幼児期の子どもの癇癪。毎日何度も怒るわが子に疲れ果てていませんか?実は怒っているのには子どもなりの理由があり、しかりつけても状況は変わりません。本当は子どもと笑顔で過ごしたいお母さんへ、子どもが怒る理由と対応策を紹介します。
【目次】
1.小さな頃から毎日の癇癪…いつまで続くの?
2.発達障害・グレーゾーンの子どもに癇癪が多い理由
3.子どもの癇癪に対する親のNG対応
4.子どもが癇癪を起こしたときの正しい対応とアフターフォロー
①まず見て見ぬふり
②癇癪がおさまったら、落ち着けたことを褒める
1.小さな頃から毎日の癇癪…いつまで続くの?
わが家には、5歳年長さんの発達障害グレーゾーンの男の子がいます。
息子は赤ちゃんの頃はニコニコとして本当に可愛い子でしたが、2歳頃からこだわりや癇癪が日に日に増え私は育てにくさを感じるようになりました。
・部屋のカーテンの開け閉めや、TV、電気のつける消すを家族が勝手にすると怒る
・2歳下の弟が先に部屋に入ったり着替えたりするのが許せない
・保育園にお迎えに行くと、来て欲しいタイミングでなかったらしく目が合った瞬間殴りかかってくる
など、とにかく物事が自分のペース、思い通りに動かないと大きな声を出したり泣いて怒ったりしていました。
こちらからすると「なんでそんなことで怒るの?」と思ってしまうぐらい小さなことでも、都度引っかかってくるので、さっと済ませたいようなことも進みません。
毎日何度も怒るので、私も余裕がなくなってくると「うるさいな!!そんなことで怒らないで‼」と応戦してしまっていました。
その結果、息子は泣き始めて収集がつかなくなり、どんどん長引いてしまう…こんな負のスパイラルに陥っていました。
息子のことが理解できないし、癇癪への対応に気力・体力を使い果たしてしまって毎日ヘトヘト。
「これって大きくなったら落ち着くのかな?全くそうは思えない…このまま大人になっていったらどうしよう…」
私は不安でたまりませんでした。
他にも気になることがあったので、保育園や地域の療育センターに相談したり、民間の療育教室に通ったりしてみましたが、癇癪についてはなかなか解決しませんでした。
もっと他にできることはないかと必死に調べていたところで、発達科学コミュニケーション(発コミュ)に出会い私は対応を変えていきました。
2. 発達障害・グレーゾーンの子どもに癇癪が多い理由
癇癪について専門機関や周りに相談したとき、「お話ができるようになってくれば変わるよ」と言われたことはありませんか?
実はその通りなのですが、発達障害・グレーゾーンの子どもの場合はことばが出るようになっても癇癪が減らないことがあります。
「お話ができるようになれば変わる」というのは、自分の気持ちや感情をことばで説明できるようになれば意思疎通ができ、癇癪も減っていくということです。
ところが、発達障害・グレーゾーンの子どもはここに苦手を抱えている場合が多くあります。
なぜでしょうか。
それは、気持ちや感情をことばで説明するには脳の中で数段階の処理が必要、且つ発信にスキルが伴うからです。
脳の発達がゆっくりな子たちは、その習得に時間がかかるのです。
これが癇癪が多い主な理由の一つです。
自分の気持ちや感情を人に伝えるには、
・まず五感で感じる
・脳の中で処理をしてどういう気持ちなのか認識する
・適切なことばを選んで人に伝える
という段階を経ます。
目の前にあるりんごを見て、反射的に「あ、りんご」と言うより高度な発信ですね。
まず感じたことがどんな気持ちなのか認識するところから、徐々に身につけていくのです。
しかし、ことばで上手に説明できるようになるまで待たずとも子どもの癇癪を減らす方法はあります!
むしろ、癇癪が頻発している状態では脳が発達しにくいためことばは伸びていきません。
ことばの発達を加速させていくために、癇癪を軽減する対応法をご紹介していきます。
3. 子どもの癇癪に対する親のNG対応
正しい対応をお伝えする前に、やってしまいがちなNG対応について触れておきます。
子どもが癇癪を起こしたとき、始めのうちは穏やかに対応できていても、時間が長くなったり立て続けに連発されたりすると親の方も耐えるのに限界が来ます。
つい「いい加減にして!!」と言いたくなってしまいますよね。
ところが、癇癪に対して親が反応して応戦すればするほど、癇癪は繰り返されるのです!
脳は、繰り返したことがどんどん上手になっていくという性質があります。
癇癪を起こしたとき親が反応して叱りつけたり、最終的に子どもの要求に応えてしまったりすると、
・お母さんの注目を得られた
・やってほしいこと叶えられた
と誤った学習をしてしまい脳がそれを繰り返すサイクルを作ってしまいます。
そうすると、以前は我慢できていた小さなことまで怒って解決しようという行動になる等悪化してしまうこともあるのです。
癇癪を起こしている最中に、
・こんなわがままはいけない
・きちんとしつけをしなければ!
と思って厳しく言い聞かせたり叱ったりすることが、実はNG対応なのです。
4. 子どもが癇癪を起こしたときの正しい対応とアフターフォロー
では、癇癪が起きてしまうときはどのように対応したら良いのか。正しい方法をご紹介しますね。
◆①まず見て見ぬふり
子どもが癇癪を起こしそうだと感じ取ったら、すかさず目と身体を逸らして気づかないふりをします。
可能であれば子どもと物理的な距離を取って、目につくところの片付けをしたり本を読んだりお母さんは、お母さんは思いつく好きなことをしてやり過ごします。
子どもの感情に巻き込まれないようにすることが大切です。
このとき、「また怒ってる…!」という怒りオーラを出さないようにしたいので、できるだけ自分のことに集中するよう努めます。
ただ、年齢的にまだ小さかったり不安が強い等で子どもが追いかけてくる場合もあると思います。
そのときは心の距離だけ取るようにします。
そして子どもの発する言動全てに反応するのではなく、次のようにします。
・良くない行動はスルー
・良い行動、または次の行動につながる言動には対応
例えば工作中、上手くできずに機嫌を損ね、道具を投げたとします。
一旦は落ち着くのを待ちますが、おさまらずに詰め寄ってきて「お母さんが拾ってよ!」と言ってきたら、こう対応します。
・ものを投げたこと自体は指摘しない(スルー)
・「お母さんが拾ってよ!」は「拾ってって言えたね。」と言って笑顔で応じる
◆②癇癪がおさまったら、落ち着けたことを褒める
しばらくして落ち着けたら、それを必ず褒めます。
「自分で落ち着けたね」とストレートに伝えて受け止めてくれるようであればそのまま伝えて良いと思います。
息子の場合はストレートに言うと怒りを蒸し返すので、落ち着けたらそっと手を繋ぐ、頭をなでる等スキンシップで対応することが多かったです。
親子共に良い気持ちで、穏やかに会話を終わらせましょう。
これを繰り返すことで、気持ちを落ち着かせたらお母さんが近寄ってきてくれた、笑ってくれたという経験が積み重なります。
最終的に「こうした方が良いんだ!」と子ども自身が学習していくのです。
いかがでしたか?
発コミュを始めて半年少々、息子のこだわり・癇癪は0にはなっていません。
それでも1日に全くない日も多くなり、怒ってしまっても数分で切り替えができるようになりました。
「これができなくて困ってるから手伝って」「今はやりたくないけど◯◯の後でやるね」
と説明も上手になってきて私のイライラも激減しました。
さらに、人に喜んでもらえるように振る舞おうとする姿も増えました。
私がなにか頼むと「もちろん!」と快く応じてくれ、観たいTVやYouTubeを弟に譲ることができます。
子育てが断然ラクに、楽しくなっていると実感しています。
わが子の癇癪に悩むお母さんが、いつかそんな風に思える日が来るよう願っています。
パステルキッズとの生活が楽しくなるヒントが多数あります!
執筆者:諸住乃莉子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)