手先が不器用な発達障害・グレーゾーンの園児が園での工作の時間を嫌がることはありませんか?工作を嫌がるのは子どもからのSOSなんです。お母さんがほんのちょっと対応を変えるだけで、お子さんは工作が大好きになりますよ。
【目次】
1.制作活動に参加しないのは手先が不器用な子どもからのSOS
2.他の子はこんなに上手なの?
3.手先が不器用な発達障害の子が工作を苦手になる理由
4.工作を楽しむための3つのポイント
①まずは仕上げだけやってみる
②過去からの成長を伝える
③どんな作品もステキ
1.制作活動に参加しないのは手先が不器用な子どもからのSOS
幼稚園や保育園では、みんなで一斉に行う工作の時間があります。
お子さんは、工作の時間を楽しんでいますか?
工作の時間になると、思い通りにいかなくてイライラ怒ってしまったり、活動に参加しないで席を立ってフラフラしていたりする子もいらっしゃるのではないでしょうか。
ママは、工作の活動に参加しないことを先生から聞いて「何でちゃんとやらないの!」と子どもを怒ってしまうこともありますよね。
実はこの「やりたくない」「ふざけてしまう」という行動は手先が不器用な子どもからのSOSかもしれません。
2.うちの子、工作苦手なの?他の子はこんなに上手なの?
我が家には、年長になる発達障害・グレーゾーンの男の子がいます。
入園したばかりの5月に参観会があり、教室に飾ってある作品を見てとても落ち込んだことを今でも覚えています。
顔を書いた絵だったのですが、息子の絵はどれが目なのか鼻なのかまったく分からず、明らかに他の子との差を感じました。
先生からは、「工作が苦手のようで、思い通りにならないと拗ねて口をきかなくなります。」と言われたこともありました。
また、息子は工作の時間が苦手なようで、「作るのイヤだから行きたくいない!!」と登園しぶりをするようになってしまいました。
工作だけで登園できなくなったら困る、何とかしないと…と私はとても焦っていました。
せめて拗ねないようにしたい、他の子と同じくらいにはできるようにしたい…と、家で粘土やぬり絵、お絵かきなど一緒にやろうと毎日のように誘っていました。
でも、家でも工作を強要される毎日に飽き飽きしたのか、頑なに嫌がるようになり、「違う遊びがしたい」「作るの嫌い」とますます工作が嫌いになってしまいました。
3.手先が不器用な発達障害の子が工作を苦手になる理由
では、どうして、工作が苦手と感じるのでしょうか?
大きな問題は、手先の不器用さです。
工作には、切る・貼る・塗る・折るといった手指の細かい動きが必要不可欠です。
でも、発達障害・グレーゾーンのお子さんの場合、細かい手の動きがスムーズにいかず、思ったように動かせないお子さんが多くいます。
頭の中でイメージしたものが作れずイライラしたり、思うようにできずにやる気や自信をなくしてしまったり。そして、工作自体が嫌いになっていってしまうんです。
さらに、発達障害の・グレーゾーンのお子さんだと、
✓他のことが気になって集中力が続かず、作品が最後まで完成できない
✓ワーキングメモリーが弱く手順が覚えられない
✓感覚過敏があり、粘土などに触れない
など様々な要因があります。
でも、どんな原因があっても、作品の良し悪しではなく、工作の時間を楽しめるようになるといいですよね。
そのために私が息子にした3つの対応をご紹介します。
4.工作を楽しむための3つのポイント
子どもに「作ること」や「表現すること」を楽しんでもらうために、我が家で実践したことは3つです。
◆①まずは仕上げだけやってみる
はじめは、ハサミで切るだけ、目を描くだけと最後の仕上げだけをやってもらいます。
やっているときは、「そうそう」とか、「いいね」など肯定の声かけでモチベーションをアップさせ、完成できたときは、大げさに喜びました。
そうすることで「できた」の達成感や喜びを味わうことができます。
慣れてきたら、スモールステップで徐々に子どもにやってもらうことを増やしていきます。
この「できた」の積み重ねが自信につながります。
◆②過去からの成長を伝える
せっかくなら、「こんなの作れるようになったんだ!」と子どもの成長を感じる機会にしたいですよね。
そのときに、兄弟や他のお友達と比較してしまうことはNG、比較するのは過去の子どもからの成長です!!
ハサミの使い方上手になったね。
この前よりこの部分ができるようになったね。
のりをつけるの1人でできるようになったね。
など、前より少しでも良くなっている点や、できるようになったことをたくさん伝えるようにします。
子どもが工作をしているときは、過程を褒めることが大切です。
そうすることで、手先が不器用な子どもでも、「こんなことができるようになった」「前よりも上達している」とさらに自信がつき、どんどん工作が好きになっていくんです。
◆③どんな作品もステキ
作った作品は、「上手だね」のひと言ではなく「色使いがキレイ」や「この部分キレイに切れてるね」など、具体的に伝えるのがポイントです。
また、子どもが作った作品、描いた絵を部屋の目立つところに飾っておくことも効果的です。
発達障害・グレーゾーンのお子さまは、視覚優位な子が多いため、家の中に作品を飾ることで、「頑張って作ったね」などの肯定の注目を目からも伝えることができます。
また、私以外の家族からも褒めてもらえる機会を増やすことができます。
他にも、屋外で枝を使って地面に描いた絵や、石を積み上げて何かを作ったものなど持ち帰ることができないものは、写真を撮っていつでも見返すことができるようにしておきます。
どんな場所でも作ることを楽しむことで、工作がもっともっと好きになりますよ。
手先が不器用で工作が苦手だった息子は、年長になって、「分からなかったら僕に聞いていいよ」とお友達に教えてあげることが増えたと先生から言ってもらえました。
工作をすることで、手先の不器用さのトレーニングにもなるので、ぜひ、工作を好きになるところから始めてください。
執筆者:中井優
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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