「もう帰るよ!」と言っても帰れない…。発達障害の子が公園から帰らない背景には、気持ちを切り替えにくい脳の特性が関係しています。この記事では、公園や保育園で帰りたくないと泣く原因・NG対応・切り替え上手になる3ステップを紹介します。
【目次】
1.公園から帰らない発達障害の子に困っていませんか?
2.発達障害の子が公園から帰れない理由|気持ちの切り替えが苦手な特性
3.「帰りたくない!」と泣く子どもへのNG対応
4.切り替え上手になる3ステップ
◆ステップ1 出発前に見通しを立てて【予習】
◆ステップ2 笑顔で毅然とした態度を取る
◆ステップ3 帰る時間を【予告】して切り替えを助ける
1.公園から帰らない発達障害の子に困っていませんか?
・「帰りたくない!」と泣いて公園から帰れない
・保育園にお迎えに行って「帰るよ」と声をかけても遊び続ける
わが子と楽しい時間を過ごした反面、「どうやったらスムースに帰れるの?」と頭を抱えていませんか?
他の子はママの「帰るよ!」の一言で帰る支度を始めるのに、うちの子は一向に帰ろうとせず、せっかく楽しい時間を過ごしたのに、帰り際に癇癪を起こされるとママも疲れてしまいますよね。
けれども、発達障害グレーゾーンの子どもが公園から帰らないのは、楽しい時間から気持ちを切り替えるのが苦手という脳の特性が関係しています。
保育園から帰りたがらないケースも多くありますが、どちらの場面でも同じように脳の特性に合った関わりをすることで、驚くほどスムースに帰れるようになります!

わが家の息子も同じで、
・公園に行くと「帰りたくない!」と泣き叫ぶ
・登園しぶりもあり、「早く迎えに行ってあげたい」と思ってお迎えに行ったのに「まだ帰りたくない!」と遊びをやめられない
という切り替えの苦手さがありました。
毎日「今日はどうやったら帰ってくれるかな?」と頭をフル回転させ、何時間も付き合ったり、怒鳴りつけたり、泣き叫ぶ息子を抱きかかえて帰る日々に胸が痛くなっていました。
ですが、息子の特性に合った関わりを意識するようになってからは、「帰るろうね!」の一言で靴を履き始めたり、保育園でお迎えのママを見つけると笑顔で駆け寄ってきてくれるようになりました。
この記事では、公園や保育園から帰りたがらない子どもの対応に悩むママに向けて、切り替え上手になる3ステップを紹介します。
2.発達障害の子が公園から帰れない理由|気持ちの切り替えが苦手な特性
発達障害の子どもが公園や保育園から帰れないのは、脳の特性によるものです。
「わがままだから帰りたくない」のではありません。親がこの特性を理解するだけで、心に余裕を持って子どもに向き合えるようになります。
まずは、お子さんの行動をチェックしてみましょう。

◆かんたんチェック(3つ以上あてはまれば要フォロー)
- ひとつのことに夢中になると、時間を忘れて没頭しやすい
- ご飯やお風呂など次の行動に移るのに時間がかかる
- いつもと違うことがあると不安を感じやすい
- 急な予定変更が苦手
- 思い通りにならないと泣いたり怒ったり、感情が爆発しやすい
「うちの子も当てはまる…」と思ったママは、次のタイプチェックも参考にしてくださいね!
◆注意欠陥多動性障害(ADHDタイプ)の特徴
ADHDタイプの子どもはとにかく好奇心旺盛で、遊びや活動に夢中になると止まれなくなってしまいます。
・遊びやおもちゃに夢中で、声をかけても気づかないことがある
・「あと1回!」が止まらず、切り替えに時間がかかる
・注意があちこちに移りやすい
・思い通りにならないと泣いたり怒ったり、感情が爆発しやすい
日常の「お風呂に入る」「片付けて寝る」といった場面でも同じように切り替えが難しくなることがあります。
◆自閉症スペクトラム(ASDタイプ)の特徴
ASDタイプの子どもは、予定の切り替えやイレギュラーな出来事が苦手です。
・今していることをやめるのを嫌がる(遊びやおもちゃを片付けるのが苦手)
・自分のやり方やルールにこだわる
・いつも同じであることを好む
・イレギュラーなことがあるとパニックや癇癪を起こしやすい
・記憶力がよく、やり終えるまで帰れないと思い込む
こうした特性があると、「そろそろ帰る時間」と言われても時間感覚が希薄で、「あと10分」と言われても理解が難しいことがあります。
さらに、自分のマイルール(積み木をここまで積んだら終わり、今日はこの順番で遊ぶなど)を優先するため、親の指示通りに動けないこともあります。
環境要因も影響する
帰りたがらないのは脳の特性だけではありません。その日の体調や気分、園での出来事も大きく影響します。
「疲れている」「お腹が空いている」「園で嫌なことがあった」などが、子どもの機嫌に影響します。
保育園に通う年齢の子どもはまだ言葉の発達も未熟で、いろいろな思いを「帰りたくない」という言葉で表現することもあります。
このように、発達障害の子どもが公園や保育園から帰りたがらない理由は、脳の特性だけでなく、体調や気分、言葉の発達の未熟さも関係しています。
これを理解するだけで、ママも子どもも無理なく帰る準備に取り組めるようになります。
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3.「帰りたくない!」と泣く子どもへのNG対応
発達障害の子どもにとって、次のような対応は逆効果になりやすいので注意が必要です。
◆【NG対応①】怒る・脅す
「いい加減にしなさい!」「帰らないなら置いていくよ!」
つい口にしてしまいがちな言葉ですが、発達障害の子どもには逆効果です。
・ASDタイプ:脅しを文字通り受け取りやすく、不安や恐怖が強まる
・ADHDタイプ:強い言葉に反発心が強くなり、行動が止まらなくなる
・言葉が軽く扱われる学習をすると、大人の指示が効きにくくなる
結果として、怒る・脅す → 子どもが動かない → さらに強い言葉 → さらに動かないという負のループに陥りやすくなります。
怒ることは一時的に効果があるかもしれませんが、長い目でみると親子関係に悪影響を与える可能性があります。
◆【NG対応②】子どもの言いなりになる
「もうちょっとだけ」と言われるたびに時間を延ばすなど、子どもの言いなりになってしまうのも避けたい行動です。
なぜなら、「ワガママを言えば思い通りになる」と誤学習し、結果的に「なかなか帰れない」習慣が固定化してしまうからです。

◆【NG対応③】論理的に説得しすぎる
「ほら、もう眠たくなってるでしょ!」「他の子はもう帰ってるよ」と理屈で説得するのも、発達障害の子どもには逆効果です。
「まだ遊びたい!」「帰りたくない!」と興奮している状態のときは、脳が守りモードに入り、話が頭に入らないため、パニックや癇癪が悪化しやすいんです。
頑なに拒否しているときや子どもが泣き叫んでいるときに、理屈や説得はほとんど伝わらないと考えましょう。
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4.切り替え上手になる3ステップ
発達障害の子どもが公園や保育園からの「帰りたくない!」は、この3ステップで対応するとスムーズに解決できます。
◆ステップ1 出発前に見通しを立てて【予習】
公園や保育園で「やり残したこと」を直前に思い出してしまい、「帰りたくない!」と粘る子は多いです。
帰り際に「今日はこれをやりたかったのに…」と思い出して、「帰りたくない!」と泣いて粘ることもあります。
そこで効果的なのが、外出前や登園前にやりたいことを予習して、1日の流れの見通しを立てておくこと。
たとえば
・「今日はこれで遊びたいって言ってたよね!できるといいね!」
・「○○でたっぷり遊んでから帰ろうね!」
そして、帰り際に「今日○○できた?」と確認し、「うん、できた!」と満足感を持たせると、気持ちよく切り替えやすくなります。
◆ステップ2 笑顔で毅然とした態度を取る
子どもが「まだ帰りたくない!」と泣き叫んだり、一向に帰らない姿を見ると、親はイライラしたり、「今日はどうしよう?」と迷いがちです。
ここでは、笑顔で毅然とした態度を心がけましょう。
・「はい、もう帰る時間だよ」と当たり前のように伝える
・感情的にならず、落ち着いた笑顔で接する
ママの落ち着きは子どもに伝わります。「笑顔のママに話したい!近づきたい!」と自然に思わせることで、子どもも切り替えやすくなります。
◆ステップ3 帰る時間を【予告】して切り替えを助ける
①②をしても切り替えが難しい場合は、帰る前に選択肢を与えて「終わりの見通し」を持たせると効果的です。
たとえば
・「長い針が6になったら帰ろうね!」
・「すべり台とブランコ、どっちを最後にする?」
・「塗り絵をここまで終わったら帰ろうね!」
ポイントは、理屈で説得するのではなく、子どもが自分で切り上げタイミングを選べるようにすることです。
遊びたい気持ちを尊重しつつ、心の準備をさせることで、自然に「帰る」行動へつながります。

今日からできる“切り替えの練習”3ステップ
1.出発前に見通しを立てて【予習】
2.笑顔で毅然とした態度を取る
3.帰る時間を【予告】して切り替えを助ける
公園や保育園から帰りたがらない子どもへの対応は、この3ステップを意識するだけで、「あ、もう帰る時間だ!」と前向きな気持ちでスッと切り替えられるようになります。
お母さんが笑顔でいられると、お子さんも安心して変わっていきます。ぜひ試してみてくださいね!
切り替えが苦手な子に今日から使える声かけのコツを、動動画でご紹介!
発達障害の子どもが帰りたがらないときのよくある質問(FAQ)
Q1:毎日「帰りたくない!」と言われて困っています。どのステップから始めるのが一番効果的ですか?
A1:まずはステップ2「笑顔で毅然とした態度を取る」から始めるのがおすすめです。
親が迷いなく行動すると、子どもは安心しやすくなります。そのうえで、ステップ1・3を組み合わせるとスムーズに帰れるようになります。
Q2:「あと1回だけ!」と言われたときはどう対応すればいいですか?
A2:その場で延ばすと「言えば増える」と誤学習してしまいます。
最初から「あと1回ね」と予告してから遊ぶのが効果的です。遊び終える前に「これが最後だよ」と視覚的に伝えると、切り替えがスムーズになります。
Q3:怒らずに対応したいのに、毎回イライラしてしまいます。どうすれば余裕を持てますか?
A3:「帰れない」のは脳の特性であり、わがままではありません。
まずは親が特性を理解することで心の余裕が生まれます。
執筆者:中井春菜
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)
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