外出嫌いな子どもはひきこもりがちで少しでも外に出て欲しい…と思い悩んでいませんか?発達障害の子どもは安心できるお家から出たがらないこともしばしば。どうしたら外出できるようになるのか、子どもの心理を交えてお伝えしていきます。
【目次】
1.楽しそうに誘っても外出できなかった過去
外出嫌いな子どもはお家にひきこもりがちになりますよね。お家でゲームばかりする姿を見て、ちょっとでも外に出て欲しい…と思い悩んでいませんか?
わが家の息子は発達障害・自閉症スペクトラムの診断があります。
不登校が長く続いているため、外出の機会が減ってさらにひきこもりがちです。
近場のお出かけでも普段からお留守番を選ぶことが多く、外出の機会を作ることに苦労していました。
外に出て成功体験を積むとできることが増えていきますよ、と言われても外出嫌いな子どもをどうやって誘えばいいのかわからなかったのです。
そんな中、コロナもあけたのでそろそろ家族旅行に行きたい!という話が持ち上がりました。
ガイドブックを見ながらワクワクした気持ちで計画をしてみたことがあります。
けれど、全くうまくいきませんでした。
息子にガイドブックを渡しても、パラパラっとめくっただけで 「行きたいとこは別になかった!」
動画を見せて、「ここ良さそうじゃない?」と聞いても「いや、特に。」
そんな反応なので、「行きたくないなら仕方がないか…。」と、わたしもいつしか旅行に行くことは諦めてしまいました。
ところで、旅行に限らずおでかけに行くときに、どんなふうに子どもを誘っていますか?
「お母さんはここに行ってみたいな」
「楽しそうだし行ってみない?」
「美味しそうなものもあるね」
こんな誘い方では、発達障害の中でも自閉症スペクトラムタイプの子どもは全然興味を示してくれず、苦労されているお母さんも多いのではないでしょうか。
そんな外出嫌いな子どもの心に刺さる誘い方を、先日ついに発見したのです!
まずは、なぜ外出が嫌いなのか発達障害の子どもの脳の特性と心理をお伝えしますね。
2.外出に興味を示さないのは◯◯を感じるから!
◆興味の幅が狭い
発達障害の中でも自閉症スペストラムタイプの子どもは、見通しが立たないことがとても苦手です。
はじめての場所、何が起こるかわからない状況はとても不安になるのです。
ですので、例えばはじめての場所におでかけに行きたいと思ったら、本や動画を見せて事前に様子を伝えましょうと言われています。
スケジュールを紙に書いて視覚的に予定を伝えると安心して動き出せることもあります。
けれど、そもそも興味の幅が狭いという脳の特性を合わせ持っているので、ガイドブックを見せても、動画を見せてもそれだけではあまり心惹かれないのです。
本や動画の情報と実体験がまだ結びついていないので、行ってみたいと思えるほどに興味をそそることができません。
興味の幅が狭い子どもに「それ、楽しそう!」「行ってみてもいいかな」と思わせるにはどうしたら良いのでしょうか。
◆お母さんの感情を圧力のように捉えてしまう
また、自閉症スペクトラムの子どもは、「行ってみようよ!やってみようよ!」というお母さんの楽しそうな様子から、期待感を感じとります。
この楽しそうな期待感を子どもは圧力のように捉えてしまうことがあるんだと気が付きました。
定型発達の子どもは、ママが楽しそうに誘えばワクワクが伝染し、やってみたい!おもしろそう!と感じることが多いでしょう。
けれど、不安の強い自閉症スペクトラムの子どもは、誘われても「行っても楽しくないかもしれない」というネガティブな感情が優位になります。
ワクワクが伝染するのではなく、楽しくなかったらどうしよう…という不安な気持ちがどうしても先に出て来てしまうのです。
これは脳の特性なので、ワガママなどではありません。心配や不安な気持ちになると、大人でも尻込みしてしまいますよね。
そして、心の中がモヤモヤとしていても子ども自身はなかなかそれを言語化できません。
自分の気持ちを捉えて言葉にするのが苦手なのも、自閉症スペクトラムの特性のひとつです。
ですので、ひとこと「いや」「特に興味ない」という素っ気ない言葉になってしまうのです。
いくら誘っても、応じてくれない子どもの心理はこんな状態だったのですね。
3.外出嫌いな子どもに刺さる伝え方!
そんな息子ですが、発達科学コミュニケーションを学び、いつも肯定的に接するうちに、少しずつ外出の機会を持てるようになっていきました。
もちろん、今も安心する自分のお家が大好きです。お家の中でも自分のテリトリーを守って生活しています。
けれど、一度は誘ってみて行くか行かないか子どもが選択する場面では、行く方を多く選べるようになってきました。
子どもが行きたいと思うような、目的を決めた場所なら、一緒に外出することができるようになっていきました。
そんな中でも、旅行となると親子ともにハードルが高いですよね。
ある時、たまたまガイドブックを見ながら私の昔話をしました。
「お母さんが若いとき、ここに行ってすごく楽しかったよ、美味しいものもたくさん食べたんだよ」
そのときの臨場感や、お店のレトロな雰囲気などが懐かしくなり、つい息子に語ったことがありました。
そうすると、ガイドブックを渡して「行きたい場所ない?」と声をかけたときには全然興味を示さなかった場所なのに「そこに行ってみたい!」と言ったのです。
引きこもりがちな子どもからの「行きたい!」と言う言葉に嬉しくなり、すぐに無理のないスケジュールで旅行に行くことにしました。
無理のないスケジュールとは
・行き先を決めるときは子どもと楽しく相談する
・子どもが好きなメニューのお昼ご飯やおやつを調べておく
・予定を詰めこみすぎない
・お母さんかお父さんがだいたいの地理を把握していて、公共交通機関の乗り換えなどに迷わない
・子どもが歩き疲れることがないペースや距離を把握する
・暑さや寒さ対策を万全にする
・疲れて帰りたいと言ったときには長居せず帰るという選択肢も考えておく
疲れすぎないスケジュールと、味覚で五感を癒しパワーチャージしながら旅ができるような計画で、旅行を楽しい成功体験にすることが叶いました。
この一度だけではなく、その後も私の体験談と交えて昔話をした場所へは、行ってみたい!と言うことが多かったのです。
お母さんやお父さんが行ったことがある場所なら、子どもも安心感を感じますよね。
こうして、楽しかった体験談は自閉症スペクトラムの引きこもりがちな子どもの心に刺さるのだと気が付きました。
それからは、意識して楽しかった体験と絡めて誘っています。
一度行ってみて旅行は楽しい!お泊りするのも楽しい!という記憶ができれば、また旅行に行きたい!と行ける場所は増えていきます。
そうして、電車に乗ったり、美味しいものを食べたり、旅先でたくさんの経験が増えることで、「旅行は楽しい」と記憶に残ります。
そんなポジティブな記憶がたくさん増えていくことで、まだ行ったことのない場所にも行けるようになっていくのです。
また、子どもの脳は、楽しい体験を重ねることでどんどん発達していきます。
誘ってもうまく乗ってきてくれないお子さんには、お母さんの楽かったストーリーを語り、安心感を与える会話で誘ってみてください。
子どもからの行ってみたい!を引き出して、楽しいおでかけ体験を作りましょう。
わが家ももっと子どもの行動力が加速するよう、日々試行錯誤しながらチャレンジしていきます。
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執筆者:作倉 帆香
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)