発達障害の子どもはちょっとしたことでも不安を感じやすい傾向があります。 お子さんが「こうなったらどうしよう」と先のことばかり心配して、行動を移せない時に効く一言があります。ぜひお子さんの背中を押す一言に使ってみてください。
【目次】
1.発達障害で不安が強い子は挑戦が苦手
2.不安が強い娘の「こうなったらどうしよう」発言
3.失敗経験の多い子どもの脳はネガティブ
4.勇気づけの言葉は名前を呼ぶことから始まる
1.発達障害で不安が強い子は挑戦が苦手
お子さんが不安が強いタイプで、何か行動を起こすときに「こうなったらどうしよう」「こんなこと言われるかもしれない」と、起きてもいないことを口にして不安がることはありませんか?
「やってみようかな」「やってみたい」という気持ちはあるのに、不安が強くて行動に移せない。
親としてはもどかしくなりますよね。
せっかく挑戦する気になったのに、この機会を逃したら、次はいつその気になるのかわからないと思うと、つい「大丈夫だよ。やってみようよ」と急かしたりしがちです。
こんな時に「できるかも!」と自信がつく一言で背中を押せたら良いですよね。
2.不安が強い娘の「こうなったらどうしよう」発言
私の子どもは自閉症傾向のある小5の娘。
お友達関係がうまくいかないことが続き、小5の2学期から不登校になりました。
不登校になった初期は笑顔が消え無表情。朝は起きられなくなる起立性調節障害になりました。
ストレスがたまった娘を徹底的に休ませようと、学校の話題は一切出さず、ゲームやYouTubeはやりたいだけやらせる、あれしなさいこれしなさいと要求することはゼロにしました。
その結果、娘は1ヶ月で笑顔を取り戻し、3ヶ月後には短時間でも学校に足が向くようになりました。
ただ、何か行動を起こす前はとても不安が強いのです。
起こってもいない先のことを想像しては心配をしています。
「学校に行っても門が開いていなかったら入っちゃいけないよね」
「他のクラスの先生に見つかったら変に思われるかな」
「来たらダメだって言われたら帰った方がいいよね」などです。
わたしは、
「ちゃんと事情を説明すれば大丈夫だよ」
「どうなるか心配だよね」
「嫌だなと思うことがあったら帰っておいで」
と共感や対応策の提案をしていました。
ただ、私のこの声掛けでは、子どもの不安はおさまりませんでした。
3.失敗経験の多い子どもの脳はネガティブ
発達障害グレーゾーンの子どもは、学校での集団行動で周りと同じように出来ないことで叱られたり、人とうまくコミュニケーションが取れないといった経験をしていることがあります。
そのため、「自分はできない」と自信が持てないことで、行動を起こすときには不安や心配が大きいのです。
脳はその原始的な仕組みからネガティブな記憶を優先して記憶するため、何か行動を起こそうとしても、過去の嫌な記憶ばかりがよみがえってきます。
特に自閉症傾向のある子どもは、記憶力がよいという特性を持つ子もいるため、よりそのネガティブ記憶が鮮明です。
こんな時はネガティブな思考を否定せず、不安な気持ちに共感することが大事。
「心配なんだよね」
「不安になるよね」
「大丈夫だよ」
ではあと一言、共感力を増し、子どもに自信を授けられる一言とは?
4.勇気づけの言葉は名前を呼ぶことから始まる
あと一言付け加えてほしいのは、まず最初に子どもの名前を呼ぶことです。
「〇〇ちゃんは、心配なんだよね」
「〇〇くん、不安になるよね」
「〇〇ちゃんなら、大丈夫だよ」
です。
「心配だよね」「不安だよね」「大丈夫だよ」では、子どもの脳に自分ごととしてインプットされません。
まずは「〇〇ちゃんは」とあなたがそうなんだよね、と自分ごとになるように伝えること。
一般的に大丈夫なのではなく、他の誰でもなく、「あなたは心配なんだよね」と共感、「あなたなら大丈夫」と背中を押すことが大切です。
名前を呼んでから伝えることで、「そう、僕は心配なんだよ」とより共感の気持ちが子どもに届きます。
「そうだよね、わたしなら大丈夫かも」と認められた気持ちになります。
この世にひとりしかいないあなたの子どもに授けた大切な名前。
ぜひ、これを機会にもっとお子さんの名前を読んであげてくださいね。
思春期の子どもの対応に迷ったらコミュニケーションの取り方は変えた方がいいのです
執筆者:北川明希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)