宿題やり直しが学校嫌いに?発達障害の子どもの自己肯定感を高める対応法

 

発達障害の子どもは力をつけるはずの宿題のやり直しで自己肯定感が下がり、学校嫌いにつながることがあります。学校嫌いは登校しぶりにも発展しやすいので早めの対応が必要。元小学校の先生の視点で、おうち対応と学校との連携法をお話しします。
 

【目次】

 
 

1.宿題のやり直しで発達障害の子どもが学校嫌いに?

 
 
突然ですが、子どもの宿題でこんなことありませんか?
 
 
例えば漢字の宿題で、
 
 
・間違った漢字に赤い丸が付けられている
 
・丁寧に書けていない漢字にチェックが付けられている
 
・そのページをやり直すように付箋がつけてある
 
 
宿題のやり直しの目的は「正しく書けるようになること」ですよね。
 
 
そのための方法として、
 
 
・間違いに気づかせるために赤ペンを入れる
 
・間違えた文字を繰り返し書かせる
 
 
これが日本の学校では当たり前になっています。
 
 
実際この方法で漢字を覚えてきたパパ、ママがほとんどではないでしょうか。
 
 
ですが発達障害・グレーゾーンのお子さんで漢字が苦手という脳の特性がある場合、この学習方法ではうまくいかないことがあります。
 
 
なぜならその子なりに一生懸命頑張っているのに、漢字を覚えられなかったり、書けたとしても正しい漢字を書くことができなかったりするからです。
 
 
そのようなお子さんは、間違いを正す赤い丸と付箋はどう感じるでしょうか?
 
 
 
 
赤い丸や付箋を見るたびに、漢字がどんどん嫌いになってしまうかもしれませんよね…。
 
 
そもそも先生が宿題のやり直しをさせる一番の理由は、子どもたちに学習を定着させてあげたいからです。
 
 
そしてもう一つの理由として、「間違えた漢字があるのに、何もしてくれてない」「ちゃんと宿題を見てほしい」という保護者からの希望に応える意味もあります。
 
 
どちらにせよ保護者と先生の目的は、子どもたちのため。
 
 
ただ、この「子どもたちのため」が、子どもたちを苦しめることにも繋がるのは事実です。
 
 
発達障害の子どもがどうせ自分にはできないんだ、と自己肯定感が下がると、学校自体が辛い場所になり学校嫌いになってしまうこともあります。
 
 
ではなぜほとんどの子どもが難なくできる宿題のやり直しが、発達障害の子どもの自己肯定感を下げる原因になるのでしょうか。
 
 
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2.「宿題のやり直し」が発達障害の子どもに合わない理由

 
 
発達障害・グレーゾーンで「漢字が苦手」という脳の特性がある場合、宿題のやり直しは逆効果になることがあるとお話ししました。
 
 
それは、
 
 
・視る力が弱く、漢字の形を正確に捉えられない
 
・ワーキングメモリが弱く、文字を覚えて書けない
 
・目と手の協応がうまくいかず文字が枠からはみだす
 
 
など、本人の努力不足とは関係のない理由がかくれてることがあるからです。
 
 
 
 
 
そして宿題のやり直しは、できていないこと・苦手なことに注目するやり方です。
 
 
できないことを指摘され続けると、大人でも自信をなくしてしまいますよね。
 
 
特に発達障害の子どもたちは普段から注意を受けることも多く、ネガティブ記憶を溜めやすい特性があります。
 
 
「失敗ばかりの自分」、「周りと比べてうまくできない自分」
 
 
そんなネガティブな自分には自信が持てず、「どうせやってもうまくいかない」と、やる気のない無気力な状態に。
 
 
発達障害の子どもの苦手克服のための学習が、勉強嫌い・学校嫌いさらには登校しぶりにつながったとしたら、元も子もありません。
 
 
では発達障害の子どもの自己肯定感を高め、勉強嫌い・学校嫌いにさせない関わり方を次章で説明しますね。
 
 
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3.発達障害の子どもの自己肯定感を高め学校嫌いにさせない対応法

 
 
具体的にどうすればいいのでしょうか。
 
 
答えは簡単、子どものできていることに注目し、「得意」を伸ばすやり方に変えればいいのです。
 
 
苦手にばかり注目をする否定的な関わり方では、子どもの自信が失われてしまいます。
 
 
自信がない状態では脳の発達も進みにくいので、まずはおうちで「得意」に注目して自信をつけていきましょう。
 
 

◆①発達障害の子どもの自己肯定感を高める親の声かけ

 
 
おうちでやってほしいことは、例えば漢字の問題なら、書けていない漢字には注目せず、書けている漢字を見つけて、花丸をつけてあげることです。
 
 
文字を書く以前に、椅子に座る、ノートを開く、鉛筆を持つ・・・。
 
 
当たり前のことだと思ってしまいますが、これは全部子どもができていることです。
 
 
「椅子に座ったね!」と実況中継のように、できたこと・やろうとしていることを言葉にして伝えてくださいね。
 
 
子ども自身に言葉で伝えることで、できていることがこんなにたくさんあるんだと気づき、自信になります。
 
 
ネガティブになりがちな発達障害の子どもには、いかに小さな成功体験を増やしてあげられるかが、自己肯定感を高めることにつながります。
 
 
特に、発達障害グレーゾーンのお子さんは、頑張っているのにできないことも多いため、注意や指摘をされることが多くなりがちです。
 
 
苦手には目をつむり、子どものできていること、得意を伸ばす関わり方にシフトすると、子ども本来の力が発揮されます。
 
 
 
 
まずはおうちでの褒めを増やし、自信をつけてあげてくださいね。
 
 
さらに先生との関係を良くすることで勉強嫌いの解消にも大きく関わってきます。
 
 

◆②先生が子どもの最強サポーターになる「肯定のサンドイッチ」

 
 
学校から電話があって、「何だろう?」と緊張したことはありませんか?
 
 
実は先生も、保護者から電話があったら「何かあったかな?」と緊張しながら電話を受けます。
 
 
緊張しながら電話を受け取って、もし一方的にお願いだけされてしまうと、先生なりに一生懸命やっていることを否定されたように感じることもあります。
 
 
そこで、先生にモヤモヤさせず、快くお願いを聞いてもらう会話術が「肯定のサンドイッチ」です。
 
 
いきなり子どもの心配事やお願い事を話すのではなく、まずは肯定の声かけを入れましょう。
 
 
「先生いつもありがとうございます」
 
「うちの子〇〇が楽しいって言ってます」
 
 
そして、子どもの特性に関するお願いや相談をして、最後にもう一度肯定の声かけをして会話を終えます。
 
 
子どもの困りごとは、「わが家ではこうするとうまくいった」という具体策を伝えると、先生も取り入れやすいです。
 
 
ママが先生と上手に連携してお子さんの困りごとを少しでも減らしてみてくださいね。
 
 
先生との連携ができれば、おうちでも学校でももっと子どもを伸ばすことができますよ。
 
 
 
 
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執筆者:はぎはらさゆり
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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