息子は発達障害ADHD傾向がある小学2年生です。一人っ子なので私と二人で買い物に出るのですが、スーパーの中で走ってしまいます。危ないのはカートを持って走ることです。やめなさい!と何度も注意しているのに言うことを聞きません。どうしたら良いでしょうか?
8歳・男の子のママ
うちの息子も発達障害、ADHD傾向があり、低学年のときは一緒にお買い物に行っていました。人がいないからと走ったり、カートで暴走した経験あります。注意してもお願いしても言うことを聞かないんですよね。でも息子との会話を工夫することで、一変してお買い物上手に!その方法をお伝えしますね。
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 秋村若菜
【目次】
1.スーパーで走る!カートを持って暴走する息子
2.発達障害、ADHD傾向の子どもはなぜ言うことを聞かないのか?
3.走るよりも大切なミッションがある!
① 買い物は僕にとって必要なことだった
② 子どもと一緒に歩けるようになる会話
③ 子どもが買い物に付き合うのは当たり前ではない
4.会話を工夫してお買い物上手に!
1.スーパーで走る!カートを持って暴走していた息子
緊急事態宣言も発令され、休校が長引いています。不要不急の外出を控えるため、ネットスーパーを利用するのが理想ですが対応地域は限られていますよね。
お母さんは家族のためにお買い物されると思いますが、低学年の子を一人でお留守番させるのは不安になりますよね。
質問者さんの状況、とっても分かります。うちの息子は今、中学生になり落ち着いていますが、低学年のときは暴れん坊でした。
人がいないスペースを見つけるとカートでダッシュ。人とぶつかりそうになると急ブレーキ!
私は人とぶつかったり、商品を倒してしまうといったトラブルも、息子が周りの人から怒られることが本当に嫌でした。
息子の行動に耐えられなかった私は、厳しい口調で注意して叱っていました。
しかし、注意しても聞いてくれるのは5分だけ。そのうち私は、カートで走っている息子のことを他人のフリをして買い物することにしていました。
2.発達障害、ADHD傾向の子どもはなぜ言うことを聞かないのか?
息子が低学年の頃、とにかく落ち着きがなく、家でも外でも常に動き回っていました。指示をされてもすぐに忘れてしまうので、周りから注意されることが多かったです。
これらは注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向の特性によるものです。
お買い物の場面でも、何度も注意されているのに忘れて走ってしまう。ついカートで遊んでしまうのもADHDの特性によるもので、叱って解決できるものではありませんでした。
親の買い物に付き合う、と言うことは私の中では同じペースで一緒に歩くことでした。子どもにとっては集中力を要します。夕方疲れている状況での音や光の刺激いっぱいの食品売り場は、息子にとって集中し難い環境です。
そもそも親と買い物なんて、息子にとっては面白みがなくて退屈だったのです。
子どもの脳は退屈がいやなもの。つまらないから、つい走ったりカートで遊んでしまうのです。
3.走るよりも大切なミッションがある!
怒ってばかりいた私は、息子を変えるのではなく、私が考え方や対応を変えないといけないと思うようになりました。つまらなくて走るならば、息子を飽きさせないよう役割を与えることにしました。
◆① 買い物は僕にとって必要なことだった
買い物へ出かける前に、時間をとって息子と話をしました。
・息子の好きなメニューを夕食にするということ
・どんな食材が必要なのか、一緒に考えて欲しいということ
の2つを伝え、買うものリストをメモに書き、息子に持ってもらいました。目的を持って買い出しへ出発です。
お店に向かう途中、お母さんと一緒に歩いて欲しいんだと伝えます。「分かっているって知っているんだけどね」と前置きをすると、聞く耳を持ってくれました。
当時、息子が大好きだったのはホワイトシチュー。メモした食材を早く買って、早く食べよう!そのためには、カートを押して走り去ってしまっては、必要な食材をカゴに入れられません。レジに並んで支払いすることもできません。家に帰るのも夕飯ができあがるのも遅くなります。
そのことも毎回、息子に伝えました。
美味しいシチューを食べるには、あなたの力が必要なんだと伝え、息子はミッションをクリアするため売り場へ向かいました。
◆ ②子どもと一緒に歩けるようになる会話
子どもの脳は退屈がイヤ。とにかく私は息子を飽きさせないように話しかけました。よく使っていた方法は「息子を頼りにする」です。
売り場を歩きながら「あれ何買うんだっけ?」「なに作るんだっけ?」と聞いて息子に教えてもらいました。短時間で忘れてしまったというふりをしますが、この年齢だと疑わないでいてくれました。
この調子で「にんじん入れていいんだっけ?」「シチューにあと何の具を入れたら美味しくなる?」と聞きました。「コーン入れよう!」と、アイディアを出してくれたら採用します。
「牛乳ってどこにあるんだっけ?」とすっとぼけて聞いてみました。息子に売り場を案内してもらっては「よく覚えているよね〜」「場所とか地図、覚えるの得意だよね」と伝えることで、息子はどんどん売り場の配置を記憶しました。
私はシチューミックスを利用していたので、好きなパッケージのものを息子に選んでもらいました。「どの牛乳にするか?」「美味しそうなジャガイモはどれか?」など、息子は飽きると走り出すので、予防するために相談し続けました。
私に相談されると、頼られていると感じ、真剣に答えを出してくれました。考えて意思を伝え、採用されるという経験を積み重ねていくうちに、お買い物の目的が分かり、面白みを感じてくれていたように思います。
そのうち、前とは違うものを試してみようとアイディアが出たり、お買い得の商品を見つけたりと、まるでお買い物上手になっていくようでした。
◆③ 子どもが買い物に付き合うのは当たり前ではない
このように私は息子へ買い物中、話しかけて刺激を与えていたのですが、目的は走り出さないで私と一緒に行動してもらうこと。そして私からの相談に応じてくれることにも、退屈な買い物に付き合ってくれること自体、感謝がうまれました。
質問や相談だけでなく、「今日もお母さんに色々教えてくれたね」「手伝ってくれてありがとうね」と話しかけていました。
うまくお買い物できていても、急に遊びゼロになった訳ではありません。私が見ていないとき、カートを押して足を乗せてスーッと走っていました。振り向いたらやめたので、私は叱りませんでした。
「もう2年生だもんね、分かっているよね」と、やめられたことに注目しました。今まで私が伝えてきたことを覚えていることに対して、ありがとうを伝えました。
レジが空いているか調査してもらったり、買い忘れがないかチェックしてもらったりと、とにかく会話の連続を心がけ、そのたびに、ありがとうを伝えました。
親の買い物に大人しく付き合ってくれることは当たり前ではありません。頼りないお母さんを助けないと!と言う純粋な想いで、8歳の息子は本当によく頑張ってくれました。ますます息子へありがとうの気持ちで関われるようになりました。
4.会話を工夫してお買い物上手に!
走りたい、と言う衝動的な行動を抑えるのに効果的なのはお母さんとの会話です。私は息子の脳に刺激を与えるためにミッションを作り、頼って相談しては感謝を伝えました。
走って怒られる、という注目でなく感謝の注目を得られると、親に貢献できている感覚になります。
その結果、どんどん進んでお買い物を手伝うようになりました。買う物リストを見て先に選んでカゴに入れたり、別の売り場へ商品を探しに行ってくれました。フロアの配置を覚えているので安心しておまかせできました。
走らないで!と叫びたくなるときも多少ありましたが、ギリギリ急ぎ足のように向かっている姿をみると、頑張ってくれているなぁと感じたものです。自分から「僕、走っていないよ」と申告してくれることもありました。ここは疑わず「分かってるよ!」と返します。
商品を探すために、自分で店員さんへ質問するようにもなりました。お母さんを助ける!という使命感で動くので、質問の仕方も笑えるくらいしっかりしています。低学年の子がたずねてくるので店員さんも優しいです。
相乗効果で息子は堂々と大人と話すトレーニングを重ねていきました。
私がありがとうを伝えることで、息子もありがとうが当たり前になりました。サービスカウンターや、試食させてくれた店員さんへ、ありがとうを言っていた息子。「なんて賢いお子さんでしょう」「どうしたらそんなお子さんに育つのですか?」と言われることはしょっちゅうでした。
一人っ子の親として、私が育てるのはこの子だけ。外で人に迷惑をかけたり、知らない人から怒られたりしないように、私が何とかしないと!とプレッシャーもありました。とにかく私は、買い物に行くという日常の出来事を、他の親子みたいに穏やかに過ごしたかったのです。
大げさに褒めたし、買い物中、何度ありがとうを言ったことか。いい子で手伝ってくれたからとお菓子も買いました。この繰り返しによって、この子はもう外へ連れ出しても大丈夫!と心から思えるようになりました。
周りに頼る人がいないと、家事も子育てもトラブルの対処も全てお母さん。手が足りませんよね。少しでも安心して子育てできるように私の経験を書いてみました。
意識した会話は、効果がありますがエネルギーを要します。今の時期は特に、お母さんは頑張りすぎないでくださいね。お子さんと一緒の時間を楽しめますように!応援していますね!
執筆者:秋村若菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)