不安の強い発達障害の子どもは、失敗を恐れていることが多いです。不安があらゆる場面で強いこだわりとなって行動が制限され、生きづらさを感じていることさえあります。そんな子どもの「失敗への恐怖」を解消する親子のコミュニケーションをお伝えします。 |
【目次】
1.発達障害の子どもはこだわりが強いことが多いです
発達障害の子どもの特性の一つにこだわりの強いことが挙げられます。
・少しでも苦手意識を持っていることには、絶対に取り組もうとしない
・ゲームなどで必要以上に勝ちにこだわる
こんなお子さんの様子に悩んでいる方もいるかもしれませんね。
こだわりが強くなる原因として、
・失敗するのが怖いから
・過去のネガティブな記憶が強く残っているから
・臨機応変な対応が難しく、同じパターンの行動に安心を覚えるから
・思考の偏りがあり、融通を効かせるだけの選択肢を持てないから
・不安が強く、自分自身を守るための防御機能が働くから
・完璧主義な周りの大人に影響を受けているから
など他にもたくさんあるかと思いますが、これらが強く働き、こだわりとなって表れることがあります。

本来、こだわりを持つことは悪いことではありません。しかし、こだわりが増えていくと、自分自身を苦しめるガチガチの完璧主義へと成長していきます。
周りも、まして本人も困惑するほどのこだわりは、なんとか解消してあげたいですよね。
今回は、不安の強い発達障害の子どもに多い「強いこだわり」を親子のコミュニケーションで和らげる方法をお伝えします。
2.不安が強い子どもに必要なこととは?
発達障害の子どもで不安の強いタイプは、失敗を恐れる傾向があります。
何をするにも「間違えたらどうしよう…」「失敗したらどうしよう…」と不安になり、行動が制限されてしまうことも。
不安の強い子どもも本来の気持ちの上では、「面白そうだな、やってみたいな」と思っていたりします。しかし、いざ行動するとなると失敗への不安が出てきて、やらずに終わってしまうことも…。
やりたい気持ちがあるのにもかかわらず、行動せずに終わってしまうことはもったいないですよね。
我が家の娘に実際にあったことをお話しします。
幼稚園のお友達と初めて行く公園で遊んでいるときに、お友達が遊具に誘ってくれました。初めて行く公園なので、もちろんその遊具も初めてのものです。
大好きなお友達が誘ってくれたこともあり、娘は本当はやりたかった様子。
しかし、「やらない!」と断っていたのです。帰宅してから娘に聞いたら、「できないと嫌だからやらなかった」とのこと。
娘は失敗することへの強いこだわりがあります。やりたい気持ちよりも「失敗したら嫌」という気持ちが先行してやらなかったのです。
親としては「やりたい気持ちがあるのに、もったいないな。不安が先にくるのはどうにかしてあげたい。」と強く思った出来事でした。
失敗そのものが悪いことではないですし、失敗して学ぶことがあるからこそ次へつながることもたくさんありますよね。
発達障害やグレーゾーンの子どもへは、絶対に失敗させないこと、失敗しないよう環境を整備してあげる必要がある、というのはよく言われることですよね。
これは、発達凸凹の子どもはネガティブな感情が蓄積されやすい傾向にあるので、今後の行動を邪魔しないよう失敗をさせないほうが良いということです。

しかし、子どもの成長に伴いずっと親が環境を整備してあげることは不可能。
できることなら、多少の失敗をしても自分で乗り越える力をつけてほしい!失敗しても良いんだ!ということも選択肢に入れて欲しいですよね!
実は、子どもに「失敗しても大丈夫」と思ってもらうカギが、お母さんとのコミュニケーションにあるんです。
3.失敗への恐怖を解消する親子のコミュニケーションとは
発達障害のお子さんの強いこだわりを解消するコミュニケーション方法とは、お母さんの失敗談をお子さんに話すこと!です。
お子さんの不安や強いこだわりに共感するように、お母さんの過去の失敗談を話してあげることなんです。
例えば、
「失敗することって嫌だよね。お母さんも子どもの頃、逆上がりができなくてたくさん失敗したんだよ」
「お母さんも〇〇したら失敗しちゃってね。でも、次はこうしようって思ったらできるようになったんだよ」
という感じです。
間違っても「お母さんはそんなこと子どもの頃にできたわよ!」とお子さんに言ったりしないでくださいね。

子どもに本当に伝えたいことって、失敗や恥ずかしい経験など人にあまり言いたくないことだったりすることも多いものです。
その言いたくないことをあえてさらけ出し、お子さんの気持ちに共感するコミュニケーションをとることで、失敗への不安や強いこだわりを少しずつ解消してあげられるのです。
子どもにとって一番身近なお母さんもたくさん失敗しているよ!と話すことで、「失敗しても大丈夫なんだ」ということをお子さんに伝えてあげてくださいね。
たとえ失敗しても、行動することで解決策を学ぶことができます。これを繰り返すことで、失敗したときの対処法や乗り越え方を身につけることができますよ。
発達障害のお子さんの失敗することへの強いこだわりを緩和させるコミュニケーションで、行動につながるよう働きかけてあげましょう。
不安の強い発達障害・グレーゾーンのお子さんへの対応をお伝えしています
執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)