発達障害で集団行動が苦手な子は、保育園の発表会等行事への参加が難しい場合があります。親としては本人がどうしても嫌がるならと、欠席を考えることもあるかもしれません。しかしせっかくの成長の機会、環境を整えて楽しく参加する方法を考えてみませんか?
【目次】
1.保育園での集団行動が苦手。発表会の練習が始まって不機嫌な息子
2.発達障害・グレーゾーンの子どもに発表会がしんどい理由
3.集団行動が苦手でも、欠席せず発表会に楽しく参加する3ステップ
①保育園と連携して参加方法を工夫する
②練習は園にお任せする
③子どもが喜ぶご褒美・楽しみを設定する
1.保育園での集団行動が苦手。発表会の練習が始まって不機嫌な息子
わが家の発達障害グレーゾーンの息子は当時5歳年中さんでした。
息子は保育園での集団行動が苦手です。
クラス全体で集まるような場で椅子に座ってお話を聞くことができなかったり、苦手な活動は「やらない。」と言って教室の端っこで見学したりするような状態でした。
そんな息子が迎える発表会。
本番4ヶ月前頃から子ども同士で内容の話し合いや練習が徐々に始まりましたが、息子は全くついていけていない様子。
それどころか、家に帰ってきてからも不機嫌な日が増えました。
発表会の準備により園での生活がいつもとが変わって集団でいる時間が増え、その分好きな遊びができる時間が減ったりしてストレスになっていたようです。
こんな状態でそもそも発表会に参加できるのかな…?
どうしても嫌なようであれば欠席させることを考えた方が良いのかもしれない。
私はとても不安で迷い続ける日々を過ごしました。
2. 発達障害・グレーゾーンの子に発表会がしんどい理由
発表会というと、特別な衣装を着たり、自分が頑張っている姿を家族に見てもらうんだ!と張り切って練習をしたり楽しみにしている子も多いですね。
ところが発達障害・グレーゾーンの子どもにとっては、楽しみなものではなく憂鬱なもの、高い高い壁のように感じてしまう場合があります。
なぜでしょうか。
それは特に自閉症傾向のある子には、社会性にまつわるつまずきの特性が出やすいことが関係します。
脳のある部分が未発達だったり、働きがうまくいかないことが原因です。
◆人と関わることや、情緒的なやりとりが苦手
そもそも人と一緒に何かをすることに苦手さを感じていることがあります。
お友だちとの会話や話し合いがスムーズにいかないことも多く見られます。
保育園の発表会はクラスや小グループごとで発表する形が多いかと思いますので、その中に入るだけで緊張状態になるのです。
◆ぎこちない動き方をする
不器用で、周りやリズム等に合わせた動きが苦手な場合があります。
みんなと同じように合わせて動きたいけれど、ぎこちなくなってしまいなかなか上手にできない…。
それが重なると、ストレスにもなり自信も失ってしまいます。
◆強いこだわりがあって、融通が利かない
例えば人から何か「これをしてね。」と提示されても、何か気に入らないポイントがあるとなかなか受け入れることができません。
自分の役や衣装、セリフ等色々なことを決めて動いていく中で「これは嫌!」「あっちがいい!」などと言い出しかねません。
◆空気が読めない
ものごとが予定通りに進まなかったとき等、周りの空気や状況に合わせて自分の言動を調整することが苦手です。
幼児の発表会ですので、練習でも本番でも誰かが急にお休みになる、セリフをとばしたり順番を間違えてしまう等思わぬハプニングはつきものですね。
そういうときでもパニックにならないよう、予め心の準備とケアが必要です。
このように、発達障害・グレーゾーンの子どもにとって、発表会は参加すること自体とてもハードルの高いことなのです。
練習に身が入らないのには、きちんと理由があったのです。
3. 集団行動が苦手でも、欠席せず発表会に楽しく参加する3ステップ
実際に私も迷いましたが、苦手だからとわが子だけ練習も参加せず発表会本番も欠席というのは寂しいですし、もったいないように思います。
せっかくの機会なので少しでも参加して、良い思い出にできたら…というのが親の願いだと思います。
きっと子ども自身も「やれたらいいな」という気持ちがあるのではないでしょうか。
もしかすると、環境を整えたり上手く子どもを導くことができれば実現できるかもしれません!
そのための心構えとヒントを私の体験からお伝えしていきます。
◆①保育園と連携して参加方法を工夫する
子どもの出番について、みんなと同じ形が難しいようであれば思い切ってひとり違う形で参加させるのも一つの手です。
出番のハードルを下げてあげるのです。
<登場方法>
わが家の場合は先生方と本人で相談の上、息子だけお友だちとではなく先生と2人で舞台に登場してひとりでセリフを言うというシーンを作っていただきました。
セリフがとんでしまったときのために、一緒に登場する先生の手にはカンペ(息子は当時から文字を読むのは得意でした)。
万が一セリフが全く言えないとなった場合は司会の先生が代わりにセリフを言ってくださるというところまで決めていました。
<衣装>
こちらも本番で着るのを嫌がったら息子だけ普段着でOKとなりました。
服の上に発表会の内容に関連する絵を貼り付けて(これは許容してくれました)、みんなと雰囲気だけ合わせるようにしました。
上記は保育園によってどの程度まで対応してくださるかというところがあるかもしれません。
わが家は普段から息子の様子について共有・相談しさせていただき先生方もとても細やかに配慮してくださるので、発表会についてもスムーズにすり合わせができました。
どんな形でも本人に「参加して楽しかった!」という経験にしてもらうことがいちばんの願いであるということだけ共有し、詳細は先生方が考えてくださいました。
こうして私も以前は持っていた「みんなと同じようにやって欲しい」という気持ちを手放すことができました。
◆②練習は園にお任せする
子どもが喜んでお家でも練習をしている場合は、もちろんたくさん褒めて見守ってあげるのが良いと思います。
しかしわが家のように本人が家で発表会の話をあまりしたがらない場合は、こちらからは触れないようにします。
息子は調子の良いときにセリフは教えてくれましたが、それ以上は「しらな~い」などと言って話をそらしていました。
発達科学コミュニケーションを学ぶ前の私であれば、なんとか内容を聞き出して、流れも含めて家で練習をしておいた方が安心だと考えたと思います。
ですが、家に帰ってまで発表会の話題を持ち出すことは息子のストレスを増やしてしまうだけと気づき、根掘り葉掘り聞くのをやめました。
家での練習はしない。セリフはしっかり覚えているのだから、後は保育園にお任せしようと決めました。
◆③子どもが喜ぶご褒美・楽しみを設定する
発表会の準備等保育園でたくさん頑張ってきているので、とにかく家では安心して過ごせるよう肯定の関わりを続けます。
多少夜更かしになっても、TVやYouTubeも気が済むまで観させて良いと思います。
そのことに加え、発表会本番のモチベーションを上げるべく特別なご褒美や楽しみを設定してみてはいかがでしょうか。
例えば、私は下記を息子と約束しました。
・発表会当日の夕食は息子の大好物にする
・翌日は息子の大好きなおでかけの予定を立てる
おでかけは息子に希望を聞くと「昆虫館!」ということだったので、行き先のホームページを見たりしてその日を楽しみに待ちました。
そして本番。結果は大成功でした‼
発表会は週末の夕方だったのですが、朝から気持ちが崩れることもなく会場に入り、舞台に出てくると 観覧席にいる私を探し出す余裕まで見せていました。
もちろん衣装は着ていないし、セリフを言っている途中で姿勢も崩れていき最後は一緒にいる先生にもたれかかるような形でしたが、セリフ自体は抑揚も上手につけてしっかり言い切り、笑顔で退場していきました。
どんな結果になってもできたところまでを最大限褒めるつもりで臨みましたが、想像以上に堂々とした姿に胸が熱くなりました。
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私の体験が、少しでも参考になれば幸いです。
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♡小冊子のご感想
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執筆者:諸住乃莉子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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