進級前は子育てモードを切り替えよ!ADHD・ASDの不安が強い小学生への対応法

 

環境の変化に弱いADHD・ASD特性のあるお子さんが、進級・進学にストレスを感じていませんか。わが家では、不安が強い息子の緊張が高まってきたら子育てを「安心モード」対応に切り替えます。おうちで心身が安定する関わり方をご紹介します。
 

【目次】

1.ストレスとプレッシャーに弱いADHD・ASD傾向のわが子
2.不安が強い時の原因と早めの対策がおすすめな理由
◆見通しが立たない
◆ネガティブな記憶をためやすい
◆お母さんが不安になる
3.進級前は守りの安心モード対応で不調を徹底予防
①当たり前を褒める
①できていないことはスルー
③親子の対話を増やす

 
 

1.ストレスとプレッシャーに弱いADHD・ASD傾向のわが子

 
 
3学期も半ば。家や学校で進級・進学の話題が飛び交う時期になりましたね。
 
 
「4月からは〇年生」という先生の言葉に、不安が強いお子さんはプレッシャーを感じているのではないでしょうか。
 
 
私の息子は注意欠陥多動性障害(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)の特性があります。
 
 
ふだんは明るくお喋りで落ち着きのない行動が目立ちますが、実は不安の強さを併せ持っています。
 
 
プレッシャーや環境の変化に弱い息子は、不安や緊張が高まると、
 
 
・テンションが上がってお喋りが止まらなくなる
 
 
・ドアの開け閉めを忘れるほど不注意が全開になる
 
 
・やたらと色々なモノをさわりたがる
 
 
という具合に、行動が変化します。
 
 
子どもの特性を理解しきれなかった頃の私は、「どうしてこんなこともできなくなったの!」と叱る・お説教するという、しつけを強めた対応をしていました。
 
 
 
 
それで改善することはなく、1年生の時には息子に行き渋りの失敗体験を積ませてしまった苦い過去があります。
 
 
当時の反省を踏まえて、今では「ちょっとストレスが高まっているな」と感じたら早めに対応する習慣ができました。
 
 
おかげで進級も驚くほどスムーズでしたので、その関わり方をお伝えしたいと思います。
 
 
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2.不安が強い時の原因と早めの対策がおすすめな理由

 
 
進級というイベントは、環境、先生、学習、友達関係と変化の要素がたくさんありますよね。
 
 
発達特性のある子どもが進級に特に不安を感じる原因は、脳の特性からきています。
 
 

◆見通しが立たない

 
 
ASDの特性がある場合、イメージする見通しを立てる力が弱いため、進級するとはどんなことなのか理解しづらいことがあります。
 
 
新しいクラスのルーティンや環境が分からないことは、大人が想像するよりも大きな不安とストレスになります。
 
 
予測不可能なことに対応しづらいため、うまくクラスになじめないことがあります。
 
 
音や光などの刺激を強く受け取る感覚過敏を持っていると、変化に対してさらに緊張が高まります。
 
 

◆ネガティブな記憶をためやすい

 
 
ADHDやASDの発達特性がある子どもは、嫌なことをよく覚えています。
 
 
これは自己防衛のために備わっている脳機能ですが、ネガティブな経験が長く記憶されると自信を失う原因になってしまいます。
 
 
友達とのやりとりが難しい、指示が聞けない、忘れ物で叱責を受けやすいといった日頃のうまくいかなかった体験が、新しい学年や環境への不安を大きくします。
 
 
自信を失うと、失敗への不安が強くなります。
 
 
新しいチャレンジはもちろん、できていたことすら行動に移せないことも起こります。
 
 
 
 
 

◆お母さんが不安になる

 
 
不安になっている子どもを見ると、親自身も不安を感じて子どもへの対応が強まることがあります。
 
 
人がイライラや怒りを覚える瞬間は「〇〇するべきという価値観が揺らいだ時、思い通りにならない時」です。
 
 
子どもの特性を理解できないと「こんなのじゃ〇年生になれない」と焦ったり、怒りたくないのに子どもに怒ってしまうという悪循環に陥ってしまいやすいです。
 
 
特性が原因の困りごとは、叱っても改善されません。
 
 
自信を失った子どもは「自分はダメなんだ」という自己否定や、行き渋りなど更なる困りごとに発展する可能性があります。
 
 
文部科学省の実際調査によると、小学生が不登校になった原因のうち本人に関わる状況では「無気力・不安」、家庭に係る状況では「親子の関わり方」の数値が高いことが分かります。
 
 
 
親子で不安が膨らむ前に、正しい対応で予防できるといいですね。
 
 
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3.進級は守りの安心モード対応で不調を徹底予防

 
 
現在わが家では、子どものストレスレベルが高くなってきたと感じたら、子育てを「安心モード」に切り替える対応をしています。
 
 
「安心モード」とは、肯定的な注目を増やして否定的な注目を極力減らし、不安を和らげる対応のことです。
 
 

◆①当たり前を褒める

 
 
不安が強いとちょっとしたことで自信をなくしてしまいます。
 
 
当たり前のことを見たままに褒めて、自信をどんどん補給します。
 
 
・起きてきたね。
 
・ご飯食べてるね〜。
 
・連絡帳、出してくれてありがとう!
 
 
こんな感じで、言葉にするだけの「実況中継」を展開します。言葉にしなくても、
 
 
・グッジョブサイン、ハイタッチ
 
・(じ〜っと顔を見つめて)ニコニコする
 
 
これだけで「あなたを気にかけてるよ!」と子どもを肯定できますよ
 
 

◆②できていないことはスルー

 
 
人間の脳には「肯定は目減りして伝わり、否定は増幅して伝わる」という法則があります。
 
 
いつもより不安が高まっている時期には、できて当たり前のことを褒めて、できてないことの指摘はしないようにします。
 
 
・(宿題は?と言わず)ゲーム楽しそうじゃん♪
 
・(もっと早く入って欲しかったけど触れずに)お風呂に入るんだね!
 
 
叱るべきかどうかに迷った時の判断基準と対応は、こちらの記事が参考になります。
 
 
 
 
この2つを心がけるだけでも、子どもの不安定な言動の数割が減る実感があります。

 
 

◆③親子の対話を増やす

 
 
進級という漠然とした不安に対して息子が具体的な相談をしてくることはありませんでしたが、些細なことでも話しやすいように親子で過ごす時間を作りました。
 
 
週末に子どもが好きなゲームや磯遊びを一緒に行いました。
 
 
平日、短い時間でできて効果を発揮したのが読み聞かせです。
 
 
自力読みができる子でも、読み聞かせをしてあげると意外なほど喜んでくれるものです。
 
 
 
 
読み聞かせは、脳の感情エリアを刺激して情緒を安定させる効果があります。
 
 
本の感想を言い合うなど親子でリラックスした時間を共有することで親子の絆も深まり、自然と会話が弾みます。
 
 
このように安心モード対応でベースを整えておくと、息子のふとした時の本音をキャッチしやすくなりました。
 
 
「あ〜、3年生になったら勉強難しくなるかなぁ。もっとやること増えるのかな。」
 
 
子どもの不安が顔を覗かせた時、アドバイスは不要です。
 
 
「そうかぁ。勉強が難しくなるかもって思うんだね。心配なんだね。」
 
 
大人の解釈は抜きにして子どもの話に耳を傾け、気持ちを理解し、共感してあげましょう。
 
 
 
 
家庭が安心・安全基地になれば、不安やストレスがあっても、しっかり充電して外に出ていけます。
 
困った時には、相談してくれるようになります。
 
 
進級・進学に限らず、いつもよりストレスフルな状況が続いたら、「守りの安心モード対応」で、お子さんの不安をおうちでやわらげてくださいね。

 
 
 
 
 
 
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執筆者:山中寧子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
 
 
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