発達障害の子の学校トラブル対応法!叱らずに子どもが反省できるコツ

 

発達障害の子どもが学校で友達とトラブルを起こした時、気持ちを言えなかったり、捉え方が独特でうまく振り返れないことに困りませんか。特性のある子どもにお説教は不向きです。叱らなくても子どもが行動を振り返って反省する方法をお伝えします。
 

【目次】

1.学校で友達トラブルのあった子どもを頭ごなしに叱ってしまいました
2.発達障害ADHD・ASDの子どもがトラブルを振り返るのが苦手な理由
3.怒らなくても子どもが自分で反省できる方法
◆受け入れる姿勢を示す
◆絵で出来事を整理する
◆子どもに考えさせる

 
 

1.学校で友達トラブルのあった子どもを頭ごなしに叱ってしまいました

 
 
子どもが学校や園でトラブルを起こしたと聞いたら、ママは冷静ではいられませんよね。
 
 
親の目が届かないところのトラブルは特に動揺するのではないでしょうか。
 
 
私の息子は自閉症スペクトラム(ASD)と注意欠陥多動性症候群(ADHD)の傾向があります。
 
 
トラブルを振り返るのが苦手で、叱られることでさらにコミュニケーションが難しくなることがありました。
 
 
ある日、当時1年生の息子は体育館で友達とのトラブルがありました。
 
 
数人の上級生が壁に立てかけた体育マットで遊んでいたところ、マットが倒れ、一人の児童が転倒して片足がマットの下敷きになりました。
 
 
そこに来た息子がそのマットに乗って遊ぼうとしたため、喧嘩になりました。
 
 
幸い怪我などはありませんでしたが、先生から話を聞いて冷や汗をかきました。
 
 
 
 
この事件に直面した時、私は息子に頭ごなしに叱るのを止めて、出来事を絵にして一緒に振り返りました。
 
 
すると、息子は絵を通して状況や他人の気持ちをより理解しやすくなりました。
 
 
また、その場面でどうすればよかったかを考えることができました。
 
その方法は後で説明しますね!
 
 
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2.発達障害ADHD・ASDの子どもがトラブルを振り返るのが苦手な理由

 

 

発達特性のある子どもが出来事や気持ちを思い出し、振り返ることが苦手になりやすいのには理由があります。

 

 

◆状況の読み取りが苦手

 
 
ASDの子どもは相手の表情や視線から気持ちを読み取ったり、周りの状況を見て理解することが苦手です。
 
 
状況を理解できていないため、出来事の振り返りが難しい場合があります。
 
 

◆気持ちを言葉にするのが苦手

 
 
脳の感情エリアの発達が未熟な子どもは、自分の気持ちが分かりません。
 
 
「なぜそんなことしたの?」と聞かれても、「分からない」「なんとなく」と漠然とした表現になってしまいます。
 
 
他の人の気持ちを想像することも難しいため、自己中心的な解釈をして反省していないように見えるかもしれません。
 
 

◆情報整理が苦手

 
 
ASDやADHDの子どもは、一度にたくさんの情報を処理できず、口ごもってしまうことがあります。
 
 
次々に質問されると脳の処理が追いつかず、適切に答えることが難しいのです。
 
 
 
 

◆ネガティブな記憶が強い

 
 
発達障害の子どもは記憶の仕方が独特で、嫌なことを強く覚えています。
 
 
叱られ続けると、叱られた記憶が蓄積され、自信をなくしたり、二次的な障害が引き起こされる可能性があります。 
 
 
感情的に叱ることなく、行動を振り返りできるサポートをしてあげたいですね。
 
 
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3.叱らなくても子どもが自分で反省できる方法

 
 
このように子どもがトラブルを振り返り、自分でどうしたら良いかを考えられる方法があります。
 
 
ママが出来事を絵にして、一緒に振り返りしてあげるのです。 
 
 

◆受け入れる姿勢を示す

 
 
落ち着いた環境で、一対一で話を聞きます。
 
 
「今日は先生から〇〇って聞いたんだけど、一緒に話を整理してみようね。」と、隣に座ります。
 
 
子どもはすでに自分のしたことに不安を感じているはずです。怒るのではなくはなく、受け入れる姿勢を示すことで、子どもが話しやすくなります。
 
 

◆絵で出来事を整理する

 
 
「〇〇君が話してくれたら、お母さんが絵に描いていくから見ててね」と子どもに伝えます。
 
 
絵を通して、子どもは自分や他の人の気持ちを視覚的に理解しやすくなります。
 
 
紙とペン(黒・赤・青)を用意します。
 
 
棒人間と吹き出しを書くだけなので、絵のセンスは不要です!
 
 
「いつ・どこで・誰と・何が起きたか」を子どもにインタビューしながら、「人物」を描きます。
 
 
次に、「会話」、そして「気持ち」を追加していきます。
 
 
気持ちやセリフを表現するために、ポジティブな感情やセリフには赤色ネガティブな感情やセリフには青色を使います。
 
 
子どもが言葉にできない場合は選択肢を出したり、代弁してあげることで適切な答えを教えることができます。
 
 
例えば今回の事件の1コマでは、
 
 
・ぼくのセリフ:「マットだ!トランポリンしよう!」・気持ち:嬉しい・楽しい
 
・マットに片足を挟まれたA君のセリフ:「痛い!」・気持ち:怖い
 
・まわりの上級生のセリフ:「やめろ!」・気持ち:A君がケガしそうで怖い
 
 
このように視覚化することで、どんな状況だったのか、息子は上級生がどんな気持ちだったのか、しっかりイメージして理解できました。
 
 
 
 
息子は学校でも先生と話をしてA君に謝ってはいましたが、こうして状況と他の人の気持ちが目で見えることで、自分の不適切な言動を深く心に刻むことができたと傍で感じました。
 
 
もし子どもが不適切な言動をしても、いったんありのまま受け止めることで安心して話を続けてくれます。
 
 

◆子どもに考えさせる

 
 
そこで、「どの場面でどうすればよかったと思う?」と尋ねます。
 
 
子どもは、
 
 
「マットに乗る前にみんなが何してるか見る。マットの下にA君の足があるって気づいたらよかった。」
 
「喧嘩しないで、すぐに謝ればよかった。」
 
「とんでもないことしたって思う…。」
 
 
と言いました。相槌しながら、そのまま絵に描きます。
 
 
・(A君がマットの下にいたことを知る。)
 
・ぼくの気持ち:「悪いことした。とんでもないことした。」
 
・ぼくのセリフ:「ごめんなさい」と謝る。「痛かった?」と聞く。
 
A君とまわりの上級生の気持ち:「よかった」「ほっとする」
 
 
正しい行動をすれば、周りの人のネガティブな青色の気持ちが、ポジティブな赤色に変わるのだ、と視覚的に理解できました。
 
 
そこで、「それを聞いて、お母さんもほっとしたよ」とママと気持ちも赤で描き足します。
 
 
「マットの上に乗ったのはしてはいけないことだね。だけど、きちんと気づけて謝れたら、A君の気持ちも、みんなの気持ちも赤になったね。」
 
 
「話してくれて、ありがとう。」
 
 
「どうしたらいいか、落ち着いて自分で考えられたね。」
 
 
と、肯定しました。
 
 
行動を振り返って反省できたことを肯定すると、マットで遊ばない方がいいことなど、落ち着いていろいろなことを話し合うことができました。
 
 
もし場にそぐわない回答をしていたら、このタイミングで「そう考えたんだね。こんな考え方もあるかもしれないね。」と伝えるとよいと思います。
 
 
親は自分が見ていないところで友達トラブルが起きると、どうしても焦ってしまいますよね。
 

出来事を絵にして振り返ることで、感情的に叱ることなく子どもが正しい行動を理解する手助けができます。
 
 
ご参考になりましたら幸いです。
 
 
 
 
 
 

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執筆者:山中寧子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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