間に合わないとか、しなきゃダメなものはダメとか、評価が先に立つコミュニケーションをしてしまいます。
これこそ、親子のコミュニケーションがぶつかり合ってしまう原因の1つです。
子どもは、気持ちを分かって欲しいだけなのです。
確かに「やりたくない」とは言いますが、「死んでも絶対やらないから!」などどは、言っていません。
やりたくない気持ちを分かってあげれば、子どもは案外、すっとやってくれるものです。
つまり、親子のコミュニケーションって、単なる言葉のやりとりではなくて、本心を表現し合って、お互いに分かり合うことがゴールなのです♪
だから、お母さんも本心を表現していいのです。怒っちゃダメとか、我慢しなくちゃダメとか、考えなくていいのです。
「宿題して欲しいな。だってね…」 って本心を伝えればいいのです。そうしたら、子どもだって、どうして宿題が嫌か、落ち着いて教えてくれます。
そして、お母さんと子どもの二人で、作戦会議したらいいじゃないですか!楽しいですよ〜作戦会議!!
私は、真っ白な紙を用意して「作戦会議はじめま〜す!」と言って、そこに作戦を書いていきます。
子どもは既に目がキラキラです! こうなったら、もうこっちのモノ!
宿題がどれだけあるのか絵やメモで書いて、宿題一つずつに名前をつけたり、キャラをつけたりして、その宿題をいかにやっつけるか!?の作戦を二人で立てます!
この会話が超楽しいっ!!
「音読」の宿題って、朗読する年配者のイメージがあるので「朗読オバさん」。
算数の計算の宿題は、「そろばんジジー」。
不謹慎と思う方は、どうぞ上品な名前をつけてくださいね!
まあ、こんな風に、嫌で嫌で仕方のない宿題も、キャラを作れば、楽しくなります。そして、そろばんジジーを倒す必殺技を、二人で考えるワケです。
「そろばんを逆さまに使われると怒る」みたいな意味不明な設定が生まれることも。
「じゃあ、計算プリントをいつもは上からだから、下の問題からやってみよう!」みたいな必殺技を作って、あとは、実際にそろばんジジーを倒すだけ!
そろばんジジーを倒している途中はこまめに声をかけて、「お!そろばんジジーのパワーが半分になって弱ってる!その調子だね!」。
こんな風に作戦会議に時間を取るのは、毎日はできませんが、翌日から、「算数の宿題」という嫌な言葉が、「そろばんジジー」という楽しいワードに置き換わって、宿題への嫌悪感を忘れさせてくれるのです。
こんな風に、本心のやりとりを大事にすると子どもとの新しい世界が広がって、今まで行き詰まっていたことも、スル〜っと進んだりします!
子どもの言葉を額面通りに受け取らず、本心を伝え合うことを意識してみてください。そうすると、子どもは、ぐんぐん発達していきますよ。
執筆者:吉野加容子
(発達科学コミュニケーショントレーナー、学術博士、臨床発達心理士)
(発達科学コミュニケーショントレーナー、学術博士、臨床発達心理士)