「小学校入学までにひらがなが書けた方がいいか?」「自分の名前くらいは書けた方がいいか?」発達障害・グレーゾーンの子どものお母さんは、発達の遅れが気になるからこそ心配になりますね。実際はどうなのか?小学校の先生20人に聞きました。 |
【目次】
1.発達障害・グレーゾーンの子どもは、読めるけれど書くことが苦手
「ひらがなは読めるけど書くことができません。このままで大丈夫ですか?」という質問をよく耳にします。
発達障害・グレーゾーンの年長さんのお母さんには、気になることのひとつですね。
私は、20年ほど作文教室で年長児から高校生までの子どもたちと作文を書いてきましたので、たくさんの子どもたちの文字を見ています。
かなり早いうちから練習をして上手に文字を書く子もいれば、3年生でも18マスのノートの枠に文字がはまらない子もいます。
また、他人には判読不明だけれど自分とお母さんにだけわかる文字を書く年長児もいます。
いろいろな子どもたちと一緒に作文を書いていますが、やはり、発達障害・グレーゾーンの子どもは、文字を書くことが苦手だなぁと感じることが多くあります。
それは、細かく手指を動かすのが苦手、目で見たものと手の動きをうまく合わせられないという発達の遅れが大きな理由です。
また、集中することが難しければ、「書く」体験が不足している場合もあるでしょう。
私の作文教室では、文字が書けなくても、自分の気持ちやできごとを文章にする練習ができます。
それは、文章を書く練習は、会話で進めることでもできるからです。
ですから、 「ひながなを入学前に書けたほうがいいですか?」という質問に対しては、「それにこしたことはないけれど、無理せず楽しく練習すればいいのでは?」
これが私の考えです。
2.小学校の先生は、発達の遅れをこんなふうに受け止めている
では、学校ではどうでしょう?
公立小学校の先生20人にインタビューしました。
「入学前にひらがなが書けた方がいいですか?自分の名前くらい書けた方がいいですか?」
はいが2人。いいえが18人でした。
20人中2人の先生は、
“ほとんどの子が書ける状態で入学してくるから、書けた方がいいです。”
とおっしゃいました。
しかし、20人中18人の先生が
”書けなくても大丈夫ですよ~。入学して最初の1週間は、一人ひとりの名前のお手本を作ってあげて、毎日練習しますから大丈夫。”
とお返事をくださいました。
”むしろ変なくせがついていない方がいいくらいですよ。”
”発達の遅れが心配な子も、1年生の1月は書けていますよ。”
”書けなくても、読めた方がいいなあ。ロッカーや下駄箱など、ひらがなで名前が書いてあるから。”
”下の名前は書けているといいかも。6月末くらいにひらがなの学習が終わるけれど、それまでにもプリントをたくさんやるから、名前を書く場面がいっぱいありますよー。”
このようなヒントもくださいました。
1年生の先生は、「ひらがな」を学校でしっかり教える準備をしています。「名前のお手本」を作って待っていてくださっているのです。
しかし、書けなくても大丈夫派18人全員の先生が、
”~でもね~……。”
と、続けました。
”多くの子が書ける状態で入学してくるので、その中で自分だけが書けないとなるとやはり自信をなくします。そこのフォローをお母さんたちにもお願いしたい!”
ということでした。
それが、18人の先生の共通のお返事です。
先生方も、発達障害・グレーゾーンの子どもの発達の遅れを、どうにかカバーしてあげたいと常に考えています。
「書けた方がいい」とおっしゃった先生も、学校で教えてくださる準備は万端です。
ただ、多くの子どもが書ける状態なので、書けないことで自信をなくさないために「書けた方がいい」というご意見でした。
つまり「書けなくても大丈夫」と同じです。
小学校入学までにひらがなや自分の名前が書けなくても大丈夫なように先生は準備してくださっていますが、やはり、まわりを見て「自信をなくす」のではないかという懸念は誰もが持っています。
そうであれば、「書けなくても大丈夫だけれど、できることはいっぱいある!」と考えた方が良いと思いませんか。
なぜなら、発達障害・グレーゾーンの子どもの脳をぐんぐん成長させるには、子どもに自信を持たせること。自己肯定感を高くしてあげることが大事だからです。
自信をなくす要素を少しでも減らしてあげたいですね。
子どもは自信を持って行動すればどんどん新しいことにチャレンジする。
そして、脳が発達していくからです。
3.お母さんと楽しく練習してみよう
楽しくお母さんとおしゃべりしながら、少しでもひらがなが書けるようなったら、小学1年生のスタートが楽になりますね。
お母さんがお子さんの手を持ってあげて一緒にひらがなを書いてあげてください。
このときに、お子さんがえんぴつやクレヨンなどをむやみに握りこむのではなく、きちんと筆記用具を持つ持ち方で持たせてあげてください。
そして、お母さんがお子さんの後ろに座り、お母さんの手でお子さんの手を包み込むようにします。
お子さんが文字を書くときの指関節の動きが正しくできるように、お母さんが指を動かして伝えてあげてくださいね。
お子さんは、どのように指を動かせば文字を書けるのかを感じることができますし、正しく筆記用具を持つこともできるようになります。
お母さんがやさしくお子さんの手を包み込んであげるというのは、お子さんにとって安心できる素敵な時間にもなりますね。
何回かやっているうちに、お母さんの手を動かさなくてもお子さんがひらがなを言いながら自分で手を動かすようになるでしょう。
そのことで、お母さんにも「この子は『あ』は理解したな。」などということがわかります。
ぜひ、親子で楽しくコミュニケーションをとりながら遊んで、文字を書くことに親しんでくださいね。
入学までにひらがなが書けなくても大丈夫です。
小学1年生、楽しみですね。
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ここのひなた
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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