「今日、学校はどうだった?」と質問しても 子どもが答えられないことってありませんか?言葉の発達がゆっくりな発達障害の子どもには 難しい質問かもしれません。子どもの学校生活を把握したいお母さんへ、こどもへの質問術について解説します。 |
【目次】
1 発達障害の子どもにとって、「どうだった?」は難度の高い質問です
2 難しくても、子どもに「どうだった?」と質問してください!
3 子どもに「どうだった?」と質問するときのポイント
4 「どうだった?」と質問するなら、子どもにゆっくり考えさせましょう!
5 子どもの質問の返答はすべて受け止めましょう
1 発達障害の子どもにとって、「どうだった?」は難度の高い質問です
いよいよ新学年がスタートしました。
今年度の担任の先生はどうだろう?
クラスの雰囲気はどうだろう?
仲のいいお友だちはできるかな?
新しい環境でうまくやれているだろうか…
クラスの雰囲気はどうだろう?
仲のいいお友だちはできるかな?
新しい環境でうまくやれているだろうか…
発達障害やグレーゾーンのお子さんを持つお母さんにとっては、心配が尽きない季節ですよね。少しでも学校の様子を把握したくて、「今日、学校はどうだった?」と質問していませんか?
「今日は○○やった!」
「すごく楽しかった!」
「次は~~やるんだよ!」
「すごく楽しかった!」
「次は~~やるんだよ!」
こんな風にどんどんお話してくれる子どもなら、お母さんも
「へえ~そんなことがあったの!」
「次の~~はやったことあるの?」
など、質問を重ねてどんどん会話を膨らませていくことができます。
「次の~~はやったことあるの?」
など、質問を重ねてどんどん会話を膨らませていくことができます。
一方で、発達障害やグレーゾーンの子どもで、言語発達がゆっくりなタイプや記憶が苦手なタイプだと「分からない…」 と言って固まってしまうこと、ありませんか?
「どうだった?」という質問は、制約がなく子どもに自由に答えさせるもの。
子どもは自分が思ったことを自由に答えられることができますが、制限がない分、答えの範囲が広すぎてどう答えていいのか分からないこともあります。
子どもが黙り込んでしまう理由はここにあります。子どもに話をしてほしいなら、
「学校で○○した?」
「今日は△△があったでしょう?」
「今日は△△があったでしょう?」
とYes/Noで答えられる質問や、制限を設けて場面を限定した質問をすると答えやすくなります。
「どうだった?」と質問して固まってしまうような子どもには、最初は「Yes/No」で答えられる質問から始めて、質問を重ねることで会話を広げていくといいでしょう。
2 難しくても、子どもに「どうだった?」と質問してください
「どうだった?」と子どもに質問すると黙り込んでしまうから、最初から場面設定した質問にしよう!と思われるお母さんもいらっしゃると思います。
確かに、お母さんが詳細に場面設定して質問を繰り返すことで、子どもがどう過ごしたかを何となく把握することは可能です。
ただ、お母さん自身が場面設定する分、子どもが本当にいいたかったことと合っているかは疑問が残ります。
お母さんに質問されたことのみに答えるのではなく、自分から報告してくれるとお母さんも安心ですし、万が一問題が起こったときに速やかに対応できます。
難しくても、「どうだった?」と質問してしっかり答えられるように子どもの質問対応力を磨きましょう。
そして同時に「お母さんに何を言っても受け止めてくれる」と、子どもが安心して報告できる親子の信頼関係を構築していきましょう。
3 子どもに「どうだった?」と質問するときのポイント
子どもに「どうだった?」と質問して黙り込んでしまう・・・「分からない!難しい!」と言って会話が続かない、というお母さん。
子どもが上手に答えられない理由はなんでしょうか?
ひとつは、お母さんの質問の意図が理解できていないケースです。
「どうだった?」の答えが広すぎて、どう答えたらいいか分からないのです。この場合は、特定の場面を設定した質問をするとスムーズに答えられます。
もう一歩進んで、子どもが自由に答えられるようにしたいですよね。 そんなときは、「今日学校で一番楽しかったことは何?」と聞いてみましょう。「楽しかった」という子どもの気持ちに限定した質問です。
場面を設定した質問でよくあるのが、「体育の時間はどうだった?」「友だちと何をして遊んだの?」という時間や場所の設定です。
これも子どもが答えやすい質問で、ここから会話を広げていくことは十分可能です。
しかしながら、子どもが家を出てから帰ってくるまでのことを、ひとつひとつもれなく質問していくことは不可能です。
お母さんは子どもが楽しめそうなものを予想して質問されると思いますが、子どもの「一番楽しかったこと」は、もしかしたら別のことかもしれません。
楽しいことは子どもの記憶にも残りやすいので、一言でも答えてくれる可能性は高いです。
「体育」と一言でも答えてくれたら、「今日の体育はなんだったの?」と、そこからどんどん質問して掘り下げていくことができます。
反対に、「今日学校でどんなことが大変だった?」と質問して答えてくれれば、早急かつ的確に問題に対応することが可能になります。
質問の制限は時間や場所ではなく、子どもの気持ちで行うことがポイントです。
4 「どうだった?」と質問するなら、子どもにゆっくり考えさせましょう!
もうひとつポイントがあります。子どもに「どうだった?」と質問しても、なかなか答えが返ってこない理由。
ひとつは前述した「質問の意図が理解できない」という理由でした。
もうひとつは「その日あったできごとを、最初から思い出している」というケースです。
お母さんが「今日はどうだった?」と質問したら
今日は○○ちゃんと登校して、朝の会は~~で、一時間目は国語で・・・と、家を出てから帰るまでの流れを、頭の中で整理しているのです。
当然時間がかかってしまい、お母さんにテンポよく返事をすることができません。
これはお母さんが待ってあげるしかありません。せっかく思い出しているのにお母さんが矢継ぎばやに「今日の○○どうだった?」と先回りしてしまうと、子どもの「思い出す」という記憶のトレーニングの妨げになってしまいます。
かといって、お母さんもいつも待ってあげられるとは限りませんよね。そんなときは「今何を思い出してるの?考えてるの?」と質問して、何か答えてくれたらそこから会話を広げていく。というのも手です。
この場合、広がった会話の内容が、本当に子どもの話したかったこととは限りません。あとで時間のあるときにしっかり聞いてあげることを意識しましょう。
5 子どもの質問の返答はすべて受け止めましょう
「どうだった?」という制限のない質問
「○○はした?」というYes/Noの質問
「○○はした?」というYes/Noの質問
どんな質問でも必ず気を付けたいのは、子どもの返答はすべて受け止めるということです。
「それは違うでしょ」「そんなことやっちゃだめじゃない」など、子どもを否定することはやめましょう。なぜなら、質問の回答を否定すると、子どもは都合の悪い事実は隠すようになります。
「前にこれを言ったら、お母さんに怒られちゃった」
という記憶があると、子どもは事実を隠したり、ねじ曲げて伝えたりする可能性があります。大人も子どもも、わざわざ怒られるようなことを言いたくないですよね。
この習慣がついてしまうと、子どもの生活を正しく知ることはできません。問題があっても解決できないばかりか、親子の信頼関係も揺らいでしまいます。
かといって、お母さんは子どもの行動をすべて賛同しなければならない、というわけではありません。お母さんが叱りたくなる事実は、そのまま子どもが言ったとおりに繰り返せばいいのです。
「今日、○○くんと喧嘩した」
「もう○○くんとは絶対に話さない!」
「もう○○くんとは絶対に話さない!」
と言われたら、
「喧嘩なんてしちゃだめじゃない!」
「ちゃんと明日仲直りしなさいね」
と言いたくなりますよね。
「喧嘩なんてしちゃだめじゃない!」
「ちゃんと明日仲直りしなさいね」
と言いたくなりますよね。
こう言ってしまうと、次から子どもは喧嘩しても、お母さんに話さなくなってしまいます。
「そっか~喧嘩しちゃったの」
「もう話したくないのね」
「他には何かあった?」
「もう話したくないのね」
「他には何かあった?」
と事実を認めて受け入れ、思っていることをすべて言えるようにうながす声かけをします。お母さんがしっかり聞いてあげる姿勢を見せると、子どもはどんどん話してくれます。
すべて話しきったら、子どもの気持ちもすっきりしますし、情報も整理されて冷静さを取り戻すことが出来ます。今後のことを話すのは、冷静さを取り戻してからのほうがスムーズです。
子どもの生活を把握するための質問術、新学年がスタートした今、ぜひ試してみてくださいね。
執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)