発達障害があっても新入学の不安はない!自閉症スペクトラム・新小1ママの就学準備

発達障害・自閉症スペクトラムで知的発達に遅れのあるわが子は支援級と普通級どちらがいいの?そんな悩みから早い時期に就学準備を始めた新小1の男の子ママにお話を聞きました。やりきったママの「不安は何もない!」就学準備についてお伝えします。
 

【目次】

 

1.知的発達に遅れのある発達障害・自閉症スペクトラムの子には支援級・普通級どちらがいいの?

 
 
発達科学ラボのSさんは、自閉症スペクトラム軽度知的障害の診断がある保育園年長の男の子のお母さんです。息子さんは知的発達に遅れがあるため、保育園では加配対象です。
 
 
はじめは迷うことなく支援級を予定していたそうですが、就学準備を進めるうちに支援級か普通級か?の迷いが出てきたそうです。
 
 
息子さんの特性や、入学前に心配していたこと、また実際にどのような就学準備をされてきたのかお話をお伺いしました。
 
 

ーーお子さんの発達特性について教えてください。

 
 
「不安が強い、衝動性が高い、集中力が短い、怒りっぽくて感情のコントロールが難しいなどがあります。コミュニケーションが一方的だったりと社会性の課題が大きいですね。運動が苦手で手先の不器用さもあります。」
 
 

ーーお子さんの新入学で心配していたことはなんですか?

 
 
学習面でも遅れが出るだろうと思っているので、まず読み書きは心配です。さらに、お友達とのコミュニケーション上のトラブルも多いので、学校になじめるかも不安でした。
 
はじめは、当然支援級にいくものだろうと行動していたのですが、いろいろと調べるうちに、途中から普通級か支援級かで悩みはじめました。」
 
 

ーー入学前に就学相談は受けられましたか?

 
 
「今住んでいる地域では、支援級を希望するなら就学相談を受けないといけない流れになっています。そのため5月ごろに市がやっている説明会に参加し、就学相談を予約しました。
 
就学相談では、母親への簡単な聞き取りテストをしましたが、これで何がわかるんだろうと思いました。入学は半年以上先のことなのに、今の時点でできるできないをチェックして振り分けてしまっていいのか?と、モヤモヤしました。
 
『ひらがなは書けますか?』や『時計は読めますか?』など、それは小学校でやることなのに、今できないと”できない子”に振り分けられることに違和感を感じました。」
 
 

ーー普通級か支援級か迷いはじめたきっかけはなんだったのですか?

 
 
発達障害があるのだから当然支援級だろうと思い込んでいました。しかしたまたま支援級の経験が長い先生方3名と食事をする機会があって、全員から『普通級の方がいい!普通級で大丈夫!』とおっしゃっていただき、『え、普通級でもいいの?』という気づきからです。」
 
 
ーーー
 
 
教育委員会の就学相談を終えてから約2ヶ月後、「特別支援学級、自閉・情緒クラスが妥当」と言う判定が出たそうです。
 
 
でもSさんは、発達障害があるからとか、支援級なら手厚くて安心だから、というだけで支援級を選んでよいものか?子どもの可能性を信じて、限界を決めずにチャレンジするなら普通級の方が良いのではないか?と思うようになりました。
 
 
そして教育委員会への返答期限までに、さらに小学校調査を進めていきました。
 
 

2.地域の小学校の特別支援教育に”違和感”を感じて選択肢を広げる

 
 

ーー小学校についてたくさん調べられたことと思います。具体的にどのようなことをされてきたのですか?

 
 
「学校訪問したり、個人的な知り合いの小学校の先生に相談したり、他地域の学校見学へも行き、インクルーシブ教育推進団体の講演会に参加し、その団体の方にも相談したりしました。」
 
 

ーーいろいろと動かれてきたのですね。小学校での面談はいかがでしたか?

 
 
「入学予定の小学校で普通級と支援級の見学をし、校長先生とも面談をさせていただきましたが、学校の特別支援教育に不安を感じました。交流級はもちろんあるのですが、普通級と支援級がけっこうハッキリと分けられていて、なんだか垣根がある感じがしました。
 
『普通級も考えています』と伝えましたが、『そうですか、支援級だと手厚くなりますが、普通級でお子さんは大丈夫ですか?』と言われただけでした。
 
息子の特性や何に困っているかなどについては聞かれもしませんでしたね。『じゃあよく考えてまたご連絡ください』、と15分程度で面談は終了しました。このとき”ここに預けるのは不安だな”と夫婦共に感じました。」
 
 
ーーー
 
 
地域の学校見学や先生方との面談を終え、お話しいただいたことと実際に見て感じたことに違和感を感じたというSさん。この時点で”引っ越しした方がいいかも”と思われたそうです。
 
 
近隣の小学校も候補に入れて就学先を探しはじめた、その後のことをお話しいただきました。
 
 

 
 

3.引っ越してまで他地域の小学校を選ぶ理由

 
 

ーー小学校入学のために引っ越すことにはご主人にもすぐに理解してもらえたのですか?

 
 
「入学予定だった小学校にも主人に一緒に行ってもらえたことが理解を早めたと思います。主人も一緒に『ここはないな』と違和感を感じてもらえたことは大きかったです。
 
就学準備はお母さんだけがメインで動くと思いますが、後から会話だけで説明されるのは理解が難しかったと思います。他地域の小学校も一緒に見てもらって決めました。」
 
 

ーー他地域の小学校についての情報収集はどのようにされましたか?

 
 
「児童発達支援、保育所等訪問支援でお世話になっている民間の療育先の先生、また、実際にお子さんが入学しているママにもお話を伺って情報収集しました。
 
 
学校にも足を運び、校長先生、管理職の先生や支援級の先生方にもお話を伺いました。
 
 
普通級、通級指導、支援級の場合で、それぞれどのようなフォローがあるのか、通級指導を選択した場合にはどの程度の頻度でどのような対応をしていただけるのか、
 
支援級を選択した場合には、普通級との交流はどの程度あるのか、支援級から普通級に転籍するケースもあるのかなど、疑問に思っていたことは先生方との面談でクリアにしました。」
 
 

ーーお子さんに合いそうな学校を選ぶときには、療育先の先生が協力してくださったのですね。

 
 
「はい。療育の先生にヒアリングしてピックアップした、他地域の小学校2つの見学の際には、教育委員会の特別支援教育の担当の方が一緒に見て回ってくださいました。
 
学校への連絡もしてくださって、学校との連携が取れているところもよかったです。こじんまりとした市なので、割と教育委員会と学校との距離が近くて安心感がありました。そこもポイントが高かったです。
 
そして、教育委員会の担当の方にも「息子さんは普通級の方が良さそうですね」と言っていただけたことが自信につながりました。」
 
 

ーー就学のことを考えてお引っ越しを決意されたそうですが、それってすごいことですよね!

 
 
「インクルーシブ教育についても調べ始めるうちに、現在住んでいる市は特別支援教育に対する考え方が遅れていると感じました。それは政治的なこと、歴史的なことが背景であることもわかりました。
 
引越しについても主人の理解も得られ、たくさんの方のご協力もあり、『ここに通わせたい!』と思える学校が見つかりました。いろいろありましたが結論的には、息子にとって現時点でベストな選択をしたいと考え抜いた結果です。
 
子どもの特性に合った環境が選べたらいいなと思い、インクルーシブ教育の環境を選びました。普通級でまずはお友達を作って、集団行動になじんで欲しいと思っています。
 
この先、普通級から特別支援級に籍を移すことも検討が必要なタイミングが来るかもしれません。
 
しかし支援級を選択しても隔離されることなく、籍は移ってもこれまで通りお友達と一緒に過ごしながら、支援の先生が隣について授業中サポートしてくださるという環境が決め手になりました。
 
勉強よりも、社会性やコミュニケーションがとれることを重視したいと思いました。」
 
 
ーーー
 
 
教育委員会からは「特別支援学級、自閉・情緒クラスが妥当」との判定になったのですが、返答は保留にし、就学に関する不安や疑問について追求し続けた結果Sさん。
 
 
ようやく安心して預けられる小学校が見つかり、隣町へ転居することをご決断されました。
 
 

 
 

4.あちこち奔走した入学準備で手に入れたのは情報だけじゃない!

 
 

ーー入学目前のお子さんの今の心境はいかがですか?

 
 
「小学校に行くこと、引っ越しをするのはわかっていますが、どこまで実感として理解しているのかはわかりません。引っ越し後に少し変化が出てくるかもしれません。
 
お友達関係には不安があるようですね。小学校で友達ができるといいね、という話をすると『できへんもん』『すぐけんかするから』と言います。
 
衝動性が高く、気持ちのコントロールが苦手なので、園のお友達とのトラブルも度々ありましたが、『自分のことをわかってくれて、仲良くしてくれるお友達が1人か2人でもいれば十分なんだよ』と話しています。」
 
 

ーー入学目前のお母さんのお気持ちをお聞かせください。

 
 
「やることはやった!学校で問題はきっと起こるだろうけど、そのときそのときに解決していけばよい、と思っています。学校に入ってみないとわからないことばかりなので…自分でやれるだけのことはやり切ったと思っています。」
 
 
ーーー
 
 
やり切った!と話して微笑むSさんが清々しくて、とことん理想の教育を追求して動いてこられた姿勢がとても素晴らしいなと思いました。
 
 
小学校で起こるだろう問題も含めて、今は息子さんの入学が楽しみでしかなく、不安はないそうです。やり切った!という自信が、新入学の不安を吹き飛ばしたのですね。
 
 
Sさんのように、子どもを安心して通わせることができる環境を求めて、引っ越しまでできるご家庭はレアなケースかもしれません。
 
 
でも地域の学校にそのまま入学させることに対して不安を抱えたままにせず、様々な可能性を求めて奔走してきたお母さんの行動力には脱帽です。
 
 
さらにその過程でつながったご縁、力を貸してくれるたくさんの人たちとの素敵な出会いもありました。
 
 

ーー最後に、Sさんからこれだけはお伝えしたい!ということはなにかありますか?

 
 
「就学のことで、こういうことが不安で困っている!と周りに打ち明けたら、情報をくれたり、人を紹介してもらったりして、個人的に小学校の先生とも知り合うことができました。
 
子どもに発達障害があることも同時に打ち明けることになるので勇気が要りましたが、結果、助けてくれる人がたくさんできたので、本当に話してみてよかったです!
 
就学についてもひとりで悩まず、周りに相談する勇気を持って欲しいな、と思っています。」
 
 

ーーありがとうございました!!

 
 
Sさんが発達科学コミュニケーション(発コミュ)を学び始めてからのこの1年、息子さんの成長はとても大きいものでした。
 
 
年少〜年中の頃は集団活動の全てにおいて遅れがみられ、学校行事への参加もうまくできず、先生がべったりとそばについてなんとかできている状況だったそうです。
 
 
それが今では、ほとんど補助の先生がかかわらなくても活動ができています。行きしぶることも全くなくなり、衝動性からくるお友達問題も減って、集団生活での困りごとは発コミュで大きく改善されたそうです。
 
 
今の姿は年少の頃には想像もつかなかったといいます。
 
 
子どもの脳を伸ばすコミュニケーションを身につけ、自分の手で我が子を発達させてきたこの1年のママの成長も大きいのではないかと感じました。
 
 

 
 

5.準備はOK!ワクワクした気持ちで入学を迎えましょう

 
 
この春に就学を控えた年長さんのお母さんは、それぞれ入学準備を進めてこられたことと思います。
 
 
入学に合わせて生活リズムを整えたり、苦手なことを一緒に練習している方もおられると思いますが、お子さんが小学校に通うことを楽しみにしていれば、今はそれだけで準備はバッチリOKだと思います。
 
 

 
 
過度な心配は、お子さんにも伝わります。入学において親の心配や不安などのネガティブな要素は、ポジティブな声かけで排除しておきたいですね。
 
 
まだできていないことや、今の時点でハードルが高いと思われることは無理させず、入学まではワクワクした楽しい気持ちで毎日を過ごしてほしいなと思います。
 
 
新しい環境が苦手なお子さんは学校が始まってから、変化が出てくるかもしれません。
 
 
誰よりもお子さんのことをわかってあげられるのはお母さんです。入学後、もし何かにつまずくことがあっても、お子さんの様子をよく見ていれば、お子さんの行動や体に出るサインに気づけるようになります。
 
 
学校で不安なことがあっても、「何があっても大丈夫だよ」いうことを日頃から伝えてあげたいですね。
 
 
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執筆者:月野恵美子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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