3学期は、進級や卒業を控えた子どもたちにとって、大きな変化が訪れる時期です。特に、隠れ不登校の子どもたちは、周囲の期待や変化に学校不安を抱え、症状が悪化してしまうことがあります。隠れ不登校の新学期不安に、「なりたい自分」を描く折れない自信のつけ方をお伝えします。
【目次】
1.【3学期の壁】新学期への不安
2.不登校ではない隠れ不登校とは?
3.新学期に隠れ不登校の子の学校不安が強くなる理由
4.「なりたい自分」を描く折れない自信のつけ方
①じっくりと最後まで話を聞く
②未来の自分を描ける会話
1.【3学期の壁】新学期への不安
3学期は、子どもたちが新たなステージへと進むための大切な時期です。
しかし、同時に大きなプレッシャーを感じる時期でもあります。
そのため子どもの心の負担を軽減するために、周囲の期待よりもなりたい自分に目を向けさせて、折れない自信をつけることが大切になってきます。
なぜ3学期に学校不安が強まるのでしょうか?
・進級や進学に対する期待と不安
新しい学年への期待と同時に、より高いレベルが求められ不安が入り交じることがあります。
・周囲との比較
友達や周りの大人たちの話を聞き、自分の将来や進路のことについて深く考えるようになり、焦りや不安を感じやすくなります。
・周囲の期待
学習面や進路について、周囲から期待され「今のうちに、ここまでできるようにならないと!」という高い目標を設定されることが増えて、プレッシャーを感じてしまうことがあります。
このように、様々な新学期不安のプレッシャーを抱えて心のバランスを崩してしまうことがあるのです。
2.不登校ではない隠れ不登校とは?
不登校や登校しぶりは聞いたことがあるかと思いますが、「隠れ不登校」とは、どんな状態のことかご存知でしょうか?
隠れ不登校とは、学校には毎日通っているけれども、
・心身の状態が良くない
・授業に集中できない
・友達との関係がうまくいかない
など学校生活に苦しんでいる状態を指します。
不登校とどう違うのか、解説していきますね。
文部科学省による不登校の定義は、病気や経済的理由などといった特別な事情がなく、欠席日数が年間の30日以上となった状態のことをいいます。
ですが、隠れ不登校は毎日学校に登校しているため、不登校人数にはカウントされません。
その数は、不登校者数の3倍という調査報告もあります。
隠れ不登校の子どもたちの学校生活は次のような状態があります。
・仮面登校(授業不参加型)
基本的には教室で過ごすが、皆とは違うことをしている。授業に興味が持てずに参加する時間が少ない。
・仮面登校(授業参加型)
基本的には教室で過ごし、皆と同じことをしている。心の中では学校に通いたくない、学校が辛い、嫌だと感じている。
・部分登校
基本的には教室で過ごすが、授業に参加する時間が少ない。給食登校や、遅刻や早退が多い状態のこと。
・教室外登校
学校の校門、保健室、校長室などには行くが、教室には行かない。保健室登校、図書室登校、校門登校、校長室登校などの別室へ登校すること。
このように、毎日登校しているけれど、内心は嫌だと思っていたり、少しの時間なら学校に行ける、教室以外ならいけるなど、皆と同じように授業に受けられないという子どもがたくさんいます。
私の息子も、教室外に毎日登校し、クラスの子達とは別に個別の授業を受けている「隠れ不登校」です。
登校しぶりや不登校から、別室登校という選択をして登校するようになりました。
ですが、学校に毎日通っているから、不登校と無縁かといえばそうではありません。
特に、3学期は次年度の話が活発になる時期ですから、子どもにとっても心配で学校不安が増えがちなのです。
そのため、学校生活での不安が大きくならないように寄り添い、新学期不安から心の負担を軽くして自信をつける関わり方が大切になってきます。
3.新学期に隠れ不登校の子の学校不安が強くなる理由
隠れ不登校の子どもは、特に3学期に不安を感じることが多いようです。
特に学校に行きづらいと感じている子どもにとっては、新学期への変化の話が大きな負担となり不安が大きくなることがあります。
3学期になると、今年度中に「ここまでできるようにならないと!」という到達目標についての話が多くなります。
先生や親の「困らないように!」という期待値が高いと、隠れ不登校の子たちは普段から学校生活に不安を抱えやすい傾向があるため、プレッシャーを感じてしまいます。
次年度の不安と期待がある中で、周囲の期待値が高いと、しんどくなることは想像つきますよね。
別室登校をしている息子も、3学期になるとソワソワした様子が多く見られました。
学習面で遅れを取らないようにと目標を掲げる先生の期待に応えないと!という思いと、「クラスの教室に入りたいけど、入れない」という思いに揺れ動いていました。
新学期不安によりストレスが強くなると、周囲の期待に応えようとして自分がどうなりたいかを見失ってしまいがちです。
学校不安を抱えやすい傾向にある隠れ不登校の子どもは、特に周りの人の言葉に敏感になりやすくなるのが3学期なのです。
そのため、心の負担を軽くする関わり方を増やし、登校をゴールとするのではなく「なりたい自分」に目を向けさせて折れない自信をつけることが大切になります。
4.「なりたい自分」を描く折れない自信のつけ方
登校しぶりや不登校に限らず、隠れ不登校の子どもも、学校生活に不安を抱えやすく周囲の人の言葉に敏感になっている傾向があります。
そのため、子どもが周囲からの期待よりも自分に目を向けられる関わり方が必要になります。
◆①じっくりと最後まで話を聞く
新学期不安を感じている心の負担を軽くするために、じっくりと最後まで話を聞き切ることが大切になってきます。
「でもね」「こうしてみたら」などの話を遮るようなことを言ってしまうと、「理解してもらえない」と感じてしまうことがあります。
こちら側の気持ちは一旦横に置いておいて、子どもに寄り添ってじっくり話を最後まで聞いてあげましょう。
そうすることで、学校生活での不安での心の負担を減らし、子どもも心を開いて自分からどんどん話をしてくれるようになります。
このように、話を聞いてもらえたと思う事が増えていくと折れない自信がついていきますよ。
◆②未来の自分を描ける会話
「なりたい自分」の姿を思い描くことで、周囲の期待ではなく、子どもが今頑張りたいと思うことに目を向けることができます。
3学期に、周りの期待に答えたいと必死に頑張ってしんどくなる前に、自分はこれがやりたいと思う気持ちが強くなれば、自然とそれに向かって動き出すことができ自信をつける事ができるのです。
子どもの好きなことと組み合わせて、こうなりたいという近い未来の想像力がカギとなります。
例えば息子の場合は、「来年は何をしたい?」と聞いたときに、「釣りがしたい!」と言ってきました。
母「どこで、どんな魚を釣りたいの?」
息子「川でヤマメが釣りたい!」
母「釣れた時はどんな顔してて、どんな服を着てるの?」
息子「嬉しくて笑顔になってる!好きな紺色のかっこいい服!」
母「じゃぁどこの川で釣れるのか調べてみようか?」
というように、「なりたい自分」の表情や服装なども具体的に思い描くことで、どこに行けばいいのか、どんな道具がいるのか?をどんどん想像力が上がっていきます。
そこから、魚や川の名前、地域の名前などを漢字で調べてみたり、読めなかったら辞書の使い方をマスターしようと目標を立てることもできました。
「なりたい自分」になるために、期限を決めていくこともポイントです。
いつまでに調べて道具を用意しないといけないのか、それまでに地域と川の名前を漢字で覚えておきたい!などの計画を立てることにも繋がります。
このように、隠れ不登校で抱える新学期不安や、周囲の期待に応えようと敏感になりすぎず、なりたい自分に目を向ける事ができるようになりますよ。
ぜひ、3学期の隠れ不登校の心の負担を減らし、「なりたい自分」にシフトして、自分に目を向け折れない自信をつける関わり方をしてみてくださいね。
隠れ不登校の不安を解消する対応法をお伝えしています。
執筆者:かねた 愛
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)