友達関係がうまくいかない…と悩んでも大丈夫!思春期の中学生男子が安心して友達関係を築くには、発達の特性を理解した親の関わり方が大切です。この記事では、その具体的な方法をご紹介します。
【目次】
1.友達関係がうまくいかない息子…大丈夫?
2.中学生男子の友達つきあいが難しい理由とは?思春期と発達特性の影響
3.友達関係がうまくいかない中学生男子が安心できる!親の関わり方と声かけの工夫
①子どもの考えに共感する
②子どもの思いを代弁する
③他人目線で気持ちを考える会話
1.友達関係がうまくいかない息子…大丈夫?
中学生になってから「うちの子、あまり友達と遊ばないなぁ」と不安に感じていませんか。
特に友達関係がうまくいかない中学生男子を持つ親御さんは、「このまま孤立してしまうのでは?」「学校に行きたくないストレスにつながるのでは?」と心配になることも多いと思います。
実際に次のような様子が見られると、不安はさらに強まります。
親が不安に思うチェックリスト
・学校の話: あまりしない、友達の名前がほとんど出てこない
・休み時間や放課後: 一人で過ごしていることが多いように見える
・人間関係のトラブル: 「嫌なことを言われた」と繰り返し口にする
・家庭内と学校での差: 家では愚痴が多いが、学校では黙りがち
・気にしすぎ傾向: 相手の一言を深読みして落ち込むことが多い

こうした友達関係がうまくいかない背景には、いわゆるグレーゾーンを含む発達特性に由来する“思考の偏り(物事を白黒で捉える・否定的に解釈しやすい 等)”が関係する場合があります。
これは珍しいことではなく、思春期の変化も相まって強まりやすいのが特徴です。
大切なのは、親が子どもの“思考の偏り”をやわらげる関わりを通じて、友達との距離感を上手にとる力(断る・頼る・切り替える等)を少しずつ育てていける、という視点です。
私の息子も、小さい頃から特定の友達と過ごすことが多く、大勢でワイワイするタイプではありませんでした。
家では一人でゲームを楽しそうにしているのに、親としては「仲のいい友達はいるのかな?」「学校生活は大丈夫?」と心配でした。
思春期は、親からは友達関係が見えにくくなる時期でもあります。
けれど、子どもの特性や思考のクセを知ると、どこをサポートすればよいかが見えてきます。
次の章では、思春期の脳の働きや発達特性の観点から、なぜ友達関係がうまくいかない中学生男子が増えているのかをわかりやすく解説します。
2.中学生男子の友達つきあいが難しい理由とは?思春期と発達特性の影響
思春期の中学生が友達関係につまずきやすい背景には、「思春期特有の友達関係の変化」「発達特性による考え方のクセ(白黒思考)」の2つが関係しています。
◆①思春期特有の友達関係とは?
友達関係は年齢とともに変化します。
・幼児期(3〜4歳):気の合う子と一緒に遊ぶ
・小学校低学年(5〜6歳):リーダー役が出てきて、同じ行動をする仲間で固まる
・高学年(10歳前後):好みや考えが一致する仲間で集まる
・中学生:お互いの考えや気持ちを尊重し合いながら行動する仲間へ
しかし最近は「尊重し合う段階」への移行が遅れ、思春期でも「同じ好みの仲間だけで固まる」傾向が強まっています。
そのため、違う考え方をする子を排除する動きが起きやすく、結果として「輪に入れない」「何を話していいかわからない」と孤立してしまうケースが増えています。
特に友達関係がうまくいかない中学生男子は、こうしたグループの中で自分の居場所を見つけにくくなり、時には「学校に行きたくないストレス」につながることもあります。

◆②発達特性による白黒思考の強さとは?
発達特性のある子は「白黒思考(極端な捉え方)」が強く出やすい傾向があります。
・冗談を真に受けてしまう
・「一度無視された=もう一生友達じゃない」と思い込む
・自分から距離を取ってしまい、気づけば孤立している
これらは脳科学的に見ると、思春期は前頭前野(感情をコントロールする部分)が未発達で、扁桃体(不安や恐怖を感じる部分)が過敏に反応しやすいため、否定的な解釈や不安が強まりやすいのです。
そのため、友達関係がうまくいかないと感じる中学生男子は、ちょっとした出来事でも「もう学校に行きたくない」と思い詰めてしまうことがあります。
このように「思春期特有の友達関係」と「発達特性による思考のクセ」が重なると、子どもは友達づきあいに悩みやすくなります。
だからこそ、親が「子どもの考え方のクセ」を理解し、安心できる声かけをすることが大切です。
次では、友達関係がうまくいかない中学生男子が笑顔を取り戻せるように、親ができる具体的なサポート方法をご紹介します。
3.友達関係がうまくいかない中学生男子が安心できる!親の関わり方と声かけの工夫
友達関係がうまくいかない中学生男子にとって大切なのは、「心地よい距離感」を自分で見つけていくことです。
友達との関係に悩みすぎると「学校に行きたくないストレス」にもつながりやすいため、親が子どもの思考の偏りをやわらげ、安心できる環境をつくることが欠かせません。
では、親が今すぐできる関わり方と声掛けの工夫を3つ紹介します。

◆①子どもの考えに共感する
白黒思考が強い子は「自分が間違っているのかも」と思うとパニックになり、攻撃的な態度をとることがあります。
そんなときは、頭ごなしに否定せず、まずは気持ちを受け止めてあげてください。
NG:「そんなことで怒るな」
OK:「そっか、イラッとしたんだね。何があったの?」
共感的に受け止めてもらえると、脳内で“安心ホルモン”と呼ばれるオキシトシンが分泌され、不安が和らぎやすくなります。
◆②子どもの思いを代弁する
発達特性のある子は、感じていることをうまく言葉にできないことが多いのです。
強い口調で「もうええわ!」と言ってきても、落ち着いて代弁してあげましょう。
声掛け例:「なんかモヤモヤして話す気にならない気分なんかな?」
親が代弁することで、子どもは自分の気持ちを整理しやすくなります。
気持ちを言葉にできると、前頭前野(感情を整理する部分)が働き、混乱が落ち着きやすくなります。
◆③他人目線で気持ちを考える会話
好きなYouTuberやキャラクターを使って「もし〇〇だったらどうする?」と問いかけると、自然に他人の気持ちを考える練習になります。
声掛け例:「仲間に入れてもらえない子がいたら、ヒカキンだったら何て言うかな?」
他人の気持ちを想像することで、自分の気持ちも話しやすくなります。
こうした会話は“共感脳”とも呼ばれる前頭前野や側頭葉を刺激し、社会性を育む土台になります。
日々の会話の中で、親が「共感」「代弁」「他人目線の会話」を意識するだけで、子どもは少しずつ思考の偏りをやわらげ、友達関係がうまくいかないと感じる状況から抜け出す力を育てていけます。
私自身も息子との会話でこれらを意識した結果、担任の先生から「特定の友達はいないけれど、常に周りに声をかけてくれる子がいて孤立していない」と言っていただけました。
親は「友達を作らせる」ことよりも、「安心して人と関われる環境を整える」ことが最大のサポートです。
学校に行きたくないストレスを抱える前に、家庭で安心できる声掛けを積み重ねることが、子どもが笑顔で過ごす第一歩になります。
まずは今日から、ひとつだけ声掛けを変えてみませんか。
友達関係に悩む子どもの親のサポート法を動画でご紹介!
友達関係に悩む中学生男子と親のサポートに関する質問(FAQ)
Q1:友達関係がうまくいかないと学校に行きたくなくなる?
A1:必ずしもそうではありません。 ただし「体調不良を訴える」「学校の話を避ける」などのサインがある場合は、ストレスが強まっている可能性があります。
詳しくは 学校がつまらないを解消する方法 を参照。
Q2:親が「友達を作りなさい」と言うのは逆効果?
A2:はい。プレッシャーになり逆効果です。大切なのは「友達を作らせる」ことよりも「安心して人と関われる環境」を整えることです。 詳しくは 気にし過ぎ中学生男子の心の処方箋 にまとまっています。
Q3:親はどんな声掛けをすればいい?
A3:否定せず共感することが大切です。「そう感じたんだね」と受け止める。「今日はどんなことがあった?」と聞く。「一人で過ごすのも悪くないよ」と安心感を伝える。
具体例は “思春期を 乗り越える親の対応法 をどうぞ。
執筆者:平野 可奈子
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)