発達障害ADHD・ASDの子どもの話し方に悩んでいませんか?早口で一方的なお喋りに家事の手が止まってしまう、話が噛み合わない…。自分の話ばかりする早口なお子さんと、おうちで楽しくやりとりできるようになる対応法をご紹介します。
【目次】
1.早口でおしゃべりが止まらない子どもの対応でやるべきことが進まず困っていませんか?
2.発達障害ADHD・ASDの子どもの話し方が早口で一方的になる理由
3.自分の話ばかりする早口な子どもの会話が変わる3つの対応
①大人が早口な話し方をやめる
②話を聞くタイミングを約束する
③笑顔で遮らずに聞く
1.早口でおしゃべりが止まらない子どもの対応でやるべきことが進まず困っていませんか?
家事や育児に毎日忙しいお母さん、発達障害の子どもの早口で一方通行なお喋りに困っていませんか?
・家事をしているのにお構いなし、思いついたら喋りかけてくる
・急ぐ必要ないのに、早口で切れ目のないおしゃべりが止まらない
わが家の注意欠陥多動性症候群(ADHD)と自閉スペクトラム症(ASD)傾向のある息子は、1年生の頃までこんな話し方が目立っていました。
唐突に「思うんだけどさぁ…」と切り出してゲームの攻略法を一気に語り始めます。
「ご飯だよ」と話しかけても自分の話ばかりで会話がかみ合いません。
忙しい時に手を止めないとならず、子どもの弾丸トークを聞くのが苦痛になりそうでした。
ですが、私の対応を変えることで会話のキャッチボールを楽しめるようになりました。
その方法をお伝えしますね。
2.発達障害ADHD・ASDの子どもが早口で一方的な話し方をする理由
一方的で早口な会話が止まらないADHD・ASDの子どもは、なぜそのような話し方をするのでしょう?
◆興味のある話に集中し過ぎる
発達障害の子どもは興味があることに意識を持っていかれる過集中になりやすく、切り替えにくい傾向があります。
話をすることに夢中になり、止まらないのはこのためです。
興奮していると呼びかけられても返事できず、言いたいことだけ急いで伝えようとして矢継ぎ早な話し方になったり、自分勝手な印象を与えてしまいます。
◆思考の多動と衝動性
注意が移り変わりやすいADHDタイプは、話の最中に新たな考えが次々浮かぶ思考の多動性があります。
また、衝動性が強いと脳のブレーキ機能がうまく働かず、思いついたことをそのまま口に出してしまうことがあります。
これが相手の反応を待たずに一方的に話す要因となります。早口になったり話題がどんどん変わったりして相手を戸惑わせます。
◆相手の状況を察知できない
状況に構わず喋る子どもの脳は、見る・聞く機能が未熟なのに対して、話すエリアが発達しているアンバランスな状態です。
相手の表情やしぐさ、話している内容を見聞きしていないと、心地よい会話のやり取りはできませんよね。
状況や気持ちを読めないことが、早口や一方的な話し方につながっています。
人の脳の土台である、見る・聞く力が育てば、その場に合った会話ができて困り感が和らぎますよ。
3.自分の話ばかりする早口な子どもの会話が変わる3つの対応
では、早口で自分のことばかり喋る子どもと会話のやりとりを楽しめるようになるにはどうすればいいのでしょう?
おうちでできる対応が3つあります。
◆①大人が早口な話し方をやめる
今すぐできるのが、お母さん自身がゆっくり喋ることです。
私はある時、子どもにゆっくり話してほしいと思いながら、実は普段の私自身の話し方がせっかちで早口なことに気づいて愕然としました!
つい忙しなく「後でね!」と対応していました。
そこで、意識的に合間を取ってゆっくり喋ってみたのです。
すると、子どもの喋る早さやトーンも落ち着いて、明らかに話がしやすくなりました。
子どもは親の話し方を模倣する傾向があるので、まわりの大人がゆっくり話すことで喋るスピードをゆるめることができます。
また、注意散漫になりやすいADHD傾向の子は、ゆっくり話してもらうと集中して内容を理解し、適切な返事がしやすくなります。
ぜひ一度、大人の喋るペースを見直してみてくださいね。
◆②話を聞くタイミングを約束する
思いついたら滔々と喋り出す子には、タイミングを待てるようになって欲しいですよね。
そこで、子どもの手を取るなどして注意を引き、
「いま洗い物をしているから、終わったら聞くね」
と、今できない理由を言葉で説明し、いつなら話ができるかを約束しました。
うまくいかない時は、穏やかに約束を繰り返します。
タイマーを使って待ち時間を見える化したり、話したいことを書いてもらうのもいいと思います。
そして、手が空いたら、「待ってくれてありがとう!とっても助かったよ」と必ず褒めます。
肯定することで今の行動は正解だよと子どもの脳に伝わるからです。
息子は、褒められたからまたやろう!と待つことに慣れてくれました。
◆③笑顔で遮らずに聞く
相手のしていることを見たり聞いたりする脳は、
「お母さんは自分の話を興味を持って聞いてくれる!」
という安心感・親子の信頼関係を基盤に伸びていきます。
ですので、子どもの話を聞くときは、笑顔で「うんうん」「それで?」と相づちしてリアクションを見せてあげました。
イライラしそうな時も語尾にハートマークをつけるつもりで話すと、自然といい感じの笑顔になれますよ。
主語が抜けたり言い方が間違っても、「それは違うよ」なんて遮らないでくださいね。
「〇〇君と△△したんだね」と話を端的にまとめながら、何気なく正しい言い方を教えてあげれば伝わる話し方の練習になります。
こうやってしっかり聞いてあげるほど「お喋りに拍車がかかるんじゃない⁉」と心配になりますが、逆でした。
息子は声をかけると話を短く切り上げたり、「待って!これだけは話したい!」とや
聞いてもらえる安心感があると、子どもは相手のお願いを聞けるし、伝わる会話をしたいと思うようになります。
遠回りに見えますが、5分でいいので遮らずニコニコ話を聞くことが大事だと感じます。
3年生になった息子は、まくしたてるような会話が減って、友達と話し合いができるほど成長してきました。
早口で一方的な話し方が気になるADHD・ASDの子どもには、お母さんが
・早口な話し方をやめる
・話すタイミングを約束する
・笑顔で遮らずに聞く
この3つを試してみてくださいね。
自分の考えを言葉にできるのは、お喋りな子の強みですよね。
楽しいやり取りで、親子の会話がさらに豊かなものとなりますように。
おしゃべりが止まらない子どもの集団生活や子育てに今日から役立つ情報をお届けします。
執筆者:山中寧子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)