ADHDの子どもが夏休みの宿題に取りかかれずガミガミ言ってしまった経験はありませんか?お子さんは宿題を「やらない」のではなく「できない」のかもしれません。この記事ではママが常識を手放すことで夏休みの宿題がスムーズに進む方法を紹介します。
【目次】
1.夏休みの宿題を先延ばしでやらないADHDの息子
注意欠陥多動性障害(ADHD)の子を育てていると、夏休みの宿題に全然手をつけずにイライラモヤモヤした経験はありませんか?
私も同じ悩みをもつママでしたが、宿題に対する当たり前を手放したことで、親子で笑顔で宿題に取り組むことに成功をしました。
私にはADHD傾向に加えて、境界知能で勉強が苦手&大っ嫌いな小学生の息子がいます。
日々の宿題ですら「なかなかやらない」「時間がかかる」「泣いてプリントをぐちゃぐちゃにする」とやらせるのに一苦労なのに、夏休みの膨大な宿題を目にすると「こんなのムリ!」と叫びたくなるのは私のほうでした。

そんな日々から解放されようと、小2の夏、「ご褒美大奮発作戦」や「全部できなくてもOK」にして、「宿題=嫌なもの」というイメージを払拭する試みに挑戦しました。
宿題に対してポジティブなイメージを持てるようになったことで、やる気のスイッチが入りやすくなり、サクサクと進めることに成功!
2学期からの宿題も、今までよりもスムーズに、時には自分からやり始めることも出てくるようになったんです。
2.ADHDの子が宿題に取りかかれないワケ
ADHDの子が夏休みの宿題をやらないで先延ばしにするのは、怠けているのでもわがままでもありません。
やりたくても頑張れない、脳の特性からくる理由があります。
◆優先順位がつけられない。
ADHDの子どもは「今やるべきこと」と「後でいいこと」の判断や切り替えがとても苦手です。
頭では「宿題をやらなきゃ」と分かっていても、目の前にあるゲームやテレビといった「楽しいもの」に意識が奪われ、宿題への意識が後回しになります。
また、やることが多すぎたり、何から手をつければよいか分からないことも多く、混乱してしまい結果的に宿題に取りかかれないこともあります。
◆報酬系の働きが弱い
私たちの脳には「やったらいいことがあるぞ、やってみよう!」と、やる気を出す「報酬系」というしくみがあります。
しかしADHDの子はこの報酬系の働きが弱く、「宿題が終わったらスッキリする」といった未来のご褒美を想像して頑張ることが難しいのです。
だからこそ、「目の前の楽しいこと」に惹かれてしまいがちで、宿題は常に先延ばしになります。

◆宿題の量や難易度がその子に合っていない
学校の宿題は、基本的に全員一律。けれど子どもによって「ちょうどいい量」「ちょうどいい難しさ」は違います。
特にADHDの子にとっては、見通しが持てないほど多い量や、理解しにくい内容は「どうせムリ」と感じやすく、取りかかる前から気持ちが萎えてしまいます。
また、「毎日出されるプリントをこなすだけ」で精一杯な子にとっては、それが積み重なると大きな負担に感じてしまうのです。
このように、宿題を先延ばしにして取りかかれないのは「怠けている」のではなく、脳の特性や環境によるもの。
次の章では、ADHDキッズの夏休みの宿題が進みやすくなる、非常識だけど効果的なママの対応を紹介します!
3.宿題がサクサク進む!非常識なサポート方法
ママが「当たり前」を手放すことで、宿題へのハードルが一気に下がります。
この章では私が行った夏休みの宿題のサポート方法を紹介します!
◆やり始めを手伝う
脳は車と同じで、エンジンをかけて動き出すまでにエネルギーを使います。
宿題に取りかかってしまえば案外スルスルっといくのに、やり出すまでのエンジンがなかなかかからないんです。
なので、宿題はママがどんどん手伝ってあげましょう!
「机を片づける」「ノートを出す」といった最初の一歩をママが一緒にやるだけで、始めるハードルがぐっと下がります。
◆ご褒美大奮発作戦!
「宿題=嫌なもの」というイメージを払拭し、ポジティブな印象をもってもらうためにご褒美を大奮発!
「宿題やったらお得!」と思えるような提案を繰り返しました。
・ファミレスで宿題
自分で決めたところまでやったらドリンクバーおかわりOK!
最後にはケーキを食べる。
・宿題終わったら、ゲームセンターで「電車でGO」
めったにできないゲームを楽しみに頑張る!
・宿題終わったらアイス
こちらも普段は食べないちょっと高いアイスを楽しみに!
・宿題終わったらお父さんと電車でおでかけ
などです。
これは夏休みという期間限定だからできたことでもあります。
お楽しみがあることで、普通にやると半ページすらダラダラと時間がかかるのに、あっという間に3ページ!なんて日もありました。
「これやったら○○しよう!」と、自分で自分に楽しみを提案して頑張れるようにもなりました。
「ご褒美がないとやらなくなってしまうのでは?」と心配になるかもしれません。
けれど、ママの「頑張ったね!」「さっすが!」「もうできちゃったの!!」と「言葉のご褒美」を必ず伝えていれば、行動が習慣化されてご褒美なしでもできるようになっていきます。

◆「全部やらせないと!」を手放す
宿題の量は「これだけならできそう」と思えるレベルまで減らすことも大事です。
1日にやる量は、私の息子は「漢字1文字1回、計算3問」でスタート。
そこから「できた!」という成功体験と「これなら明日も頑張ろうかな」と次へのモチベーションを保つことができました。
先生との相談も必要になってきますが、夏休みの宿題全部をできなくても、「できたこと」に目を向けて声かけをすることで、「できなかった」ではなく「頑張れた」記憶にすることができます。
いかがでしたか?ちょっと非常識かもしれませんが、どれも脳科学の視点からみると効果的な方法です。
ADHDの子には、「やる気がない」のではなく、「やるための工夫」が必要なんです。
この夏は、宿題を「やらせる」から「やりたくなる」楽しい作戦を立てて、親子で笑顔の宿題タイムを目指してみませんか?
お母さんが声かけを変えるだけで、子どもがぐんぐん伸びるヒントをお伝えしています!
執筆者:若月綾
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)
(発達科学コミュニケーションアンバサダー)