運動会への苦手意識が強い発達障害・グレーゾーンの子どもとはコミュニケーションが決め手です。音に敏感で繊細な我が家の娘は声かけを少し変えたことで自ら運動会に参加することを決めました。
【目次】
1.発達障害・グレーゾーンの子どもは運動会が苦手?
2.楽しいはずの運動会、音に敏感な子は特に辛さを感じてしまう?
3.ママの価値観を変える
4.運動会を「楽しかった想い出」にするためのコミュニケーション
①日常のストレスをゼロにする
②学校の先生との連携
1.発達障害・グレーゾーンの子どもは運動会が苦手?
学校の一大行事である運動会。学校によって春だったり秋だったりと様々です。
どの季節にしても運動会の時期になると憂鬱になる、発達障害・グレーゾーンの子どもに多いのではないでしょうか。
親にとっては子どもの成長が見られる運動会は楽しみな行事の一つです。
そんな運動会、子どもに「運動会に出たくない」と言われたらどうしますか?
親は、子どもがケガや病気などよっぽどの理由がなければ「運動会は出るのが当たり前でしょ」と思われる方がほとんどではないかと思います。
走るのが遅いから嫌、踊りが苦手、高学年女子になると身体の変化で億劫になったりと、理由はいろいろあります。
ましてや、発達障害グレーゾーンの子どもは脳の特性があり大人が思っている以上に負担に感じているのかもしれません。
2.楽しいはずの運動会、音に敏感な子は特に辛さを感じてしまう?
発達障害・グレーゾーンの特性を持つ子どもは、感受性が高いため大きな音や大きな声、張り詰めた空気に対して敏感で精神的ダメージを受けやすいです。
外部からの刺激に弱く敏感な子どもが多いからです。
運動会では大きな音は避けられませんし、徒競走の順番待ちでドキドキしたり、ダンスで間違えたらどうしよう…という緊張感が高ぶったり。
いつもよりストレスの要因がたくさんあります。
脳にかかってくるストレスに弱い特性がある発達障害・グレーゾーンの子どもは楽しいを上回るストレスにさらされる環境がしんどい!
だから、「運動会に出たくない」ということになってしまいます。
・走るのが遅い
・ダンスがなかなか覚えられない
・大きな音に敏感
・そもそも集団行動が苦手
上記のことで周囲からいろいろ言われて嫌な思いをしたという子もいるかもしれません。
運動会は本来楽しいものであるのに、つらくて憂鬱なイベントというネガティブな思い出になってしまうのはもったいないです。
この、つらくて憂鬱なイベントというネガティブな思いを少しでもポジティブに変える方法があります。
次章からは、我が家の6年生の娘が「運動会は出たくない!」というネガティブ思考を、ママとのコミュニケーションで前向きな気持ちに変わったお話をします。
3.ママの価値観を変える
娘は、6年生に進級してから自分のクラスに馴染めず、夏休み前から登校をしぶり始め別教室で過ごすようになりました。
秋の運動会の動きが学校でも見え始めた頃、「私、運動会は出ない」「係もしない」と宣言したのです。
小学6年生といえば、多くの親御さんたちが楽しみにしている演目の団体ダンスがありました。私も例外ではありません。
6年生のダンスは下級生の憧れの的でもあります。
私にとって娘の宣言はショックでしかありませんでした。
同時に、本当に娘の本心なのかなと思いました。
唄うことや踊ることが好きな娘は、昨年までは団体ダンスに出ることを楽しみにしていたからです。
考えられるのは、いまクラスに行けていないのに運動会の練習はクラスに行かないといけない。これがネックなのではないかと思いました。
それに、繊細な娘は大きな音に敏感で極度の緊張に弱くストレスを溜めやすいのです。
これらの問題をどのようにクリアすればいいのかとても悩みました。
発達科学コミュニケーションでは、メンタルが不安定なときやストレス状態が続いている状況では、まず、ストレスをゼロにしていくことが大事だと教わります。
ストレスゼロというのは、日常的にストレスを無くすということです。
以前の私だったら、運動会に出たくないと言われると「小学校最後の運動会だよ!」「出たほうがいいよ!」「ソーラン節しないの?」と矢継ぎ早に言っていたに違いないです。
この、何気なく発した言葉は子どもにとってストレスとなり逆効果だったのです。
4.運動会を「楽しかった想い出」にするためのコミュニケーション
私が実践したことは以下の2つです。
◆①日常のストレスをゼロにする
日常のストレスをゼロにするために、まず、私は娘に肯定的な声かけを徹底しました。
言動を全て肯定し、否定的なことはスルーします。
肯定的な会話とは特別なことではなく、ここでは事実をそのまま伝えるだけです。
「運動会は出たくないんだね」
「係もしたくないんだね」
という具合です。
「クラスに行ったんだね」
「練習進んでいるようだね」
「暑かったから水筒空っぽだったね!」
と帰宅した娘に声をかけました。
ダンスの練習が始まった頃は、YouTubeで他校の子どもたちが躍る姿を一緒に視聴し、
「かっこいいね!」
「○○(娘)ちゃんは背が高いからハッピ姿が似合うだろうな」
など親子のコミュニケーションを意識して取るようにました。
◆②学校の先生との連携
付き添いなどで学校に行ったときは先生に、家での娘の様子を話したり、学校での様子を聞いたり情報交換しました。
また、運動会の練習の進捗状況を確認しました。
事前に先生と打ち合わせたことは、
・出ても出なくても踊りは一応完成させておく
・できそうな係を考える
行進や体操などの全体練習は、先生が様子をみながらクラスへの参加を誘導してくださいました。
それから、数日後、娘が先生の提案で写真係になったんだと話してくれました。先生が新たに設けてくださった係です。
ここでは、親子の会話がスムーズにいくような質問のコミュニケーションにしました。
私:「写真係ってどんなことするんだろう?」
娘:「徒競走でみんなを写真に記録するんだよ」
私:「かっこいい係を任されたんだね!」
娘:「うん」
私:「○○(娘)ちゃんはどこの場所から撮るん?」
娘:「スタートのところ」
私:「お母さんは写真を撮っている○○(娘)ちゃんを撮っていい?」
娘:「いいよ」
など質問は子どもが答えやすいようにするのがポイントです。
子どもに思いをアウトプットさせることは、子どもの思考を安定させ、ストレス満杯状態を防ぐことができます。
係を任されて自信が着いた娘は、行進や体操に加え、クラスのみんなと「ソーラン節」を踊り切り、短距離走では出場しない代わりに写真係をやり切りました。
運動会は、強制でもなく、嫌々でもなく、本人の心が前向きに変わり自分で決めて参加できました。
娘たちにとって「楽しかった想い出の1ページ」になったのです。
私は、子どもの不安を打ち消す解決策は必ずあると信じています。
それには、親は諦めないことが大前提ではないでしょうか。
子どもの小さな「できた!」をできたことだけに目を向けて肯定する。褒める。
それは、成功体験として子どもの心に刻まれていき、自己肯定感に繋がります。
自分を肯定することで子どもは自信の土台をしっかり作っていきます。
子どもは本来、前へ進もうとする力を備えています。
親が感情的に反応せずに、戦略的に行動に対処することで、親が何も言わなくても子どもは自分で決めて行動し始めるのです。
最後に、肯定的な声かけは笑顔とセットということを忘れないでくださいね。
子どもの癇癪に困り果てているママ!対応策をご紹介しています!
執筆者:瑞上 ようこ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)