ADHDは時間感覚が鈍い?時間管理の対策法について

 

ADHDなどの発達障害のある人は「時間感覚」が鈍いと言われています。 時間感覚が鈍いため、時間に合わせて行動することやスケジュールの管理が苦手といった困りごとが発生してしまうんですね。本人も周りの人も困ってしまうため対策が必要です。
 
 

【目次】

1.ADHDキッズの時間感覚に振り回されていませんか?
2.ADHDはなぜ時間の管理が苦手?
①優先順位をつけるのが苦手
②タスク管理が苦手
③ほかのことに気をとられやすい
④物事を後回しにしてしまう
⑤あいまいな表現が苦手
3.子どものうちに「時間感覚」の対策を!
4.我が家の時間管理方法
①好きなことを先にやらせる
②自分でアラームを設定
③何にどのくらいの時間がかかるのか?を計る

 
 

1.ADHDキッズの時間感覚に振り回されていませんか?

 
 
私の息子は注意欠陥多動性障害ADHDです。
 
 
時間の感覚が鈍いようで、時間通りに行動することが難しいようです。
 
 
朝起きてからの支度がのんびり、食事ものんびり、習い事へ行く時間が過ぎてもゲームをしていたり時間ギリギリになることもあります。
 
 
「出かけるよ」と声をかけてもすぐに準備をしないので、お出かけの時はほぼ毎回イライラしてしまいます。
 
 
また、好きなこと・興味のあることに対しての集中力が高い(過集中)ため、トイレにも行かず夢中になりすぎてしまう、ということもあります。
 
 
ADHDの特性だから仕方ないといっても、お出かけのたびに親はイライラしてしまうし、トイレにも行かず遊び続ける姿を見ていると心配になりますよね。
 
 
学校ではなんとか時間に合わせて行動できているようですが、マイペースなことが多いようです。
 
 
ある日のことです。
 
 
我が家の息子は、毎朝7時20分頃に家を出て学校に向かいます。
 
 
20分頃に出発して、50分前後に学校に到着する予定でした。
 
 
ある日、忘れものをしていたので届けに行ったところ、息子が学校に到着していなかったことがあります。
 
 
その日は7時15分に家を出ていたので、いつもの時間よりも早く学校に着いていなければおかしいのです。
 
 
たまたま昇降口にいた息子のお友達に荷物をお願いして仕事へ向かいましたが、到着しているはずの息子がいなかったことが不安でなりませんでした。
 
 
その日の晩、息子に「15分に出たのに、50分頃まで到着しなかったのはどうして?」と聞いてみました。
 
 
「途中でA君と会って一緒に学校に向かってたら、珍しい虫がいて、その虫をA君と一緒に見てたら遅くなっちゃった」という返事でした。
 
 
珍しい虫を見つけて、学校にギリギリで到着したとのことです。
 
 

 
 
後日、面談の時に担任の先生から聞いた話では、
 
「チャイムが鳴った時に、校門のところを二人が歩いているのを見ました。全然間に合ってないのに、二人とも歩いててびっくりしましたよ~(笑)」
 
とのこと。
 
 
めちゃくちゃマイペースですよね(笑)
 
 
時間よりも珍しい虫が気になったんですね。
 
 
時間感覚が鈍いので、このようなことが当たり前に起こるのです。
 
 
 
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2.ADHDはなぜ時間の管理が苦手?

 
 
ADHDの特性で時間管理が苦手と感じる原因を見てみましょう。
 
 

◆①優先順位をつけるのが苦手

 
 
ADHDの特性に優先順位をつけるのが苦手」というのがあります。
 
 
好きなことや興味のあることに気が向いてしまいやすいため、「今やらなければいけないこと」だとわかっていても、好きなことを優先してしまうのです。
 
 
そのため、
 
・遊びに夢中になって習い事の時間に遅れる
・早めに家を出てもギリギリの時間、もしくは遅刻している
 
ということが頻繁にあるのです。
 
 

◆②タスク管理が苦手

 
 
ADHDの「不注意」性が強い場合、一度にいろんなことを進めることが苦手です。
 
 
これは「ワーキングメモリの弱さ」が関係しています。
 
 
ワーキングメモリは、一時的な情報を処理するための脳の機能です。
 
 
ADHD不注意の特性が強いお子さんは、ワーキングメモリが弱いと言われています。
 
 
ワーキングメモリの容量は人によって違いがあるため、発達特性がみられなくても弱い人もいます。
 
 
このワーキングメモリの容量が低い(弱い)と一度に覚えられることが少ないため、タスク管理が苦手なのです。
 
 

◆③ほかのことに気をとられやすい

 
 
ADHDの特性に「ほかのことに気をとられやすい」というものがあります。
 
 
よく言えば「切り替えが早い」となりますが、目に映るものや聞こえてきたものの中から興味を引くことがあると、今までやっていたこと・これからやらなきゃいけないことを忘れてしまいます。
 
 
その結果、時間に間に合わなくなるという困りごとが生じてしまいます。
 
 

 
 
また、ワーキングメモリが弱い特性も持ち合わせているので、他のことに気をとられ、約束そのものややらなきゃいけないことを忘れてしまうこともあるのです。
 
 

◆④物事を後回しにしてしまう

 
 
優先順位をつけるのが苦手で、他のことに気をとられやすいため、興味のあることを優先しがちです。
 
 
学校の準備をしている最中でも、気になるものが目に入ると、そちらを優先してしまい、準備がおろそかになります。
 
 
また、食事中でも気になることがあると、食事そっちのけで遊び始めてしまったり、本を読みだしたりしてしまいます。
 
 
今やらなきゃいけないことよりも、興味のある方を優先してしまうのです。
 
 

◆⑤あいまいな表現が苦手

 
 
あとちょっと
もう少し
すぐ終わるから
早くしなさい!
という言い方をしていませんか?
 
 
発達に特性のあるお子さんは、「あいまいな言葉」が伝わりにくいことがあります。
 
 
時間感覚が鈍いので、「ちょっと」がどのくらいなのかが理解しにくいのです。
 
 
こういう場合
 
・「あと5分待ってね
・「手を洗ったら
・「〇分まで」 
 
など、具体的に伝えると良いでしょう。
 
 
ADHDの時間管理が苦手な子には、子どものころから時間の感覚を身に付け、時間管理の工夫をすることがポイントです。
 
 

3.子どものうちに「時間感覚」の対策を!

 
 
子どものうちに時間感覚や時間管理の対策をすることが重要です。
 
 
時間感覚が鈍いまま大人になってしまうと、人づきあいや仕事などに影響が出てしまいます。
 
 
たとえば、
 
・予定や約束の時間に間に合わない、すぐ忘れてしまう
・見通しを立てる力が弱いため、やらなきゃいけないことを先延ばしにしてしまう
・優先順位をつけるのが苦手なので、目に付いたことから先にやってしまう
 
といった困りごとがあるため、怒られることが多くなってしまいます。
 
 
本人は頑張っているつもりなので、毎回のように怒られてしまうと、自己肯定感が下がってしまう恐れがあります。
 
 

 
 
自己肯定感が下がってしまうと、やる気の低下やネガティブ思考の原因となり、不登校やひきこもりの原因となることもあるのです。
 
 
だから、子どものうちに時間感覚や時間管理の対策をすることが大切なんですね。
 
 
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4.我が家の時間管理方法

 
 
では、どのようにして時間感覚や時間管理をするのがいいのでしょうか。
 
 
我が家でやっている時間管理方法を3つをご紹介しますね。
 
 

◆①好きなことを先にやらせる

 
 
息子は目覚ましアラームをセットしていますが、ほとんどと言っていいくらい、アラームでは起きません。
 
 
なんのためのアラームなのか?
 
 
役に立たないアラームを毎朝BGMのように聴くのが日課です。
 
 
どうしたものかと思っていたところ、息子のお友達のママから「うちの子、超早起きして朝6時からゲームやってるの」という話を聞き、朝ゲームを息子に提案してみました。
 
 
すると、アラームが鳴る前からそそくさと起きてきたではありませんか!
 
 
恐るべし!ゲームの力!
 
 
学校に行くための身支度の時間を考慮して、ゲームの時間は30分ほどに設定。
 
 
時間を守れたら、夕方のゲームの時間をちょっと追加するなど、遊ぶ時間を調整するようにしました。
 
 
ADHDの好きなことや興味のあることへの集中力がすごいという特性をうまく利用できたのです。
 
 

◆②自分でアラームを設定させる

 
 
息子はキッズケータイを持っているので、アラーム機能をフル活用させています。
 
 
習い事をしているので、曜日ごとに出かける時間が変わります。
 
 
自分で「何曜日は何時に家を出るか」をアラームにセットさせることで時間の管理ができているように思います。
 
 
今のところ、時間の管理ミスで遅刻したことはないようです。※本人談
 
 

◆③何にどのくらいの時間がかかるのか?を計る

 
 
毎日行う朝の身支度や学校の準備、歯磨きやお風呂の時間がありますよね。
 
 
これらにどのくらいの時間がかかるか?を計測させました。
 
 
歯磨きなら5分、お風呂なら20分、お布団を敷くのは5分などです。
 
 
毎日のルーティンワークひとつひとつに、どのくらいの時間がかかるのか?を計測することで、時間の感覚がわかるようになってきたようです。
 
 
息子は片付けが苦手なのですが、片付けにかかる時間を計測したことで、「5分くらいで終わる」ことがわかってから、すすんで片付けをするようになりました。
 
 
苦手なことを後回しにしてしまうことが多かったのですが、「〇分で終わる」ということがわかってからは、後回しにせず、行動するようになったと思います。
 
 
以上が我が家の時間管理の対策法です。
 
 
小学生のうちに時間感覚を身につけ、困りごとを大人まで持ちこさないようにしてあげたいですね。
 
 
 
 
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執筆者:村上 惠子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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