発達障害・ASDの傾向を持つわが子の記憶力に驚いた経験はありませんか?その能力を上手に活かしたいですね!記憶力がいいことを活かした得意なことを見つけると、苦手なことまで克服できてしまう可能性もあります。そのヒントをお伝えします。
【目次】
1.発達障害だけど記憶力が良すぎる⁉暗記が得意なわが子
2.発達障害・ASDの子が記憶力がいい理由
3.得意なことで苦手なことも克服!記憶力の活かし方
①記憶力を発揮している分野で行動を起こし、得意なことをみつける
②得意なことを披露する機会をつくる
1.発達障害だけど記憶力が良すぎる⁉暗記が得意なわが子
発達障害・ASD(自閉スペクトラム症)の特性を持つ子は、並外れて記憶力がいい場合があります。
その能力は単に言葉として発するだけでなく、「行動」と結びつけていくことで新たな得意なことを発見したり、またその得意なことで苦手なことまで克服できてしまうなど本人の成長に活かしていくことができます。
ASD傾向のわが子に「記憶力が良すぎる!うちの子天才じゃない⁉」と思ったことはありませんか?
私は現在6歳の息子に対し、そう思っていました。
息子は暗記が得意です。
小さな頃から車が大好きで、大人用の車図鑑を見ながらものすごい数のメーカー名と車種を正確に覚えていました。
その後絵本が好きになると、家や保育園で読んでもらった絵本の内容をどんどん暗記していきました。
始めは音で覚えていたようですが、程なくして文字も読めるようになり4歳半ば頃には絵本の音読がすらすらできるようになりました。

しかし、発達の観点で順調に育っていたかと言うとそうではありません。
特に保育園でのお友達との関わりや集団行動に大きな苦手がありました。
暗記が得意とはいえ言葉が出るようになったのは3歳近くなってから、また話すようになっても自分の頭の中にあることを発するばかりで「会話」になっていかないことに私は不安を抱えていました。
市の検診でも発達障害の可能性を指摘され、園では1人遊びばかり、気が乗らない集団活動は参加拒否。
どうしたら良いものかとしばらく悩みましたが、その後たくさん覚えた絵本から得意なことができ、苦手なことまで克服するきっかけとなってくれたのです!
次項からは、発達障害・ASDの子が記憶力がいい理由と、息子が絵本を活用してどのように苦手を克服していったのかについてお伝えしていきます。
2. 発達障害・ASDの子が記憶力がいい理由
記憶力がいいことは、発達障害・ASDの特性の一つと言われています。
その代表的な理由を挙げます。
◆「こだわり」特性のあらわれ
並外れた記憶力は、ある特定分野に発揮されることが多いです。
息子のように車や絵本、また電車や地理、語学など興味をもったものに対して深い知識を蓄えていきます。
このとき、興味の対象は「いつも変わらないもの・コト」に向けられることが特徴的です。
ASDの人は見通しが立たないことが苦手なため、いつも同じものやコトを好みます。
いつも同じ、変わらないものを何度も反復して学習し記憶していくのです。
◆視覚情報の処理が得意
100%ではありませんが、ASDの人は耳で聞くよりも目で見た情報の処理や記憶が得意、いわゆる「視覚優位」であることが多いとされます。
過去に見たことを映像や動画として記憶し、前に会ったことのある人の顔や行った場所のことを鮮明に覚えていることがあります。
また、見たものをそのまま記憶することが得意なので、本や図鑑などに書いていることを詳細に覚えることができます。
◆感覚が過敏
ASDの特性に感覚過敏があります(または感覚鈍麻のこともあります)。
感覚過敏の場合、定型発達の人と比べ視覚、聴覚、触覚、痛覚などが鋭く感じ取ったことをより強い印象で脳内に記憶します。
感覚過敏に紐づいた記憶は、そのときの情景や耳に入って来たこと、においなどにおいて、不快感を伴ったネガティブな内容のこともあります。
記憶力が良すぎることがマイナスに働く場合もあるので、適切なケアが必要です。
以上のような背景から、比較的長期的な記憶が得意であることが、ASDの記憶力にまつわる特徴です。
ではこのせっかくの能力をどう活かしていけば良いか、次に具体的にご紹介します。
3. 得意なことで苦手なことも克服!記憶力の活かし方
ASDの特性を持つ子の抜きん出た記憶力は、本人の中でただ唱えるように言葉としてアウトプットしているだけでは何も生み出しません。
関連することで「行動」を起こし、そこから得意なことを見つけ伸ばしていくことで才能が花開きます。
すると、その得意なことでいつの間にか苦手なことまで克服できることもあるのです。
一例ですが、そのヒントをお伝えします。
◆①記憶力を発揮している分野で行動を起こし、得意なことをみつける
本人が記憶力を発揮している分野で、楽しんでできそうな活動を探します。
そこから特技と言えるようなことをつくれると良いと思います。
息子の場合は「絵本の読み聞かせ」でした。
読んでもらうと、声の大きさ、テンポ、抑揚のつけ方もとても上手でした。
始めのうちは誰かに読んでもらったときの記憶から真似をしていたのかもしれませんが、次第に初めての本でも上手に感情をこめて読めるようになっていきました。
・歌を覚えるのが得意ならカラオケに行って歌う練習をする
・生き物に詳しければ家で飼ってお世話をしてみる
・電車が好きなら実際に乗りに行く、またそのおでかけや旅行の計画を一緒にしてもらう
など、お子さんに合わせて思いつくものを試してみてください。
◆②得意なことを披露する機会をつくる
得意なことができたら、それを誰かに披露する場を意識的につくります。
披露する場は、まずはリアルな場で身近な人からしていくのが良いと思いますが、今はSNSなどで発信する方法もありますね。
息子には、家で弟や私たち両親に対して、また祖父母に会ったときにも読み聞かせをしてもらいました。
ありがたいことに保育園でも、先生が子どもたちに読み聞かせをする場面で息子にやらせてくれる機会を作ってくださいました。
ときには年下のクラスへの出張読み聞かせまでさせてくださったようです。
こうして息子は色々な人に自分の行動を褒めてもらう経験を積み重ねました。
そしてお友だちとの関わりや集団が苦手だったのが、自らクラス全体に「しゅうごーーう‼︎」と声をかけて輪の中心で読み聞かせができるまでになったのです。
絵本以外でも、「一緒に遊ぼう!」「今日一緒に帰ろう!」とお友だちを誘えるようになってきてグイグイ成長中です。

いかがでしたか?
発達障害・ASDの特性を持つ子は、人とのコミュニケーション、集団参加につまづきがあることも多いと思います。
得意分野からコミュニケーションのきっかけを作れると、何かが変わるかもしれません。
せっかくですから記憶力がいいことを活かし、ネガティブなこともポジティブに書き換えられるような、お子さんの自信になるようなことを伸ばしてあげたいですね。
こちらの記事が参考になりましたら嬉しいです。
わが子の脳の特性を知り子育ての悩みを解決したい方、まずは無料メールで学べます!
▼ご登録はこちらから
▼無料小冊子プレゼント▼
♡小冊子のご感想
癇癪や暴力を起こす息子に、「なんでそんなことするの」と思っていましたが、原因がわかったことで、子どもを見る目が変わりました。これからは冷静に対応できそうです。
\子どもが素直になる朝の声かけ35つき/
癇癪・暴力がスッとおさまる!
脳科学に基づく接し方
↓↓↓
癇癪・暴力がスッとおさまる!
脳科学に基づく接し方
↓↓↓
執筆者:諸住乃莉子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)